生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)は不安を残しながらも大きな前進へ

カナダのモントリオールで開催された生物多様性条約第15回締約国会議で、バードライフは、他のNGO団体と共に、良い点、懸念すべき点、両方を目の当たりにしました。そして、モントリオールに集まった各国のリーダーや代表者と共に、長い間切望されていた自然と地球を守るための道筋を示す、2020年以降のグローバル生物多様性枠組み(ポスト2020年GBF)が承認された喜びを分かち合いました。

バードライフ・インターナショナルのCEO であるPatricia Zuritaは、12月19日現地時間早朝にモントリオールで合意された新しいグローバル生物多様性枠組みについて、以下の通り声明を発表しました。

「本日最終的に合意された生物多様性条約の文書に、2030年までに生物多様性の損失を削減し、停止させるという明確な使命が含まれたことに感謝します。生物多様性の保全、資金調達、先住民族や地域社会の権利、男女共同参画、人権に基づくアプローチや健全な環境に対する権利の認識などが、この文書に含まれたことは大きな勝利と言えます。

種と生態系という重要な項目に関する今後の展望は明確とは言えませんが、評価すべき点もあります。 2030年までに陸と海の30%を保護・保全することを誓言する「30by30」に関するターゲットは、長年の科学、議論、駆け引きを経て、ようやく成立した大きな勝利です。しかし、新しい保護区は自然にとって最も重要な場所に設置され、効果的に管理されることが不可欠ですが、この点に関してターゲットの表現が明確でないため、今後10年、実態のない保護区ができ、生物多様性重要地域(KBA)が失われる危険性もはらんでいます。生物多様性の損失を食い止め、回復させるには、種の減少に対処する必要があることが認識されたことは、勝利といえるでしょう。2030年までに種の絶滅を食い止め、絶滅の危機を大幅に減少させる緊急的な行動をとる約束もされました。しかし、残念なことに、私たちが説明責任を果たすために必要な具体的な方法は示されていません。

今回の資金調達パッケージには、自然に対する資金不足を解消するための前向きな内容が含まれています。我々は、より多くの資金を、より早く必要としています。地球環境ファシリティーの下での新しい基金の設立により、資金が開放され、最も必要とされる場所に資金がもたらされることが期待されます。
全体の内容には期待をしていますが、グローバル生物多様性枠組み全体で、測定方法に一貫性がないことを懸念しています。具体的な道筋と検証可能なタイムラインがなければ、前進はおろか後退する可能性もあるからです」

 

本記事は、原文 “Nature CoP15 gavelled to a 3AM happy close with anxieties” を一部編集しました。

 

バードライフ・インターナショナル CEO Patricia Zurita

代表団に訴えるバードライフとパートナー

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