インドショウノガンの絶滅回避

Lesser Florican © Gobind Sagar Bhardwaj

インドショウノガンは、ノガン科の中で最も小さな鳥で、草原で垂直に羽ばたく求愛ダンスをすることで有名です。しかし、南アジアの草原にある生息地が広範囲に失われ、その数は急速に減少しています。

19世紀には広く生息していたインドショウノガンの減少は、インドの緑豊かな低地の草原と密接な関係をもっています。ヒゲのように飛び出した羽毛を持つこの小柄なノガンの一種は、草木の上を飛び跳ねながら求愛する姿がよく見られました。1994年のレッドリストでは当初、深刻な危機(Critically Endangered)に指定されていましたが、調査の結果、減少のスピードが緩やかになっていることがわかり、危機(Endangered)に変更されました。しかし、そのためにこの種に十分な注意が払われることがなくなり、インドショウノガンの減少は止まることなく、続いたのです。

2021年、インドショウノガンは再び深刻な危機(Critically Endangered)に分類され、何とか残った最後の生息地の一角でかろうじて見られます。広大な草原は農地に転用され、あるいは過放牧、外来植物、気候変動による降雨パターンの乱れによって劣化しています。さらに、野良犬や狩猟、採卵などの脅威も加わって、その危険性はますます高まっています。飛翔中も安全ではありません。研究者は、道路や電線などのインフラに衝突して死亡することが多いのではないかと考えています。

熱帯雨林やサンゴ礁のような「誰もが注目する」生息地とは異なり、地味な草原は見過ごされがちですが、バードライフのパートナーはこの状況を変えようとしています。ボンベイ自然史協会(BNHS、バードライフのインドのパートナー)とその他の地元の保護団体は、インドショウノガンの最後の拠点の一つであるラジャスタン州アジュメールにおいて、農民と協力してこの種に対する意識を高め、保護活動に対するインセンティブを与えようとしています。アジュメールの草原は現在、農作物に取って代わり、インドショウノガンにとって最適な生息地とは言えません。そこで、BNHSは、自然の生態系を回復するために、アメリカ大陸原産の外来種プロソピスの木を取り除き、有機・粗放的な農業を奨励する地域保護区を設立しています。これにより、希少種回復のための貴重な時間をかせぐことができるでしょう。

バードライフのフェローで、国際自然保護連合(IUCN)野鳥専門家グループ 共同議長を務めるNigel Collarは「この奇跡ともいえる素晴らしい種を救うには、あと数年しかありません。BNHSは果敢な努力を継続・発展させるために、あらゆる支援を必要としています」と語りました。

原文 “One to watch: Lesser Florican”

垂直に羽ばたく求愛ダンスをするインドショウノガンのオス© Gobind Sagar Bhardwaj

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