オーストラリアの公園でハンターが解放される
バードライフ・オーストラリアがニュー・サウス・ウエールズ州(NSW)政府による州内の国立公園と保護地域でのレクリエーション狩猟を認めるという決定を非難しています。
国立公園と保護地域は生物多様性の保護と‘自然や文化遺産とその保全への一般の人々による鑑賞、理解、楽しみ’などを高めるために確保されているものです(NSW国立公園・野生生物法1974年)。公園や保護地域内でのレクリエーション狩猟はこの法律の精神に反し、また他の公園利用者の安全を危機に晒すものです。
NSWの‘狩猟・野生動物取締法2002年’の改定はレクリエーション・ハンターがブタ、野良イヌ、野良ネコ、ヤギを79ヶ所の州の国立公園、自然保護区および州立保全地域で撃つことを可能にすることを意味します。
NSWの州知事Barry O’Farrellは、この決定はレクリエーション狩猟が保護地域に住む野生・野生化動物の抑制に寄与することに基づいていると主張していますが、実際には科学ではなく政治力学に基づいていることは疑いの余地がありません。知事自身のプレス・リリースにも「州政府は州のパワー発生器を売り込むための法律をスムーズに通すためにこの選抜除去プログラムの拡大を決定しました。」と述べ、これが正常な自然保護管理の原則に基づくのではなく、O’Farrell政府と狩猟・漁業団体の間の‘政治的取引’であることを正直に認めています。
バードライフ・オーストラリアは計画的、持続的な、目標を定めた、対象動物の苦痛を最小限にする駆除戦略を支持するものです。しかし、その場しのぎのレクリエーション狩猟は野生・野生化動物の管理には以下の理由で非効率です。
- 野生・野生化動物を怖がらせてプロのハンターの活動に対して益々用心深くしてしまい、むしろ特定地域の野生・野生化動物の繁殖率を高めてしまう。
- レクリエーション・ハンターによる野生・野生化動物の駆除数は真の野生・野生化動物の管理を助けるには不十分である。例えば、ビクトリア州では2002年~2003年にキツネの駆除に助成金を出して17万頭のキツネを殺したが、このスキームは効果が上がらなかったために中止となった。DPIの生物学者はこのスキームは州内のキツネの数を4%減らしただけで、狩猟の影響でキツネの数がその後速やかに回復し、むしろ増えている。
- 異端なハンターが狩猟の成績を上げるために保護区内に野生・野生化動物を放してしまう危険性が非常に高い。
狩猟許可はレクリエーション・ハンターが支配的なNSW狩猟委員会が発行することになっていますが、彼らには効果的で科学的に基づく野生・野生化動物管理プログラムを作る能力がありません。
バードライフ・オーストラリアはその会員、特にNSW州に居住する会員に、O’Farrell知事や州会議員に手紙を出し、自分たちはこの決定に反対であること、NSW政府が自然保護区にレクリエーション狩猟を導入するという約束の撤回を望んでいるということを知らせるよう促しています。