タンザニアの「フラミンゴ工場」湖が迎えた豊かな繁殖シーズン

ナトロン湖の暑く、強アルカリ性の水は他のほとんどの動物にとっては致命的です。 写真提供:© Christoph Strässler

ナトロン湖の調査員達が、去年と比べコフラミンゴの成鳥の数が130%、幼鳥は600%増加したと報告しました。これは地元住民の努力のおかげなのでしょうか?

コフラミンゴ(準絶滅危惧種)の世界で最も重要な繁殖地である北タンザニアのナトロン湖からの素晴らしいニュースです。バードライフは、タンザニア野生生物研究所(TAWIRI)およびEngaresero Eramatareコミュニティ開発イニシアティブ(EECDI)と共同で2019年2月に調査を実施しました。ここで素晴らしい繁殖シーズンについての報告をします。

「今年私たちは175万羽の成鳥をカウントしましたが、これは去年の76万羽と比べて130%の増加です。雛の数は2018年の12万羽から今年は995千羽となりこれは600%の増加です。」とバードライフのナトロン湖エコツーリズム・プロジェクトのマネジャーEmmanuel Mgimwaが報告しました。

このように豊かな年になった理由は、気象条件が良かったことによりますが、同時に、理想的な繁殖環境を作るために湖の集水域を復元した地元コミュニティの支援のおかげでもあるでしょう。2018年にタンザニア政府は、繁殖場所の安全を確保するためにソーダ灰工場建設を規制しました。

水鳥カウントに参加した地元コミュニティからのボランティア
写真提供:© Emmanuel Mgimwa

「ナトロン湖は東アフリカだけでなく世界で最も重要で定期的なコフラミンゴの繁殖場所です。TAWIRIは今回の活動をバードライフと共同で出来たことを喜んでいます。」とTAWIRIの水鳥カウント・コーディネーターのAlly Nkwabi博士は言いました。

「共同での活動が、ナトロン湖に素晴らしい結果をもたらしています。私たちはナトロン湖の完全な状態を保ち、実現可能な生計資源としてのエコツーリズムを振興するために地元、地域および国の政府機関と共同で活動をしています。去年ナトロン湖の集水域を復元するために5,800本の苗木を植えましたが、その90%が生き残っています。」とEECDI会長のStephano Sarayanは言いました。

地元コミュニティ、EECDIおよびバードライフで構成されるチームはTAWIRIと共同で湖の生態学的条件をモニタリングし、「ナトロン湖エコツーリズム・プロジェクト」の一環として年に一度フラミンゴや他の水鳥をカウントしています。

環境モニタリングと共にナトロン湖エコツーリズム・プロジェクトは、この地域へのエコツーリズムへの投資を促すための「ツーリズム開発計画」の準備も支援しました。152人の女性、29人の男性および71人の若者が、エコツーリズムの管理と小規模ビジネスを運営するための研修を受けました。このプロジェクトは間もなく小規模事業を支援する運用資金の提供を始める予定です。

観光客にビーズの工芸品を売るための売り場を2台設置したマサイ族の女性。
写真提供:© Emmanuel Mgimwa

Ngare Sero女性の会」の会長Mama Esuphat Ngoyasiは、「私達は力を得たように感じ、女性に対して投資をしてくれるバードライフと政府に感謝しています。私たちは観光客にビーズ工芸品を販売する場所を得ました。ナトロン湖の女性は、保護活動による産物を楽しみ始めています。」と言いました。

今年の「世界渡り鳥の日」(注:毎年5月第2週の週末2日間に開催。今年は511日~12日に行われた)が世界中で祝われている中、政府、資金提供者および市民社会団体が共同で活動することにより、自然と人類が共に反映する世界を創造することができることは心強いことです。

報告者:Ken Mwathe & Emmanuel Mgimwa

関連記事はこちら

  1. TOP
  2. 世界のニュース
  3. タンザニアの「フラミンゴ工場」湖が迎えた豊かな繁殖シーズン