ブルンジの野鳥観察路にカバが侵入!!
アフリカの鳥類のホットスポットにカバが出現したことは、面白いことであると同時に危険なことでした。しかし、この現象はこれらの巨大な哺乳類を通常の住処から追い出してしまった人間の侵入という根本的な問題を明らかにするものです。
毎月第1土曜日に、ABN(ブルンジ自然保護協会:同国のバードライフ・パートナー)のメンバーは有名な探鳥の旅Naturewalkの準備をします。参加者は真新しく美しい鳥を見ることを期待して出発します。この自然の中での時間の共有は、生息環境の状況を観察・監視する貴重な機会でもあります。参加者は彼らのルート上での汚染、環境劣化、土砂崩れ、密猟などに注意を払っています。
2018年3月3日に、Naturewalkはブジュンブラ市(ブルンジの首都)郊外のButerere下水の沼を探索するためにメンバーを連れて行きました。探鳥会の最大の魅力には聞こえないかも知れませんが、実際に廃水は生命の豊かな多様性を支える栄養を提供し、ここに集まり採餌する鳥の巨大な群を惹きつけるのです。
しかし、この日、このエリアの特別な鳥(クロシロカンムリカッコウを含む)を楽しんでいたバードウォッチャーは、地元の子供たちの「止まって!カバに襲われるよ!」というパニックの叫び声により中断されました。
全員が驚き、鳥類学者ガイドのEric Niyongaboが周到に計画した、のどかな散歩道は突然危険なサファリに変貌しました。
しかし、このカバは人の居住地にあまりにも近いButerereの水辺で何をしていたのでしょうか?住民だけが驚いたわけではありません。最近単独のカバが近辺をさまよっているのを見たという報告が幾つかあったのです。何人かの住民は、特にこの個体を見たと主張しています。「このカバは子供が近付いても平気で、触らせるほどです。地元の家畜までもがカバを母親だと思って近づいています。」。しかし、この大きさの動物となると近付いた人達が、踏みつぶされたり傷つけられたりする危険があります。
通常これらの動物は、町のはずれにあるタンガニイカ湖に流れ込むRusizi川にいます。かつては自然のままだったこの景観は、今ブルンジの首都の人口増加と急速な拡大による農業と開発に徐々に浸食されています。
カバは通常一夫多妻制で攻撃的な雄が支配する大きな群れで生活し、雄にとっては雌とテリトリーの保護が一番の関心事です。従順性が高いか闘争能力を欠く雄は群から離れ、仲間から孤立して単独になります。これが、Buterereにはまだ緑の空間が十分にあることと、彼らの本来のテリトリーが破壊されたことと重なって、これらの巨大な草食動物がここに避難場所を求めてやって来た理由です。それが私たちナチュラリストの活動を妨げるのです。
草食動物でありながら、カバは毎年2,900人が殺される原因となっている最も危険な動物です。しかし人間はカバに対して同じほどの脅威であり、しばしば自分のコミュニティを守るためにカバの群に侵入し、根絶させるのです。人とカバの居住地の重複が両者にとって悪い結果をもたらすと言っても良いでしょう。
安全のためにNaturewalkの参加者は、この巨大な野生動物に出会えたことに皆感動しつつ、元来た道を引き返し、カバの未来を懸念しました。
この予期せざる出会いは、貴重な教訓を痛切に感じさせます。すなわち、少しずつであっても野生の空間に侵入することは何らかの結果をもたらします。人間と野生生物の争いを避けるために、私たちはブルンジで施行されている環境条例を守らなければなりません。同条例ではタンガニイカ湖の岸から150m以内、他の湖では50m以内、川では25m以内に一切の建物を建ててはならないと定めています。これらの対策は、土地利用に関する適切で共通のアプローチなどを、より強力に施行されねばなりません。そうしなければ、今回のような予期せぬ出会いが、更に増えることになるでしょう。
報告者: Blandine Mélis, BirdLife Africa & Eric Niyongabo, ABN