アングィラのドッグ島がネズミの根絶を公表

新たに孵化したカツオドリの雛は外来種のネズミによる
捕食を恐れることなく成長することが出来ます。
写真提供:Richard Brown, FFI-DIRP

5カ月間にわたる集中的なクマネズミ根絶プログラムと、2年間に亘る注意深いモニタリングの結果、アングィラ(カリブ海地域の英国海外領土)のドッグ島がネズミのいない島になったことを公式に発表しました。同島は脅威を受けている島の野生生物を守るために外来種のネズミの駆除に成功したカリブ最大の島で、その効果は早くも回復の有望な兆しを見せています。 面積207ヘクタールのドッグ島は国際的に知られたIBA(重要生息環境)で、10万ペア以上の海鳥がここで営巣します。同島では地球の他の場所には見られないトカゲや絶滅の恐れのあるウミガメが白い砂浜に営巣します。最近まで島には数千匹の外来種のクマネズミがはびこっていて、土着の花の発芽を抑え、卵や雛や他の動物を捕食して深刻なダメージを与えていました。 ネズミの駆除はドッグ島の世界的に貴重な野生生物の復活を目的に行われました。この駆除活動は2011年11月から2012年3月にかけて、アングィラ・ナショナルトラスト、アングィラ政府(環境局)、ファウナ&フローラ・インターナショナル、RSPB(英国のバードライフ・パートナー)および同島の所有者アングィラ開発会社の共同イニシアティブにより行われました。

ネズミの餌を公開するデボン・カーター(アングィラ・ナショナルトラスト) 写真提供:Jenny Daltry FFI-DIRP

ネズミの餌を公開するデボン・カーター(アングィラ・ナショナルトラスト)
写真提供:Jenny Daltry FFI-DIRP

ドッグ島のネズミに一匹残らず狙いをつけるために、42キロ・メートルもの長さの道が棘のある低木の茂る林の中に切り開かれ、2トンを超える殺鼠剤が人の手で撒かれました。30人を超えるスタッフとボランティアがニュージーランドの野生生物管理インターナショナル社のネズミ駆除の専門家エリザベス・ベルの技術指導の下で活動しました。駆除チームが直面した困難には高温と、世界で最も有毒な植物と言われるマンチニールの林などがありました。 最後のネズミが駆除されたのは2012年3月18日のことでした。しかし、ある島にネズミが居なくなったと宣言できるのは最後の一匹が見つかってから2年後というのが国際的な慣例です。ドッグ島での駆除活動の期間に在来の野生生物がそのために害を受けることは全くなく、野外に残された殺鼠剤はすぐに無害なものに分解するものでした。 アングィラ政府の環境大臣ジェローム・ロバーツはこのパートナーシップと今回の成果を認めて次のように述べました。「この成功はアングィラのために活動した人々の能力と献身の証であり、アングィラの人々の成功への頑張りが反映されたものです。今回成功を収めたのはまだ始まりで、私たちの革新的な活動を未来への持続可能なものにしなければなりません。」 これはアングィラ知事の機密費であるナショナル魚類・野生生物基金の支援を受けた、カリブ海地域で成功裏に完了した最大で最も困難なネズミ駆除のプロジェクトです。 固有の野生生物を助けることに加え、このプロジェクトは外来種駆除を計画し、実行に移し、結果をモニターする能力をアングィラに築きました。他の沖合の島々でも同様のイニシアティブを行おうとする国内・海外の関心のレベルを考えると、キャパシティの開発が特に意味のあることです。 「これはアングィラおよび他の地域で私たちが行っている生物多様性を守り回復するという活動にとって極めて重要な成果です。」とアングィラ・ナショナルトラスト会長のAvon Cartyは言いました。「私はアングィラ・ナショナルトラストのチームによって達成された活動を大変誇りに思い、またこのプロジェクトを成功に導く上で支援をしてくれた全てのパートナーの支持、協力、専門知識に感謝を致します。」

報告者:ショーン・ハレル

 

  1. TOP
  2. 世界のニュース
  3. アングィラのドッグ島がネズミの根絶を公表