Ana Carneiroが見るアホウドリ保全の現状(前編)

ワタリアホウドリに発信機を付けるAnaと調査員

当団体のAna Carneiroは、とても熱心で万能な海鳥生態学者です。南半球アホウドリ物語の舞台である、サウスジョージア島のバードアイランドでの研究を終えて、最近イギリスに帰国しました。現地ではテクノロジーを使って、漁業におけるワタリアホウドリの混獲リスクの可能性について調査をしました。

今回は、Anaが見たバードアイランドの様子について話をしてもらいました。数千羽のアホウドリが生息する海鳥の楽園は、Anaのような研究者にとっては「夢の場所」です。岩と草で覆われた亜南極の孤島に想いを馳せながら、この記事を読んでみてください。

どのような活動をしているのか、具体的に教えてください。

私はバードライフ・インターナショナルの海洋保全プログラムで、海鳥の生態学者として働いています。私の主な役割は、海鳥保全の優先地域を選定し、漁業による混獲(偶発的な捕獲)問題などを含む海鳥が直面している脅威の削減に努めることです。

今は、バードアイランドで繁殖中のワタリアホウドリにレーダー感知器を装着して、漁船に近づいていることを検出するプロジェクトに取り組んでいます。3ヶ月ほどかけてバードアイランドでデータを収集しました。このプロジェクトは、英国南極調査隊(British Antarctic Survey)と協働し、アホウドリたちにとって混獲リスクが高い時期と海域を特定することを目指しています。このような情報は、規則や科学オブザーバープログラム、混獲回避策実施のコンプライアンスのモニタリングを改善していくうえで、漁業関係者や各国政府にとってとても重要です。

海鳥保全のために働こうと思ったきっかけを教えてください。

私は以前から海洋保全のために働きたいと思っていました。海鳥は海洋生態系の中で大切な役割を果たしていて、驚くべき生活史を持つとても魅力的な生物なので、すっかり虜になりました。多くの海鳥、特にアホウドリ類やミズナギドリ類の個体数は急激に減少し、最も脅威に直面している鳥のグループの1つです。海鳥たちを守るためにバードライフ・インターナショナル海洋保全プログラム行っている取り組みにはいつも心を動かされ、このプログラムの一員として働いていることを嬉しく思います。

求愛行動をするワタリアホウドリ

バードアイランドに到着した時の印象はどうでしたか。

最初は信じられない気持ちでした。バードアイランドは海鳥研究者にとって夢のような場所です。そこで繁殖するする素晴らしい鳥たちと3ヶ月をともに過ごせることは、貴重な特権だと感じました。

バードアイランドという人里離れた場所では、休暇はどのように過ごしたのですか。

現地ではそれほど多くの休暇はありませんでした。調査でワタリアホウドリに携わる時以外は、調査隊の手伝いをしたり、彼らの作業を見て学んだりしました。海鳥類の長期モニタリングをしているフィールド・アシスタントや、ハイガシラアホウドリとマユグロアホウドリの研究で現地入りをしているRachael Orbenさんの仕事を手伝う機会に恵まれました。普段はほとんど野外で過ごし、バードアイランドの隅々まで探索しました。

バードアイランドのアホウドリたちと過ごした時間で、特に印象的な出来事や思い出はありますか。

ワタリアホウドリは私が出会った中で最も素晴らしい鳥だと感じています。私のお気に入りの時間は、夕方基地に戻る途中で、若鳥たちの求愛行動を見ることができました。空に向かって首を伸ばして鳴いたり、お辞儀をしたり、おかしな鳴き声を出したり、独特な求愛ダンスをしたりで、何時間でも見ていられるくらい圧倒されました。また、アホウドリたちが歩いている姿も私のお気に入りとなりました。あれだけ大きな体でも、気づかれないようにと身をかがめて歩く姿には、なんとも言えない愛おしさを感じました。

身をかがめて歩くワタリアホウドリ

これまでの仕事で一番苦労したことを教えてください。

一番大変だと感じることは、長い間家族に会うことができないことです。

プロジェクトの一環として、南半球アホウドリ物語の主人公家族であるワタリアホウドリのママの行動を追跡したそうですが、その様子について教えていただけますか。

私たちが海洋環境を理解するうえで、ワタリアホウドリのママが大切な役割を担ってくれました。漁船がどのようにアホウドリたちに影響を及ぼしているか、理解する手助けをしてくれたのです。パパとママが交代で卵を温めていた頃、GPS発信機と船からのレーダを感知する装置をママに取り付けました。彼女は17日間で約2500kmもの距離を飛行していたのです。データはまだ解析中ですが、彼女はフォークランド諸島の排他的経済水域と、公海の両方で漁船と遭遇していたことがわかっています。

ワタリアホウドリの親子

後編では、漁業による混獲の研究について、Anaに更に詳しい話をしてもらいます。

この研究は、Darwin Plusからのご支援をもとに、バードライフ・インターナショナルと英国南極調査隊が協働で行っています。

写真:Ana Carneiro、 Alex Dodds

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