勇気ある活動がヒガシシナアジサシのコロニー復活プロジェクトで期待の倍の成功を収めた

上首尾の回復計画とチームの献身により絶滅危惧ⅠA類の海鳥復活に新しい希望が湧いてきました。写真は足環をつけた雛を放鳥するところ。
写真提供: Simba Chan

ヒガシシナアジサシは世界で最も希少な鳥の一種です。60年間絶滅したと考えられていた後、15年前に再発見されたこの絶滅危惧ⅠA類の海鳥の個体数は極めて少なく、繁殖地も3ヶ所しか知られていません。

けれども香港バードウォッチング協会(香港のパートナー)を含むバードライフ・パートナーシップは今年ヒガシシナアジサシがその再発見以来最高の繁殖期を終えたことをお伝えできることに誇りを持っています。それは中国、韮山列島の鉄墩島に繁殖コロニーを復活させるというプロジェクトのお蔭です。この島に世界の総個体数(少なくとも52羽)の70%以上のヒガシシナアジサシが集まり、繁殖のために止まったのです。

この成功を収めたプロジェクトの一環として、中国本土、香港および米国からの保護団体とボランティアが韮山列島でヒガシシナアジサシや他の海鳥に初めての標識付けに成功しました。今回は31羽の雛に数字入りの足環が装着されましたが、これにより彼らを絶滅から守り続けるために本種についてより多くを学ぶことが出来ます。

5月末にコロニーに集まっているヒガシシナアジサシ。ほとんどの鳥が貴重な卵を温めていた。 写真提供: Simba Chan

5月末にコロニーに集まっているヒガシシナアジサシ。ほとんどの鳥が貴重な卵を温めていた。
写真提供: Simba Chan

バードライフ・アジア・ディビジョンのシニア・コンサーベーション・オフィサーのシンバ・チャンはコロニーでの繁殖成功を確実にするために激しい台風の襲来に立ち向かいました。2年度目の今年も彼はヒガシシナアジサシをモニターし保護し、また卵の密猟者を説得して止めさせるために繁殖シーズンを通して島に滞在したのです。

その結果、少なくとも25繁殖ペアが形成され、少なくとも16羽の雛が孵り、巣立ちに成功しました。2013年、2014年と同様のプロジェクトチームの作ったデコイと声の再生装置により52羽+のヒガシシナアジサシがこの安全な営巣地に引き寄せられました。更に、今年は初めてこれまで知られていた3ヶ所の繁殖地の全てに本種がやって来ました。浙江省の韮山列島と五指山諸島、および福建省の馬祖列島の3ヶ所で、2014年には韮山列島でのみ繁殖が確認されたのに対して、今年は3島それぞれで繁殖が成功したのです。

足環を装着したヒガシシナアジサシ 写真提供: Simba Chan

足環を装着したヒガシシナアジサシ
写真提供: Simba Chan

 

IUCN(国際自然保護連合)の絶滅危惧種のレッド・リストの鳥類部門の権威としてバードライフはヒガシシナアジサシを絶滅危惧ⅠA類と定めており、その個体数は100羽未満と推定されています。2014年に鉄墩島で巣立ちした雛の数が最小でも13羽であることから、プロジェクトが開始された2010年当時の繁殖個体数は2~3年以内に倍になる可能性があります。2010年には世界全体の個体数が50羽以下でした。

超大型台風が繁殖の最盛期に鉄墩島を襲った時、シンバ・チャンの心中ではコロニーへの思いが最優先でした。

「台風は強烈で直接私たちを襲いましたが、私たちはコロニーを守るために植生を維持し、台風が島に来る前に雛が海岸に行かないようにしたので、コロニーの5%以下が被害を受けただけでした。これはアジサシの生存率を向上させるために前年の科学的観察を私たちがいかに上手く利用したかを示すものです。」

 

ヒガシシナアジサシへの希望のパートナーシップ

2010年に象山県海洋漁業局、浙江省自然史博物館および浙江省野鳥の会によって始められたこのプロジェクトはヒガシシナアジサシの将来を確保するためにパートナーがチームとなって活動することの利点を示しています。

2015年8月に島で行われた雛へのバンディング 写真提供: Simba Chan

2015年8月に島で行われた雛へのバンディング
写真提供: Simba Chan

「このプロジェクトが成功した主な理由は適正な科学的手法、優れた計画および全ての関係者の献身です。」とシンバ・チャンは言いました。

安全な島に鳥を誘うためのデコイと音声再生装置はコーネル大学とオーデュボン協会(米国のパートナー)のステファン・クレス博士が開発したもので、当初から非常に効果があることが証明されました。

フォローアップ活動についてシンバ・チャンは「今年、私たちはこれらの鳥の回復のために可能性のある越冬地での関心を高める活動をバラン・インドネシア(インドネシアのパートナー)と共同で行う予定です。来年以降、ヒガシシナアジサシとオオアジサシの渡りのルートを解明するために、彼らの渡りを追跡する適切な装置を現在考慮中です。」と付言しました。

「私たちは中国とアジアの他の国の間での海鳥の研究と保護に関する共同活動を促進したいと考えています。」とバードライフのアシスタント・マネージャーで香港バードウォッチング協会の中国プログラムのビビアン・フーは言いました。

アジサシの定期的なモニタリングとバンディングの様子は中国中央テレビ局により記録されました。2015年末にはドキュメンタリーを主なテレビ局が中国全土で放映する予定で、一般の人々の間に野鳥保護に対する関心を大いに高めるでしょう。これは中国沿岸で激減している海鳥の個体群全体にとって重要なことです。

「この回復プロジェクトはヒガシシナアジサシを絶滅から守るために重要なだけではなく、中国での野生生物全般の保護にとっても意味があるのです。」とシンバ・チャンは言いました。

 

「それは地元コミュニティが多くの絶滅危惧種の切迫した状況を反転させたいという強い意志を持っていることを明確に示しているのです。」

デコイのアジサシを持つシンバ・チャン(左端)とTiedun島のバンディングのチーム 写真提供: Simba Chan

デコイのアジサシを持つシンバ・チャン(左端)とTiedun島のバンディングのチーム
写真提供: Simba Chan

「このような活動全てにより私たちは16年前には絶滅したと信じられていた種を復活させているのです。」

ヒガシシナアジサシ復活プロジェクトは2010年に中国で開催された初めての国際海鳥シンポジウムにより始まりました。卵の密猟により2007年に韮山列島のヒガシシナアジサシのコロニーが放棄された後、浙江省野鳥の会と象山県政府はバードライフと共同で海鳥の卵を採取し、食べるのを止めさせるために一般の人たちの関心を高めるプログラムを進めました。2013年にはデコイと音響によって鳥を呼び戻す現地での活動が始まり、これは当初から非常に上手く行きました。

同プロジェクトはヒガシシナアジサシを絶滅から守るために共同で活動するパートナーのチームで構成されています。パートナーには、象山海洋漁業局、浙江省自然史博物館、浙江省野鳥の会、バードライフ・インターナショナル、香港バードウォッチング協会およびオレゴン州立大学(米国)のアジサシ復元チームが加わっています。

このプロジェクトは香港海洋公園保育基金、中国国家林業局の絶滅危惧種基金、バードライフの‘絶滅阻止プログラム’の支援者Mark Constantineなどによる手厚い支援があったことにより可能になったのです。

象山海洋漁業局と浙江省自然史博物館もこのプロジェクトがこれほどの成功を収めるのを助けた重要な後方支援を行いました。

ヒガシシナアジサシが今後も生き残るために極めて重要な雛が生まれて誇らしげな親鳥。2015年6月。 写真提供: Simba Chan

ヒガシシナアジサシが今後も生き残るために極めて重要な雛が生まれて誇らしげな親鳥。2015年6月。
写真提供: Simba Chan

 

報告者: ショーン・ハレル

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