世界アルバトロスデーを多くの方々とお祝いしました!

ご存知の方も多いと思いますが、今年の6月19日は記念すべき第1回世界アルバトロスデーでした!翼の大きなワタリアホウドリに匹敵するくらいの大きなワクワク感を(という表現ですらちょっと物足りない)、世界中の人々と一緒に体験できたように思います。アホウドリについてまだよく知らないという方、忙しくて記念日を見逃してしまった方もいると思うので、今回のブログでは世界アルバトロスデーの様子をお伝えます。

2000年代前半、アホウドリ類及びミズナギドリ類の保存に関する協定(ACAP)が調印されました。13カ国が締結し(日本は未加盟)、国際協力、協調、脅威に対する解決策を通してこれらの海鳥の保全に努めることを約束しました。毎年何千羽ものアホウドリ類やミズナギドリ類が漁業によって命を落としており、危機的状況が続いていることを、ACAPは2019年5月に公表しました。多くの人々とこれらの海鳥達の魅力を共有し、危機問題への認識を高めるためには記念日が不可欠であるとし、2020年6月19日を最初の世界アルバトロスデーとして制定しました。バードライフのパートナー団体である英国王立鳥類保護協会(RSPB)が行ってきた海鳥の保全活動に関しては、こちらで詳しく紹介しています。世界アルバトロスデーに向けては、アホウドリ保全の専門家たちによる講演を毎日発信しました。アホウドリ・タスクフォース、RSPB、バードライフ・インターナショナル、イギリス南極調査所、漁業関係者からの講演者が、世界のアホウドリ22種類のほとんどが直面している危機について説明しました。個体群の動態や行動に関する研究や、絶滅の危機に最も瀕している鳥類グループの1つであるアホウドリ類の保全のため、私たち人間ができることについても話してもらいました。

世界アルバトロスデー当日は、イベントの1つとして開催したビデオ通話を使った専門家との質問セッションを通して、100人近くの方々と直接交流することができました。参加者が専門家の知識や仕事の内容について積極的に質問し、とても有意義な場となりました。マグロを扱うサプライチェーン(買い付け業者など)が海鳥の混獲問題にどのように影響を与えているのか、専門家それぞれのお気に入りのアホウドリの種類について(アホウドリたちを愛する専門家にとってはとても難しい質問です!)など、様々な質問が寄せられました。質問と回答の一部をご紹介しますね。


Evalineちゃん(7歳): アホウドリを間近で見るのはどのような感じですか?

Andrea Angel(バードライフ南アフリカ、アホウドリ・タスクフォース、チームリーダー):アホウドリ類が生息するゴフ島で1年間過ごしましたが、私の人生を変えてしまうほど、最も素晴らしい経験でした。アホウドリが私の頭上をカッコよく音もたてずに飛んだ後、餌を待つ雛がいる巣に向かって不器用に歩く姿を見たときは、心を打たれました。忘れられない思い出の1つです。謙虚な気持ちにさせられた経験で、そんなアホウドリにとても夢中になりました。アホウドリと雛の絆は驚くほどのもので、また、つがい相手を15分もの間羽繕いしている姿は息を呑むほど素敵でした。

 

Oliさん:康子さんの話の中では、日本のマグロ買い付け業者との協力に触れていましたが、アホウドリの混獲を減らすことにどのように役立つのでしょうか?

鈴木康子(バードライフ・インターナショナル、海洋・海鳥保全プログラムオフィサー): マグロはえ縄漁船は、混獲回避措置を取ることが義務付けられていますが、実際には全ての漁船が回避策を取り入れているわけではありません。漁業者にとって大きな取引先となるマグロ買い付け業者を巻き込むことが、漁船に混獲回避策の実施をさらに促し、意識の向上につながると考えています。

 

Grantさん:アホウドリ類の分布について、専門家の間でわかっていることはどのようなものでしょうか?

Maria Dias (バードライフ・インターナショナル、海洋科学コーディネーター):世界中の研究者からデータを共有してもらうことで、実は全てのアホウドリ類の追跡データが手元にあります。これらのデータによって、最近まで分からなかった海での行動パターンも把握することができ、研究に大きく貢献しています。しかし、若鳥の追跡は困難なので、まだデータが不足しています。雛は巣立った後、若鳥として数年間海を旅するので、通常のGPS発信機と異なるものを使ってのデータ収集が必要です(テクノロジーの発展がこれを可能にします)。

Caitlin Franklin(イギリス南極調査所、博士課程学生): 若鳥行動パターンは成鳥とは違っているようなので、若鳥の動きを研究することはとても重要です。漁船の操業域と若鳥の行動範囲の重なりが、成鳥とは異なることが考えられ、混獲のリスクは若鳥のほうが高いかもしれません。ハイガシラアホウドリに装着したGPS発信機からの追跡データを見ると、実際上記の理由で若鳥の混獲リスクのほうが高いようです。


アホウドリ専門家との質問セッションは、こちらのビデオか、アホウドリ・タスクフォースのYouTubeチャンネルからご覧ください。

さて、第一回世界アルバトロスデーが終わった今、次の世界アルバトロスデーまでの日数をカウントダウンすること以外には、何をしていけば良いのでしょうか。アホウドリたちが直面している危機との闘いはまだまだ続きますが、南大西洋に浮かぶ孤島、サウスジョージア島にボートで向かって問題に直接取り組めなくても、実は私たちに出来ることがあるんです。

  • 持続可能性を考えて買い物しましょう!スーパーではパッケージを確認し、講演者のArgos Froyanes(イギリスの漁業者)のように、混獲回避措置を使って獲った魚を選ぶことを心がけてみてください(日本ではArgos Froyanesの魚を購入できないかもしれないので、MSC認証のついた魚をお勧めします)。
  • 情報を拡散してください!アホウドリの驚くべき飛行距離や親鳥の献身的な子育ての様子、私たちの行動がどのようにアホウドリの生活に影響しているかなど、アホウドリについての情報を広めていきましょう。
  • 寄付をお願いします!混獲を99%削減した南アフリカでの成功例を、世界中に広げることがアホウドリ保全につながります。Friend of the albatrossの一員になって、ご協力お願いします。

講演者、そして質問をしてくださった皆さん、本当にありがとうございました。サウスジョージア島のアホウドリたちについて質問がある場合は、「南半球アホウドリ物語」のTwitter, Instagram, Facebookからご連絡ください。フォローもお願いします!

 

写真: Derren Fox、Oli Prince
執筆者:Samuel Wrobel
原文はこちら

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