野鳥保護のためにアンデス山脈を自転車で走破した男

鳥を見るために環境に優しい方法を用いているGary Prescottが可愛い相棒たち(ぬいぐるみのこと)と一緒に撮った写真。

自転車乗りバーダー」のGary Prescottは、環境に優しい方法で一年間に最も多くの鳥を見る世界記録を立てる試みをしています。

「ビッグ・イヤー」についてはお聞きになっているでしょう。バードウォッチャーが一年間に出来る限り多くの鳥種を観察する年のことです。しかし、BIGBY(ビッグ・グリーン・ビッグ・イヤー)についてはいかがですか?これはバードウォッチャーが環境に優しい方法、つまり自転車、カヤック、筏あるいは徒歩で、出来る限り多くの鳥を観察する年のことです。

Gary Prescottまたの名を「自転車乗りバーダー」は3回のBIGBYを行いました。41日には第4回目に出発します。何処に行くのか、何をするのか、どの鳥を見たいかを彼に聞きました。

 

まず、自己紹介をお願いします

私は「自転車乗りバーダー」として知られているGary Prescottで、欧州で最も有名な「環境に優しいバーダー」と呼ばれてきました。

 

この4月に何をする予定なのかを簡単にご説明ください

4月1日にリマ(ペルーの首都)を出発して、アンデス山脈を越え、アマゾン川の支流のマードレ・デ・ディオス県のMother of God(神の母)川まで下ります。次にパックラフト(空気を入れて膨らませて川を下る小型で軽量な舟)でボリビアの国境近くの町プエルト・マルドナドに向かいます。その目的は環境に優しいバードウォッチングの年間世界記録を樹立させることです。そのためには618種以上見なければなりません。

 

慈善事業のための資金集めは今回が初めてではありませんよね?

今回が4回目です。過去3回は英国内を一年かけて自転車で回りました。

2010年に英国内におよそ220ヶ所あるRSPBとWWTの自然保護区をすべて自転車で回りました。9,000マイル以上を走破し、251種を観察しました。これは「英国グリーン・バーディング(環境に優しいバードウォッチング)・イヤー」の最高記録です。

2016年には再度英国を自転車で回りましたが、その時は全ての自然保護区ではなくこれまでのリストに載っていない新しい種を見ることに集中しました。その結果、同年には欧州記録となる318種を観察しました。

 

自力で旅を完遂することが、なぜ重要なのでしょうか?

「グリーン・バーダー」であるためには、4月から半年間におよぶペルーの移動手段に、化石燃料を使用しないということが私にとって重要なことなのです。あらゆる面で私自身の二酸化炭素排出量を最小限に減らそうとしています。キャンプでも、食べ物の選択においてもですが、特にサイクリングとパックラフティングによって減らそうと考えています。

 

ペルーでの経験はこれまでの旅と何が違うとお考えですか?

英国内の冒険では私が訪れたのは、海岸、標高5,000フィートまでの高原、湿地、農地など様々な生息地でした。英国の自然保護区の狭いスペースで私が行くことが出来るのは比較的小さなエリアで、見られる鳥も350種―400種程度でした。

ペルーでは太平洋を流れるフンボルト海流による世界で最も豊かな海岸線から、人里離れたアマゾンの熱帯雨林の計り知れない生物群集の地まで行くことができます。この二つの素晴らしい生態系の間で、独特の鳥類のリストがある砂漠と山岳地帯を訪れる予定です。このような豊かな生息地により、見られる可能性のある鳥類のリストは1,000種を超えるものになります。

もう一つの違いは自分の力で水の上を旅するという移動方法の違いです。過去3回の英国内の「自転車乗りバーダー」の冒険では、島に行くためにフェリーという化石燃料を使う交通手段を利用しました。ペルーでは水の上の移動もパックラフトを用いることができます。今回の6か月の旅はこれまでで最も環境に優しいものになるでしょう。

最後に、両方の冒険で共通していることは、多くの素敵な人たちに会える機会に恵まれることでしょう。

 

特に見たい鳥はいますか?

1,000種を超える、多くの素晴らしい鳥がいるので、選びきれませんが。これまでのペルー訪問で、たくさんのコンドル、イワドリの雄のレッキング(集団求愛)、信じられないほど美しい数千羽のインカアジサシ、フンボルトペンギン、ヤマガモ、様々な種類のインコやオウム類、ハチドリ類、オオツリスドリ類、フウキンチョウ類など恐らく最も素晴らしいペルーの鳥を見ました。それでもどうしても見たい鳥は、色彩豊かなカンムリカザリキヌバネドリです。それとアンデスタチヨタカでしょうか。

 

このような意欲的な使命に乗り出したきっかけは何ですか?

2013年、14年そして2017年のペルー訪問でこの国の風景、自然や人々を深く愛するようになりました。

2015年に米国のグリーン・バーディングの記録を破ろうとして米国行きの計画を立てました。この時点での米国のBIGBY記録は320種でした。この時の計画はおよそ90ヶ所のオーデュボン協会の自然保護区を訪れるものでした。ところが2014年に何と618種という米国でのBIGBY記録が作られたために私は米国行きを断念しました。なお、この記録は現在のBIGBYの世界記録でもあります。

私は今BIGBYの世界記録を樹立させたいのです。これは英国内では達成できません。ヨーロッパ中を自転車で回っても無理です。私の愛するペルーなら完璧な場所です。

ルート上の素晴らしい光景への思い、全ての野生生物への思い、出会うであろう全ての素晴らしい人々への思いがこの使命のきっかけです。

 

資金集めのためにバードライフを選んだ理由は何でしょうか?

英国内で「自転車乗りバーダー」をやっている時の私のチャリティー支援は論理的にも気持ちの上でも選択肢は英国に基盤を持つRSPBとWWT(水禽・湿地基金)、そして自分が喘息に罹っていることからAsthma UK(喘息協会)でした。またペルーの慈善団体Chaskwasi-Manuも支援しました。この団体はManu熱帯雨林の原住民の子供たちを学校に通わせる基地を提供しています。

ペルーでグリーン・バーディング・イヤーの世界記録を立てることを決めたことから、「自転車乗りバーダー」の冒険を国際的なものにし、鳥の世界でこのような重要な慈善活動を行うのはバードライフしかないと考えたのです。

 

特に夢中になっている自然保護に関する問題は何ですか?

最近デイビッド・アッテンボローのドキュメンタリー「Blue Planet」の影響もあって、人々はどれ程プラスチックが蔓延しているかについてより多くを知るようになっています。これは私が長い間取り組み、深く懸念していたことです。海岸の清掃、ゴミ拾い、スーパーや食品製造者へのEメールの送付など様々な方法で、この野生動物に有害な物と戦っています。私の自転車にいつも乗っているアホウドリのアルバートのぬいぐるみは、アホウドリが海洋でプラスチック公害に苦しんでいる姿を象徴しています。

今年のバードフェアで発表された数百万羽のフラミンゴとシギ・チドリ類のための国立公園の創設支援は、私に新たな目標を与えてくれました。偶然、2週間前に自転車で回る時に被るため、フラミンゴの帽子を買いました。このキャンペーンを推進することはスリルがあり、楽しみで、名誉なことです。

 

あと数週間で出発ですが、今どのような気持ちですか?

いつもと同じ興奮と期待と心配の入り混じった状態です。今回のペルーでの「自転車乗りバーダー」の冒険は、英国でのものと比べるとはるかに大きなものです。出発まで3週間を切り、ワクワク感は明らかで、起きている間は調査と計画立案で費やされ、寝ている時はペルーの鳥や場所の夢ばかりです。私は目標が達成されることを確信しています。一つには618種以上の鳥を見てグリーン・バーディングの世界記録を樹立すること、もう一つはバードライフのために目標の資金集めを達成することです。

 

報告者:Jessica Law & Margaret Sessa-Hawkins

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