山火事によりボネリークマタカが危機に
アルガルベ地方で火事が猛威をふるったことから、SPEA(ポルトガルのパートナー)はこの地域の大切なボネリークマタカの個体群のために警鐘を鳴らしています。
8月、欧州で記録された今年最大の火事が、アルガルベ地方西部の山脈のモンチケ山地を襲いました。ここは国際的に認知されたIBA(鳥を指標とする重要生息環境)で、Natura2000の保護区でもあります。わずか1週間で27,000ヘクタールが炎で焼きつくされました。この地域はボネリークマタカにとって重要な避難所で、SPEAはポルトガルだけでなくイベリア半島および欧州にとって重要な個体群のことを心配しています。
偶然にもポルトガルの「2018年の鳥」に選ばれているボネリークマタカは、1980年代に同国で極度の個体群減少に陥りました。近年、その運命は北部と南部で著しく異なっています。ポルトガル北部では減少は変わりなく続き、この10年だけで40%も減りました。これに対して南部では個体数が順調に増加し、実際に全国的な傾向を取り戻しました。ただしこれには落とし穴があります。保護活動家たちは南部での成功の秘密の一部は森林火災の際にはクマタカをより大きなリスクにさらす可能性のある習性によるものと考えています。「ポルトガル南部ではボネリークマタカは、岩の多い崖に営巣する代わりに巨木の上に営巣することを好みます。これは火事が現在使われている巣を破壊するだけではなく、今後ペアが新たに営巣する可能性のある他の木も損傷する危険があることを意味します。」とSPEAの陸地保全部門のヘッドJoaquim Teodósioは言っています。
このような環境では火事はしばしば起きますが、最近の火事は信じられないほどの広大なエリアに広がっています。焼け落ちたエリアには少なくとも5ペアが営巣していることが知られている他、他の幾つかの巣も炎で壊されたものと思われます。近隣のテリトリーにいる他のペアも影響を受けたか、危険な目に合っている可能性があります。炎が収まった今もなお本当の影響が判明するには時間が必要です。確かなのは当分の間は綿密なモニタリングが必要だということです。
これほど大規模な火災では地元の動植物への影響も大きいでしょう。彼らがどのように復活するかは種および個体群が受けた影響の程度によります。巣への直接の影響とは別に、この火事はボネリークマタカの餌となるヤマウズラ、ハト、ウサギなども死なせてしまい、餌不足を招いています。
状況は厳しく思えますが、SPEAのボネリークマタカ・ワーキング・グループのRita Ferreiraはかすかな希望を与えてくれます。「テリトリー内の重要エリアが影響を受け、幾つかのペアが営巣や採餌する場を失ったのなら、入れ替えが起きる可能性があります。即ち彼らは森林全体に再分布し、異なる方法スペースを利用しなければなりません。これが2012年の山火事の後で私たちがカルデイラン山地で目にしたことです。」
報告者:Sonia Neves
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