世界アルバトロスデー2021

©Darren Fox

6月19日の世界アルバトロスデーは、アホウドリ類の鳥たち、その保全に取り組む人々、そしてアホウドリ好きな多くの方々にとって特別な日です。

20年前の2001年6月19日に、「アホウドリ類及びミズナギドリ類の保全に関する協定(ACAP)」が締結されました。世界の13の締約国が、国際的な協力や協調、海鳥が直面する脅威の緩和を通じて、これらの鳥の保全に努めることを約束しました。そしてACAPは2019年5月、毎年何万羽ものアホウドリ類やミズナギドリ類が今もなお漁業活動によって命を落としているため、危機的状況が継続していると宣言しました。

脅威にさらされている海鳥たちのことを思い、その保全に対する意識を高めるための世界的な記念日が必要であると考え、2020年6月19日が世界アルバトロスデーの記念すべき第一回目となりました。

改善されなければいけない保全問題が多く残っており、特に漁業による混獲が深刻です。ACAPは、2021年の世界アルバトロスデーのテーマを「アホウドリに優しい漁業」と決めました。さらに、今年の記念日を象徴する種類として、英国海外領土のゴフ島に生息するゴウワタリアホウドリ(Tristan Albatross)と、エクアドルのエスパニョラ島とラプラタ島に生息するガラパゴスアホウドリ(Waved Albatross)を選びました。

  

世界アルバトロスデーをお祝いするにあたり、SNS(英語版)では2週間ほど前から第一回アルバトロス・ワールドカップが開催されています。世界中の人々がお気に入りの種類に投票をしながら、世界のアルバトロス22種類について楽しく知ることができるイベントです。Twitterでは@AlbyTaskForce、Instagramでは@albatross_storiesで「試合」の結果をご覧いただけます。また、ハッシュタグを使っても検索いただけます(#WorldAlbatrossDay#WAD2021 #AlbatrossWorldCup)。

アホウドリに優しい漁業は、バードライフ・インターナショナル海洋プログラムとそのパートナー団体が過去20年間に渡って提唱し、取り組んできたものです。2004年以来、バードライフ・インターナショナルと英国のパートナー団体RSPB(英国王立鳥類保護協会)が共同の海洋プログラムは、世界中の漁業者、政府、漁業地域と協力して、海鳥の保全に取り組んできました。2008年には、はえ縄漁におけるアホウドリの窮状を訴えるためにビデオを制作しました。

このビデオが制作されて以降、アルバトロス・タスクフォースの活動を通じて、いくつかの著しい成功例を目にすることができるようになりました。2014年には、メルルーサを獲るトロール漁における海鳥の混獲を、90%削減しました。そしてナミビアの底はえ縄漁では、アホウドリ・タスクフォースと漁業者の協力により、2021年の前半までに混獲を98%削減することに成功しました。これにより、毎年22,000羽の海鳥が混獲から守られています。

このような保全活動の成功例がある一方で、まだ取り組むべき課題が多く残されています。最近のニュースでは、深刻な危機種(絶滅危惧種の中でも最も絶滅が心配される)であるゴウワタリアホウドリが、公海のマグロ漁業によって命を落としたことが報じられ、私たちが保全活動を継続する必要性が改めて認識されました。

海洋プログラムの科学チームは、海鳥追跡データベースを通して世界中の素晴らしい研究者からデータを集め、アホウドリやその他の海鳥がいつどこで脅威に晒されているかを研究し、海鳥保全の最善策を考えています。

私たちが行っている追跡調査の最近の例では、ワタリアホウドリがどこに行き、どこで漁船に遭遇するのかを調べています。英国南極調査隊と協力し、レーダー探知機を使って混獲のリスクを追跡しています。このような追跡データは、公海における漁業を管理するマグロ地域漁業管理機関(RFMO)などの国際組織の政策の設定にも貢献しています。2021年には、海洋プログラムの博士課程の学生が、異なる国の管轄海域でアホウドリがどれだけの時間を過ごしているかを示す研究を発表しました。

アホウドリにとっての脅威は混獲だけではありません。繁殖地に持ち込まれてしまったネズミなどの外来種によって、多くの雛が襲われ命を落とし、成鳥でも被害が報告されています。ゴウワタリアホウドリなどの海鳥が生息するゴフ島では、RSPBとGough Island Restorationが共同で、外来種のネズミから海鳥を守るための取り組みを行なっています。

バードライフインターナショナルとRSPBは、SNSを通してアホウドリの情報を頻繁に発信しています。私たちと一緒に世界アルバトロスデーをお祝いし、世界のアホウドリたちの保全の重要性について考えてみませんか?

日本語アカウント: Twitter、Instagram、Facebook

 

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昨年初めての開催となった世界アルバトロスデーの経緯や様子についての記事

https://tokyo.birdlife.org/archives/world/18739

 

2020年の世界アルバトロスデーを振り返る記事

https://tokyo.birdlife.org/archives/albatross-news/18787

 

RSPBアルバトロス・ストーリーマップ

https://storymaps.arcgis.com/stories/802a1a96c04f4cd49834d038a2e2639e

 

 

 

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