ウズベキスタンでマミジロゲリの新しい生息地を発見
絶滅危惧ⅠA類のマミジロゲリは世界で最も希少で絶滅が危惧されている種の一つです。本種はカザフスタンとロシア南部で繁殖し、スーダンとパキスタン、インドで越冬します。渡りのルート上での狩猟圧が本種にとって大きな脅威と考えられていることから、どのように繁殖地から越冬地へ渡るのかということが自然保護活動家にとって大きな関心事となっています。
特にその東部フライウェイであるカザフスタンからパキスタン、インドへのルートについてはほとんど分かっていません。UzSPB(ウズベキスタンのパートナー)が2012年に同国南部の貯水池で400羽のマミジロゲリを発見し、さらにカザフスタンで衛星追跡装置を装着された個体が同地および隣接するトルクメニスタンで見つかった時には専門家の関心は高まりました。去年から始まった調査によると、Tallymerdzhanと呼ばれる両国の国境であるこのエリアをマミジロゲリの東部フライウェイの全個体、おそらく世界の個体数の3分の1以上が利用している可能性があります。
2015年10月にトルクメニスタン、ウズベキスタンおよび英国の研究者がこのエリアで共同調査を行い、ウズベキスタン側で4,225羽、トルクメニスタン側で3,675羽のマミジロゲリを観察しました。それにより、このエリアを利用する本種の全個体数は6,000羽~8,000羽と推定されました。本種は越冬地への途上にあるヒンドゥークシ山脈を越える体力をつけるために、このエリアで2ヶ月近くを過ごしますが、これは長距離の渡りにおける中継地での滞在期間としては最長記録の一つです。
このエリアでのマミジロゲリの大きな群れの発見は、東部フライウェイが研究が進んでいる西部フライウェイ(カザフスタン南部からシリア、サウジアラビアへのルート)と同様に個体数の点で重要であり、Tallymerdzhanは世界的に本種にとって最重要なサイトの一つであることを示唆するものです。
マミジロゲリは既にウズベキスタン、トルクメニスタンの両国のレッド・データ・ブックには含まれていますが、再重要サイトであるTallymerdzhanでは環境保全対策が何も取られていません。本種が利用するエリアの大半は二つのIBA(重要生息環境)、Talimarzhan貯水池IBAとTallymerjen IBAの内部にあり、この2地域には他の種(特にクロヅル、ハイイロガンおよび他の水鳥)も生息していることからIBAに指定されましたが、これは法的保護を意味するものではありません。
ウズベキスタンのIBAは貯水池の東と南も含まれるように拡張する必要があり、また両IBAはマミジロゲリが生き残るためには重要なサイトであると認識されることが必要です。AEWA(アフリカ・ユーラシア渡り性水鳥条約)の‘マミジロゲリのための国際種の行動計画’も、トルクメニスタンとウズベキスタン両国が重要であることが判明したことを受けて内容の更新が必要です。東部フライウェイの個体数はこれまでに知られていたよりも多く、従って、確実に脅威の状況を監視し、これを最小化するためにこのフライウェイに沿った国々でより多くの活動が必要です。
このフライウェイ沿いの地域での変化を追跡する監視システムの開発が求められており、必要ならば保全対策も策定されるべきでしょう。耕作農業の拡大や砂漠化は衛星画像で監視できるでしょうが、このサイトを利用する鳥の数と脅威の傾向を評価するには定期的なフィールド調査を行わなければなりません。
報告者: Stephanie Ward
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