悪影響をもたらすバイオ燃料よ、さようなら

悪影響の出るバイオ燃料を止めよう
写真提供: (c) BirdLife Europe

ヨーロッパは第1世代のバイオ燃料に背を向け、次に向かうべき場所への第一歩を踏み出しました。今週、欧州環境委員会は欧州理事会との間でILUC(間接的土地利用変化)協定を承認しました。これによりバイオ燃料に関する5年間の討議が終わりました。

4月14日、環境委員会は重要な投票を行いました: 理事会のILUCとバイオ燃料に関する‘採用するかそのままにするか’という提案に合意したのです。この決定を採択するに当たり、委員会は僅か1か月半前に取っていた元々のポジションを犠牲にしましたが、その基調は今後に向けたものでした: 即ち、ヨーロッパは最早第一世代のバイオ燃料を支援せず、未来の持続可能な運輸政策の基盤となる最初の要素を描き始めたのです。

ILUC(間接的土地利用変化)に関する論争は5年以上に亘って続いていました。それは再生可能エネルギー指令(RED)と燃料品質指令(FQD)に対する投票が2009年に行われ、運輸部門における再生可能燃料と燃料の脱炭素の目標が確立された時に始まりました。これは古典的バイオ燃料に巨額の投資を導きました: 第一世代のバイオ燃料とは菜種由来のバイオ・ディーゼルや小麦由来のエタノールなど食用作物から作られるもので、通常の燃料に直接ブレンドされ、それがどこに由来するか誰にも知られずに使用されていたのです。

既に2009年にはバイオ燃料の持続可能性についての懸念が言われていました: バイオ燃料の原料を栽培するための新たな土地は何処にあるのでしょうか?何処かそのスペースがまだ残っている自然のエリアで育てられるのでしょうか?直接的影響は避けるべきですが、間接的影響はどうなのでしょうか?世界中で重要な作物を作るための場所を奪って、それらの既存の場所で育成されたらどうなるのでしょうか?

これらの問題は法令が承認された時には解決されておらず、その結果、5年に及ぶバイオ燃料の影響、土地利用の変更、食物価格、食糧対燃料に関する倫理問題、間接的炭素排出、生物多様性と水の利用への影響、既存の投資、雇用の創造等々に関する討議が残されたのです。4月14日にこれらの5年に及ぶ話し合いの結果が環境委員会で投票に付され、4月29日の欧州議会総会で確認され、その後直ちにEUの閣僚により理事会で承認される予定です。

それでは現時点での最終的な妥協点は何で、それは何を意味するのでしょうか?それには3つの主要な要素があります: 第1に、第一世代のバイオ燃料に上限を決めたことです: 7%の上限が設定されたことによって土地を消費するバイオ燃料(運輸で使用される総エネルギーの8.6%を占めると推定)の成長に歯止めがかかりました。この件は欧州委員会が既に2030年の気象およびエネルギー・パッケージに関する通達の中に示しているメッセージと共に読むべきで、そこでは同委員会は意図して全ての将来の運輸目標を廃棄し、‘食糧をベースとした’バイオ燃料への支援を終わらせることを発表しました。これは、2020年後には第一世代のバイオ燃料に対する補助金が廃止されることを意味しています。

第2の要素は間接的炭素排出の報告です: たとえ、理想的にはこれらの排出はバイオ燃料への助成金を支払うかどうかを決める際に既に考慮されているべきであったとしても、この報告は強いメッセージを送ることになるでしょう。これにより明らかに、欧州は毎年高い間接的炭素排出の報告をしながら信頼できる気候政策を進めることは出来ません: 報告は私たち全員に運輸部門がより根本的に脱カーボンへの解決策を探ることを促すものです。

最後に、私たちが次に何を焦点にすべきかということについてのメッセージが送られています: ‘先進的バイオ燃料’に対する0.5%という低い副目標が、EU加盟国により現在は‘先進的’とされている既存の産業や農業からの副産物、あるいは林業廃棄物などの原料(疑わしいものもありますが)に対して提出されています。これは、より‘未来志向’のエネルギー効率や再生可能電力などの言葉により補強されています。それにもかかわらず、その中心的メッセージは規制者が過去の失敗を繰り返さないために(投資者が今回は真剣に考慮に入れるべきよう)、より持続可能性のあるシステムを求めているということです。これが、政策立案者が廃棄物の階層化と段階的使用、農業用地の争奪回避などに関するバイオ燃料のルールを導入した理由です。これは委員会がエネルギー連合通達に述べた全てのバイオ燃料の形式に関する将来の政策の主要要素であるべきです。

従って、たとえ多くの人が頭字語ILUC(間接的土地利用の変更)に混乱したとしても、環境委員会が投票したことは極めて単刀直入なことなのです: ヨーロッパは第一世代のバイオ燃料に背を向ける準備が出来ており、次に向かうべき第一歩を歩み始めたということなのです。

(報告者: トリース・ロビジンス)

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