皆様のご支援により密売から鳥類を守る

狩猟により絶滅危惧ⅠA類になってしまったオナガサイチョウ 写真提供:© Shutterstock

違法な鳥類の取引が、アジアの鳥を絶滅に追いやっています。しかし、皆様からの助けがあれば、私たちは事態を好転させることができます。 今回は皆さんのご寄付により、過去1年間に私たちが成し得たことをご紹介します。

サイチョウ:

通常、私たちは素敵な「ビフォアー・アフター」を思い浮かべ楽しんでいますが、上の写真のオナガサイチョウの場合はそうではありません。 装飾的な飾りに変わる彼らの硬い頭の「カスク(犀角)」を求めて狩猟の対象になったこの絶滅危惧種1A類の鳥は、極限状態にあります。

皆様のサポートのおかげで、希望の泉は枯れません。 昨年、資金提供に後押しされて、すぐに活動を拡大することができました。 皆様からの寄付により、マレーシア自然保護協会(MNS、マレーシアのバードライフパートナー団体)は昨年、マレーシア・ボルネオ島の森林で調査を開始し、サラワクで見つかった8種のサイチョウのうち数種が確認されました。

研究者は、その地域のサイチョウに関する状況と彼らの認識を理解するため、地元の人々にインタビューを行いました。 たとえば、ブキ・ティバンのような場所は、アブラヤシ農園による侵入の増加に苦しんでいますが、ブンゴ・レンジのような場所は、狩猟の圧力に直面し続けています。

また、マレーシアのボルネオ島のサラワクで、最も重要なサイチョウの景観を特定するため、MNSが着手するのを支援することもできました。 これらの素晴らしい鳥の未来を見届けるためには、これらの最後の砦を守らなければなりません。

 

オウム:

インドネシア・ハルマヘラで発見されたタイハクオウム
写真提供:© Hanom Bashari / Burung Indonesia

私たちのインドネシアのパートナーであるブルーン・インドネシアは、北マルク州のタイハクオウム(絶滅危惧ⅠB類)の現地調査を無事に完了しました。 コサやガンダスリなど、私たちが活動している村では野生のタイハクオウムの狩猟が少なくなっていますが、残念ながら北マルクの一部の島々では狩猟が脅威となっています。 そのような場所の1つが、タイハクオウムの個体群の崩壊が懸念されるバチャンです。

私たちは、密猟の状況を把握し、コミュニティが代替の持続可能な生計を立てられるよう支援する活動などを行っています。また、地域の人々が荒廃した川岸の森林を再生し、流域管理を改善して地域の水供給を確保するのを支援しています。

 

鳴禽類:

地方の野鳥販売所で売られているシロハラチャムクドリの一種
写真提供:© Yogyakarta Ferry Hasudungan / Burung Indonesia

この数か月間、私たちはブルーン・インドネシア(インドネシアのパートナー)と協力して、ジャワの主要都市での鳴禽類の取引に最も依存しているコミュニティと、利害関係者の所在地を精密に地図に落とし込む作業を始めました。 これは、インドネシアで鳴禽類の保護を推進するために不可欠です。

バードライフとその共同研究者が、2021年3月にジャーナルArdeaに発表した新しい論文では、ジャワの草原や農地で最も一般的な鳥の1つであったシロハラチャムクドリの一種が、完全に姿を消したことを示しています 。本種は絶滅危惧ⅠA類で、野生絶滅種であることが証明される可能性がありますが、100万羽以上がペットとして飼育されています。

 

世界的調査:

調査はマレーシアの密林内を徒歩で行われた
写真提供:© MNS Kuching Branch

売買によって脅かされているいくつかのアジアの種の危機的状況を把握しており、上述のように対処していますが、野鳥の売買が他の多くの国で急速に増加しており、複数の用途と要因を持つ種のグループに影響を与えていることも十分認識しています。 しかし、世界の多くの地域での野鳥の売買の傾向と影響は、不明なままです。

そこで、ケンブリッジ保護イニシアティブの支援を受け、私たちは世界的な野鳥取引の概要を調査し、その結果を公表し、普及促進しています。 この出版物は、国際か国内か、合法か違法かを問わず、あらゆる種類の野鳥の取引を網羅し、その結果を利用して保護政策と実践に役立てることを目的としています。 このプロジェクトは、バードライフが主導し、TRAFFICIUCN、UNEP-WCMC、ケンブリッジ大学と協力しています。 さらに、ケンブリッジ大学の感染症学際研究センターは、野鳥取引を通じて発生する、人獣共通感染症(人間以外の動物からヒトに飛び火したもの)の感染リスクに関する専門知識を提供します。

データ収集と分析の最初のフェーズは、野鳥の売買に関する多数の公開された論文とレポートのレビューに焦点を当て、分析の準備のためにデータを編集します。 データベースなどの追加情報源も特定されており、違法行為に関するデータなどの、潜在的に機密性の高い情報の場合には、入手または要求されます。 また、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)と連絡を取り、調査への国内当局の関与について検討しています。 私たちは2021年半ばにいくつかの初期の発見があると見込んでおり、研究は2022年3月まで続けられます。

野鳥の違法取引をやめさせたい、という私たちの訴えを支持してくれたすべての方々に、心から感謝します。 私たちは本当に前向きな進歩を遂げてきましたが、まだやるべきことはたくさんあり、あなたなしではそれを成し遂げることはできないでしょう。

報告者:Sarah Proud

 

 

 

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