CMSでの国際的な合意により、渡り鳥の保全への希望が見えました

これら二つの新しい合意が減少している渡り鳥の個体数回復を助けると期待されています。
写真提供: ハクガン Ken Slade; flickr.com

世界の渡り鳥を守る助けとなる二つの新しい国際的合意がまとまりました。

‘移動性野生動物種の保全に関する条約(CMS)’の締結国会議(COP)で薬物死の原因に取り組む一連のガイドラインが合意され、また400種以上の鳥を守るための画期的な実行計画が承認されました。
渡り鳥の薬物死を減らすための‘薬物決議’には獣医薬としてのジクロフェナクの禁止、全ての鉛の銃弾の廃止、および殺鼠剤、殺虫剤、毒入り餌への対策が含まれています。
これら5種類の薬物は渡り鳥に対する最大の脅威であると特定され、今回の合意はこのような脅威を終わらせる上で重要な節目となります。
バードライフの科学政策・情報担当ディレクターのメラニー・ヒースは「今回のCMSはこの非常に前向きな結果を喜ぶべきです。法的な拘束力こそありませんが、この合意は鉛弾、ジクロフェナク、その他の重大な原因による薬物死を終わらせることを各国政府が明確に約束したシグナルです。バードライフは今後政府機関、NGO、ハンターや農家など共に活動が進められることを楽しみにしています。」と言いました。
このガイドラインがカバーする薬物は総じて渡り鳥に対する重大な脅威です。例えばジクロフェナクは獣医薬としての使用が禁止される前にインドのハゲワシ類をほぼ全滅させてしまいました。今月末には欧州医薬品庁がEU(欧州連合)内で同じジクロフェナクの使用を認める決定を発表する予定です。
バードライフの欧州・中央アジア地域保護ヘッドのIván Ramírezは「鉛弾と獣医用ジクロフェナクは危険で、野生生物や人にも不必要な脅威を招きます。この両者には安全でコストも安い代替品があり、私たちは欧州委員会とEU加盟国が直ちに行動を起こすことを期待しています。」と言いました。
締結国会議で同時に承認された‘アフリカ・ユーラシア陸鳥アクション・プラン’ではアフリカ・ユーラシア・フライウェイを利用する400種以上の鳥の保護状況を改善するための方法も立案しています。このプランは地域規模での保護の必要性を確認し、グループで活動することがどれほど実質的な違いを生むことが出来るかを認識しています。
渡り性陸鳥の保護には、海鳥の保護とは非常に異なる、広範囲での取り組みが必要で、それにより、つながったサイトが保全できます。必要なのは渡り鳥と地元住民の両方に利益となるように、大規模な土地利用の決定に対して影響を与えることです。
この実行計画の特別な焦点は、アフリカでの土地利用に対して、貧困軽減、食と水の安全、砂漠化防止および気候変動緩和コミュニティ活動などと一体になって影響を及ぼすでしょう。
「これが正しく出来れば鳥と人の両方にとってウィン・ウィンの状態が作れるのです。」とRSPB(英国のパートナー)の種の政策オフィサーのニコラ・クロックフォードは言いました。「これらの枠組みは域内での渡り鳥を保護するEUの活動を大いに助け、また、フライウェイ沿いのどこか別の場所で保護活動が阻害されることによりEUの活動が台無しになることが絶対にないようにするはずです。」
(報告者: マーチン・フォーリー)

 

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