生物多様性条約第14回締約国会議(COP14)が開催中です

生物多様性条約第14回締約国会議(COP14)が、 エジプト、シャルム・エル・シェイクにて、11月17日(土)~29日(木)にて開催されています。

 

 

 

オープニングではアブドルファッターフ・アッ=シーシー エジプト大統領がご挨拶され、バードライフ・パートナーの中では、レバノンのSPNL(自然保護協会)が受賞した「生物多様性みどり賞」の表彰や、南アフリカのバードライフ・パートナーの表彰が行われました。

バードライフが特に表明しているものはこちらをご確認ください。

 

以下、レバノンのSPNL(自然保護協会)の「生物多様性みどり賞」受賞に関するニュース記事です。

 

より良い将来のために過去に目を向ける

Assad Serhal氏
写真提供: © SPNL

ハンターから自然保護活動家に転身し、現在バードライフ・レバノンの理事で2018年「生物多様性みどり賞」を受賞したAssad Serhalが、中東にコミュニティを基盤とする自然保護区を作るという重要な活動への動機づけを語っています。

 

レバノン山の麓近くのKeyfoun村で生まれたAssad Serhal氏は、自然とハンターに囲まれて育ち、父と一緒に荒野の中で狩猟に没頭しました。しかし成長するに共に狩猟が野生生物に与える影響を目の当たりにし、彼はその後の道を変えました。

自然保護は次第にAssadの主要な関心事の一つになりました。米国に渡ってオクラホマ州立大学で生態学と野生生物管理を専攻し、野外での経験を積むために数年間を米国で過ごしました。その後、市民戦争があったにもかかわらずレバノンに戻ることを決め、SPNL(自然保護協会:レバノンのバードライフ・パートナー)の共同創立者および事務総長になりました。現在彼はバードライフ・インターナショナル委員会の中東の代表でもあります。

Assadは先頃IUCN世界保護地域委員会会長である英国のKathy MacKinnon博士、マレーシア首相の前・科学アドバイサーのAbdul Hamid Zakri博士と共に権威ある2018年「生物多様性みどり賞」を受賞しました。「みどり賞」は、公益財団法人イオン環境財団と国連CBD(生物多様性条約)の事務総長が隔年に行う国際表彰で、世界あるいは地域レベルでの生物多様性の保全と持続可能な利用に傑出した貢献を行った個人に栄誉を与えるものです。Assadの受賞は、「Hima」と呼ばれる昔からの伝統の復活を行う、コミュニティを基盤とした彼の保護活動に対するものです。

以下はAssad氏へのインタビューです。

写真提供: © SPNL

Assadさん、なぜ内戦中のレバノンに帰国を決意されたのですか?

レバノン内戦が勃発した1976年には私はまだ10代でした。米国で数年を過ごした後私はレバノンの独特で極めて危惧される生態系の保全に貢献をするために帰国を決意しました。まだレバノンは内戦の渦中でしたが、レバノンの自然と絶滅が危惧される野生動物を保護するため、保護区を設定したかったのです。

 

レバノンの環境についてどのような印象をお持ちですか?

レバノンを含む中東は地球上の渡り鳥の2番目に重要かつ危機に瀕しているフライウェイに位置しています。レバノンは小国ですが驚くほどの環境の多様性があります。

 

あなたにとって自然保護は何を意味し、レバノンにおける自然保護活動家の役割は何でしょうか?

1984年にSPNLが少人数の自然愛好家により始められて以来、私たちの使命と目的はレバノンに保護区のシステムを確立し、野生生物の密猟を終わらせ、新しい狩猟法を推奨し、レバノンの若者に鳥と野生生物への関心を高めることに注力してきました。

’Hima’コンセプトの説明
写真提供: © Assad Saleh

新たに創設された環境省とのパートナーシップ、バードライフ、IUCN、UNDP(国連開発計画)の支援、GEF(地球環境ファシリティ)の資金によりレバノンに最初の3ヶ所の保護区を設定するのに10年強を費やしました。焦点はレバノンの文化・自然遺産とそのサービスを人々と共に、人々のために守ることでした。

国連気候変動会議COP18のセッションで司会をするAssad Serhal
写真提供: © SPNL

 

「生物多様性みどり賞」の受賞は今後の活動にどのように影響するでしょうか?

SPNLと私自身にとってこの受賞は、次世代のために「Hima」の復活を唱道するためのより大きな知名度と責任を意味します。

 

Hima」を復活させようとする考えの背景を説明してください。「Hima」とは何ですか?

「Hima」はアラビア語で「保護区」を意味しますが、同時に生活の様式、つまり、どのようにすれば水を損なわずに利用できるかとか、過剰放牧せずに放牧地を利用できるかなどです。この遺産はあなたが相続するだけで所有するわけではないので、あなたから家族へと引き継がれます。

Hima」は人々を立ち入らせない西洋の保護区(アラビア語で「Mehmieh」)の概念とは異なり、人々が利用するためにあるのです。「Hima」は地元コミュニティにより大切に管理され、コミュニティに力を与え、持続可能な生計手段をもたらします。

レバノンのHima Kfar Zabad湿地
写真提供: © Olivier Langrand

レバノンで「Hima」アプローチを行う上での課題は何でしたか?

NGOとして活動する際、内戦問題をかかえる地域で、権限と安全地帯を越えて主導することが常に困難でした。自然保護は、私たちの地域では政治的課題の上位に来るものではなかったので、SPNLは地元コミュニティと共同で活動することが必要であることを知りました。

幸に「Hima」は地元のコミュニティ、漁師、農民、羊飼いに責任感とプライドを与え、共感を得ました。これにより、Homat Al-hima(Himaコミュニティの若手自然のヒーローの意味)チームとの活動で見られるように、「Hima」は今後何年も続きます。

Al-Shoufヒマラヤスギ保護区
写真提供: © Olivier Langrand

自然保護の観点から中東における次のステップは何でしょうか?

中東は今後まだ何年も問題に直面するでしょうが、私の望みは地元コミュニティを強化し、地域の物理的、生態的、文化的環境と一致する自然エリアの管理に専心する同じ志を持つ人々のネットワークを作ることです。Homat Al-himaのネットワークは、現在、そして未来にとって、自然、野生生物の保護と皆の平和への私たちの最善の投資です。

最後に、イオン環境財団、CBD、生物多様性みどり賞国際委員会からのこの国際的な承認を光栄に思い、感謝する次第です。バードライフの世界委員会メンバーのShaw Lum博士、OSMEのRichard Porter、バードライフの事務局長パトリシア・ズリータに対しても私の活動への信頼とこの受賞に私をノミネートしてくださったことに感謝します。

 

報告者: Dima Obeidat

 

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