6つの珍しい生息地が探鳥のホットスポットに

グワーハーティー(インド)のゴミ捨て場のオオハゲコウ 写真提供:© AJT Johnsingh, WWF India / NCF

2018年はナショナルジオグラフィック誌、オーデュボン協会、コーネル大学鳥類学研究所との共同による一年を通じたお祝い「鳥の年」です。今月は、どこにいても、外に出て好きな鳥と時間を過ごすことにより「あなたの世界の鳥を見る」ことをお奨めします。

皆さんは、愛している鳥達に、どの位の頻度で会いに行きますか?多くの方は行きたいと思う回数ほどには、行っていないとお答えになるでしょう。忙しすぎるからです。私たちは仕事や多くの雑用に束縛されており、気が付けば、最後にゆっくりと鳥を見てから数ヶ月も経っています。人間関係の専門家が言うように、鳥への愛を維持すれば仕事が犠牲になります。

幸いにも鳥はどこにでもいます。著名な鳥の作家Jonathan Franzenが言うように「鳥よりも広く分布しているのは微生物だけです」。世界を旅する余裕がなくてもかまいません。町の中に住んでいても、昼食時間しかなくても構いません。ここではあなたを驚かせるような素晴らしい探鳥のホットスポットをご紹介します。また、これをきっかけに、ご自身で素敵な探鳥スポットを見つけるようになることを期待しています。

 

1.ゴミ捨て場

グワーハーティー(インド)周辺のゴミ捨て場は、世界のオオハゲコウの個体群の半分を支えています。 写真提供:© AJT Johnsingh, WWF India / NCF

廃棄物が世界で最も危惧されるコウノトリ類の一種で、しばしば成人の身長まで育つことのある巨大な鳥、オオハゲコウの重要な避難場所になっています。この鳥は湿地や沿岸域で生息するように進化しましたが、そのような自然の生息地は再開発や公害による劣化による浸食を受けています。その結果、成鳥の個体数は1,000羽以下になったと思われます。

驚くような生命線が、インド・アッサム州のグワーハーティー市周辺のゴミ捨て場です。これらの場所が世界のオオハゲコウの半分を支える重要な採餌場所になっているのです。廃棄物トラックが到着する度に、彼らは集まって来て廃棄された肉を食道に詰め込みます。魅惑的な眺めではないかも知れませんが、ここはこれらの魅力的な鳥を確実に見ることが出来る最適地の一つです。

 

2.ブドウ畑

スペインのパゴ・エル・バルディオ葡萄園のオタテヤブコマドリ写真提供:© Juandie Andrades

スペイン、アンダルシア地方トレブヘナのパゴ・エル・バルディオの有機葡萄園は、オタテヤブコマドリに理想的な住処を提供します。

ワイン製造業者は自分の畑にオタテヤブコマドリがいることを慈しんでいます。 写真提供:© Juandie Andrades

オタテヤブコマドリは世界的には軽度懸念種ですが、この魅力的な鳥がスペインでは大幅に減っています。ただし鳥に優しい農業がこの減少傾向にストップをかけています。ワイン製造者は、このコマドリが多少のブドウを雛に与えるために盗んでも気にかけません。彼らがブドウをガツガツと食べる昆虫も食べてくれるからです。これは自然の形の防虫です。それに加えて、毎日の仕事場でこの美しい鳥がブドウの木の間を飛び回るのを見ると、気持ちも明るくなるのです。

 

3.聖なる森

インドのMawphlangの聖なる森は70種の鳥の生息地です。 写真提供:© Khushboo Damani

インドの「聖なる森」は森や自然の植生の青々とした断片で、通常地元民の神様に捧げられたものです。サンスクリット語で「雲の住まい」を意味する北インドのメーガーラヤ州では、地元コミュニティが古来より天然林の小さな面積を守ってきました。村人は死んだ先祖の魂がここに住んでいると信じています。誰もこの場所から果物、花、葉や木を採集しないので、結果として何世紀にもわたりほとんど人手に触れずに残されてきました。

小さいながらMawphlangの「聖なる森」は、オナガサザイチメドリ(絶滅危惧ⅠB類)を含む約70種の鳥の避難所なのです。そしてそれはこの国に点在する数百の平和のポケットの一つなのです。

 

4.塩田

人工物ですがモンテネグロのUlcinj Salinasのような塩田は鳥の採餌場所として極めて重要です。 写真提供:© Gregor Subic

人工物だからという理由だけでは、鳥にとって良くないという意味ではありません。保護活動と商業が手を携えて進むことができ、水鳥は伝統的な塩田の浅い水の中で餌を取ることを好みます。海水の自然の蒸発により塩を抽出するこの広大な場所は、しばしば壮大な渡りの旅をする鳥にとって重要な休息場所や採餌場所になるのです。事実、中国の塩田はヘラシギ(絶滅危惧ⅠA類)が生き残る上で重要な役割を果たし、先月の「鳥の年」特集のスターでした。

フラミンゴを含むすべての欧州の鳥の種の半分はUlcinj Salinasを訪れることが分かっています。
写真提供:© Center for Protection and Research of Birds of Montenegro (CZIP)

世界の別の場所では、モンテネグロのUlcinj Salinas塩田はなんと252種もの鳥の賑やかな生息地です。それにはフラミンゴやニシハイイロペリカン(準絶滅危惧種)が含まれます。しかし、世界的に塩田は費用効率が悪いために閉鎖されつつあります。そして、ある時点でこのサイトは、ホテルやゴルフ場に転換されました。保全のための戦いは続いています。

 

5.仏教寺院

タクツァン僧院―ブータン 写真提供:© Douglas J. McLaughlin

宗教上重要な場所は、多忙な世界ではしばしば平和と平静のオアシスです。それは鳥にとっても同じです。

チベットの標高の高い場所にある寺院は、極めて重要なキジ類の個体群の生息場所です。仏僧や尼僧は寺院を囲む光景に敬意を払うだけでなく、彼らはキジたちに餌をあげることを楽しみます。ラサ川を見下ろす山の坂の上に立つShongsep寺院は、チベットシロミミキジ(準絶滅危惧種)にとって安全な場所です。他の場所では本種は狩猟や森林破壊に苦しめられていますが、ここでは贅沢に暮らしており、よく馴れていることが多いのです。

 

6.都市の上空

パナマ市の上空に集まる猛禽 写真提供:© Alvaro Moises

町の中に住んでいても空を見上げれば、遅かれ早かれ必ず鳥を目にします。けれども場所によってはそれが極端です。

「ボトルネック・サイト」には多数の渡り鳥、特に大きくて目立つ猛禽類、コウノトリ、ペリカンなどが狭いエリアを通過し、バードウォッチングのショーを作り出します。このようなボトルネックは地形と気象により作られます。狭い谷、山の縁、海に突き出た半島などは鳥が、ヒッチコックの映画を思い出させるような驚くべき空中のフォーメーションを作って狭い場所を通るのです。

時にはこのようなボトルネックはジブラルタルやパナマ市のような大きな都市に存在し、そこでは毎年春と秋に数十万羽、時には数百万羽の鳥が繁殖地と越冬地の間のフライウェイ上で頭上を飛びます。

 

地元の鳥を知ってください

鳥は手付かずの森林や未開の湿地にだけ住んでいるのではありません。彼らは何処にでもいます。これが、バードライフが鳥の保護に必須の場所であるIBA(重要生息環境)のネットワークを定めた理由です。IBAにはあらゆる形と規模があります。Ulcinj塩田もIBAの一つです。Shongsep寺院Mawphlangの聖なる森ジブラルタルの岩場もそうです。グワーハーティーのゴミ捨て場の近くにさえもあります。Deepor Beelバード・サンクチュアリです。

これらの全てが保全されているわけではなく、私たちはそうなるように活動を行っています。今年の#BirdYourWorld運動に参加いただければ、私たちの支援となります。

 

報告者:Jessica Law

 

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