なぜマングローブが重要なのか

毎年7月26日の世界マングローブ・デーは、マングローブ生態系の重要性に対する認識を高めることを目的としています。

 

チャーリー・マルコム=マッケイ著

 

陸地と海が接し、ねじれた根が自然の彫刻のように水面から隆起する豊かな生態系の世界を想像してみてください。このユニークなマングローブの海岸林は、東南アジアからアメリカ大陸の広大な海岸線、そしてカリブ海やオセアニアの島々まで広がっています。

 

マングローブは、1haあたり熱帯林の5倍もの炭素を吸収する炭素吸収源であるだけでなく、生物の多様性に富んだ豊かな生態系であり、沿岸域の地域社会を支える極めて重要な存在です。

 

タイ、クラビのマングローブ林 © Pisit Hattaporn

 

2023年11月~12月COP28期間中に開催されたマングローブ・ブレークスルーとマングローブ閣僚会議において、マングローブ林は気候変動の緩和と生物多様性の保全のための卓越した能力を持っていることから、ホスト国のアラブ首長国連邦(UAE)は、2030年までに1,500万ヘクタールのマングローブを保全するために40億ドルを拠出する「マングローブ・ブレークスルー」イニシアチブへの支持を表明しました。

 

また、マングローブの密集した根系は、侵食や異常気象から海岸線を守るだけでなく、ヤマショウビン、ヒロハシサギ、マングローブヤイロチョウ、ヒメハマシギなど、多くの鳥類の営巣地、繁殖地、餌場となっています。

 

 

バードライフ・インターナショナルは、120を超えるグローバル・パートナーとともに、マングローブ保全を推進しています。コロンビアのバードライフ・パートナーであるカリドリス協会は、イスクアンデ川の河口で食用貝の保護を通じて、地域の知見と科学的実践を組み合わせることで、マングローブ林の生育を確保しつつ、何世代にもわたって地域の生活を支える、コミュニティ中心のガバナンス・モデルを開発しました。

 

マングローブ保全は、地域レベルのみならず、世界的な気候変動においても考慮されなければなりません。マングローブ・ブレークスルーのようなイニシアチブの背後には、化石燃料の消費が適切且つ段階的に削減されなければ、このような保全活動が無駄になる可能性があるからです。

 

温室効果ガス排出量の増加による海水温の上昇は、マングローブの成長を妨げています。

さらに、地球温暖化のもうひとつの副産物である海面上昇によって、マングローブ林は水没し、破壊される可能性があります。

一部のマングローブは内陸に移動することで適応しようとしますが、それも都市化によって制限されています。

 

海面上昇で枯れたマングローブの木(ボルネオ島) © Stephane Bidouze

 

保全活動を長期的に成功させるためには、地域の活動と世界的な政策変更との相乗効果が不可欠です。化石燃料の使用を削減し、その影響を緩和するための協調的な取組がなければなりません。

 

原文 Why Mangroves Are Making Waves: A Deep Dive – BirdLife International

(本文を一部編集しました)

  1. TOP
  2. 世界のニュース
  3. なぜマングローブが重要なのか