企業と生物多様性

© Brad Collis

生物多様性とそれを取り巻く生態系は、企業活動の重要な基盤であり、企業は、生態系から有形無形の恵みを享受しています。企業にとっての生態系保全や生物多様性保全を行うことは、ビジネスを持続可能なものにするために必要なことなのです。

生物多様性条約締約国会議(CBD-COP11)でも、ビジネスと生物多様性の関わりについて議論が重ねられ、決議が採択されるなど、生物多様性の保全と持続可能な利用について、企業の参画を促しています。

バードライフは、上記の考えに基づき、生物多様性に対する影響を回避、削減、緩和、あるいはオフセット(相殺)するため、企業とともに戦略的な取り組みを実施しています。

多くの企業にとっては、企業と生物多様性の関わりを把握することが難しく、「どのような取り組みを実施したらよいのか分からない」という声がよく聞かれます。このような企業からの要望を受け、バードライフ・インターナショナル東京では、生物多様性に関する企業活動を支援する取り組みを行っています。

CSR活動の支援

社会貢献の一環として、多くの企業が環境保全活動に参画しています。バードライフ・インターナショナル東京では、企業のCSR活動支援として、アジア、中南米、アフリカなどで植林・マングローブ湿原の再生、アグロフォレストリーの導入、教育・啓発活動など、様々な環境保全活動を実施しています。バードライフは、世界120カ国にあるパートナー団体と協力し、現地に根付いた活動を展開しています。

 

主な活動

企業の生物多様性取り組みの評価

企業へのアンケートやヒアリング調査を通し、生物多様性への取り組みの現状を評価、また現状から課題を抽出し、対策や新たな取り組みの提案をしています。2010年10月には、株式会社損害保険ジャパンの生物多様性に関する企業活動評価を実施、現在までに数社の評価を実施しています。同年、パナソニック株式会社に対し、パナソニックグループの3商品の商品特性、ならびに事業活動全般に対する生物多様性評価を実施し、第三者意見書として発表しました。また、2012年、三菱重工業株式会社に対して「生物多様性に対する企業活動評価」を実施し、同社のCSRレポートにも評価内容が掲載されました。

 

生態系サービスの評価

バードライフではケンブリッジ大学と共同で、サイトレベルで生態系サービスを評価するためのツールキットTESSA (Toolkit for Ecosystem Service Site-Based Assessment)を開発しました。これは科学的な基準や規格にもとづき、既存のデータや手法を用いて簡易的に生態系サービスの価値をはかるものです。環境影響の緩和策やオフセットを実施した場合の効果を推定するなど、企業の環境活動にも適用することができます。

 

 

企業とのパートナーシップ

バードライフでは、企業と戦略的パートナーシップ契約を結び、包括的な環境保全活動を行っています。

セメックス社

セメント大手セメックス社とは、2007年に10年間の戦略的パートナーシップ契約を結び、原料採掘地などにおける生物多様性向上の可能性を評価するなど、世界規模で事業活動を評価しています。

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ハイデルベルクセメント社

セメント大手のハイデルベルクセメント社とは、2011年にパートナーとなり、複数の国のバードライフ・パートナーと地域レベルの保全活動を行い、自然資源の持続可能な利用と周辺環境への影響軽減を目指した取り組みを進めています。

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トヨタ自動車株式会社

自動車メーカー大手のトヨタ自動車(株)は、2016年に日本企業として初めてのグローバルパートナーとなりました。トヨタ環境チャレンジ2050の一環として、バードライフ・パートナーに5年間で10台の車両が寄付され、各地の絶滅危惧種や生息地の保全に使われます。2016年には、メキシコと南アフリカのバードライフ・パートナーに車両が提供されました。

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リオ・ティント社

英豪資源大手リオ・ティント社と、2004 年から生物多様性・オフセットのモデル事業構築のためのパイロット事業を世界数ヵ所で実施しました(2016年終了)。

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リオ・ティントは、IUCNとの共同イニシアティブで、ネットポジティブインパクト(事業による環境へのマイナスの影響を上回る代償措置を行うことで、全体では環境への影響をプラスにすること)に向けての研究・予測を実施し、採掘地の生物多様性保全プログラムの長期的成果の見通しについて、データ、理論、予測を発表しています。この報告書のレビューには、バードライフの専門家も参画しています。

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IBAT for Business(Integrated Biodiversity Assessment Tool)

企業用IBATは、生物多様性重要地域(KBA)、法令保護地域(Legally Protected Areas)、IUCN レッド・リストなど、自然保護に関する大量の基礎データや最新情報に簡単にアクセスできるツールです。既存事業地や開発予定地についての基礎データのダウンロードやマッピングが可能で、開発案件におけるリスク評価、フィージビリティ調査や環境レポート作成のための情報収集、プロジェクト融資のための調査など、さまざまな企業活動、意思決定を支援するツールです。IBATは、バードライフ・インターナショナル、コンサベーション・インターナショナル、IUCN(国際自然保護連合)、UNEP(国連環境計画)、WCMC(国際自然保全モニタリングセンター)との連盟で開発されています。

企業向けセミナーの開催

生物多様性や生態系サービスについて、企業向けにセミナーを開催しています。2013年4月には、セミナー“企業と生物多様性保全:「生態系サービスの評価と測定」について”を、株式会社レスポンスアビリティと共催し、自然資本をめぐる状況や企業の取り組み、生態系サービスの評価・測定の成果や最新動向について、講演を行いました。講演後の質疑応答では、活発な意見交換も行われ、企業にとって、生態系や生物多様性保全への取り組みは、今後さらに関心が高まっていくものと思われます。

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