私たちが鳥を必要とする理由
鳥のいない世界を想像できますか?鳥がもたらす恩恵は文化的なことだけでありません。鳥は人の健康、経済、食糧生産に直接影響を与え、地球の生態系が機能する重要な役割を果たしています。それは人間と同様、数百万種の他の種にとっても同じです。以下にその方法を紹介します。
1.害虫駆除
もし鳥がいなくなると膝まで堆積した無脊椎動物の中を歩くことになる、というのはちょっと極端かも知れません。しかし、最近の調査によれば鳥達は一年間に4~5億トンの昆虫を食べています。中国では、ヒメアマツバメの食べ物の3分の2は農作物の害虫で構成されており、アメリカ大陸の森林ではトウヒノシントメハマキ(ハマキガの1種)の大発生時にはキビタイシメがスーパーヒーローになり、1平方キロ当たり1,820米ドルの費用に相当する生物防御を行っています。鳥の効率は極めて高いので欧州全土で巣箱が害虫駆除の場になっています。
2.植物の受粉
花粉媒介者と聞いてすぐ思い付くのはミツバチやチョウでしょう。しかし、ハチドリやミツスイなど鳥の花粉媒介者も、標高の高い場所や気温の高い場所で大きく貢献をしています。例えば南アフリカではサルビアの花の約4分の1は鳥によって受粉が行われます。これらの花は香りがありませんが、鳥は匂いよりも視覚を好むからです。彼らの花粉媒介者としての役割は私たちに直接役に立ち、人が食物や薬として使う植物の5%は鳥によって受粉されます。彼らがいなくなってしまった時の影響は驚異的です。ハワイ産のベルフラワー(ホタルブクロなど)の31種がそれらの花粉媒介をしていた鳥がいなくなったために絶滅したようです。
3.鳥は自然の清掃者
ハゲワシが頭上を舞う姿は不吉に見えるかも知れませんが、それは彼らが到着するまでの時間が早いことと(だいたい動物の死から1時間以内)、彼らの完璧さ故です。野良犬やネズミなど他のあまり効率的でない腐肉食動物が、狂犬病や結核などの致死的病気を発生、拡散させる残骸を食べに集まるよりも数日も前であることがあります。その生涯を通じて1羽のハゲワシは11,600米ドル相当の廃棄物処理サービスを提供します。アジアのハゲワシ類の激減に伴いインドでは野良犬の個体数が5.5百万頭も急増し、狂犬病が拡散、推定47,300人の死につながりました。
4.種子の拡散
鳥が移動する時、食べた種子を一緒に運び、糞として散布しています。彼らは壊された生態系に植物を戻し、時には海を越えた新しい陸地にまで運びます。鳥は私たちの周囲の植物の形成を助けています。植物の70%はエリマキミツスイなどの鳥によって種子が散布されています。それよりも大きな役割は、パラオ諸島で最大の鳥コブバトによって行われますが、コブバトはパラオ諸島で主要な種子散布者の一つです。
5.鳥は景観全体を変える
森林、湿原、草原などの環境は、数百マイル離れた所に住む人も含め地球上の人に影響を及ぼします。これらの環境は炭素を蓄積し、気候を安定させ、大気に酸素を送り、汚染物質を養分に変えます。しかし鳥の存在なくして、これら多くの生態系は存在しないでしょう。鳥は植物と草食動物、捕食動物、獲物の間の微妙なバランスを維持します。絶好な例の一つが、米国南東部の塩水性湿原で、ここにはヒガタアシが繁茂し、水をろ過し、海岸を海の浸食から守っています。タマキビ(海水性の巻貝)はヒガタアシを旺盛に食べますが、ミヤコドリ、チュウシャクシギ、チドリ類がいなければこれらの小さな貝類は湿原全体を食べつくし、干潟が残るだけになるでしょう
6.鳥はサンゴ礁を生かし続ける
鳥、なかでも海鳥は、栄養の循環とサンゴ礁などの海洋生態系を肥沃にする重要な役割を果たしています。海鳥は大海原で採餌をするために数百キロを飛び、戻ってくるとコロニーに非常に刺激性の強い臭いがするグアノ(海鳥の糞)層を作ります。このグアノは海に浸み出し、サンゴ礁などの周辺の生物群落に栄養を与えます。チャゴス諸島(インド洋の英国海外領)での研究がこのプロセスが中断すると何が起きるかを示しています。外来の海鳥の捕食者がいない島では、サンゴ礁が良く生育し、ネズミが影響を与えている島に比べて魚は年齢と比べて大きく、より早く育ちます。
7.鳥は科学を鼓舞する
飛行の技術から羽毛の小羽枝をモデルにしたジッパーの発明に至るまで、人は何世紀にもわたって鳥からインスピレーションを得て来ました。このような前進の幾つかは偉大なものでした。ガラパゴス諸島でのダーウィンのフィンチの研究は彼の自然選択を通した進化に関する考えを形作るための助けになったことを証明しました。しかし鳥は、私たちにアイディアを提供する以上のもっと重要な役割を果たしています。鳥は地球の健康を私たちに告げる伝達者です。また、鳥は広範囲に生息し、環境の変化にいち早く対応します。それ故に、彼らは気候変動などの差し迫った問題に対する早期警戒システムなのです。
報告者:Jessica Law