湿地 ~鳥と人々の共有遺産~

バングラデシュのHaor湿地© Sayam U. Chowdhury

今年の世界湿地の日 テーマは「受け継がれる知恵:湿地を守る未来へ」です。

湿地が失われると、鳥だけでなく、湿地に関わる人々の暮らしや受け継がれてきた知識も失われてしまいます。BirdLife International(以下BirdLife)は、世界中の地域コミュニティと協働しながら、人と自然のために湿地を守る活動を進めています。

 

~ 湿地が支えるもの~
湿地は、食料や淡水を供給し、洪水や嵐から人々を守り、炭素を蓄え、生物多様性を支えており、世界では10億人以上が湿地の恩恵を受けています。

それは同時に、自然と人の営みが長い年月をかけて関わり合い形づくられてきた「文化的景観」でもあり、水位の変化や鳥の到来を観察しながら、人びとは自然と調和した暮らしを築いてきました。

また、湿地は水鳥にとって重要な繁殖地、採餌地、渡りの中継地であり、鳥は湿地の健全性を示す指標でもあります。鳥がいることは湿地が健全で豊かなサイン、鳥がいないことは環境の変化を表す警告のサインです。

Eurasian Spoonbill © Traveller MG Shutterstock

 

~失われつつある湿地~

湿地は他のどの生態系よりも速いスピードで失われており、1970年以降、世界の湿地の22%以上が消失しました。排水、汚染、持続不可能な土地利用、そして気候変動が主な原因です。湿地が損失すると、鳥の個体数は減少し、渡りのルートは分断され、繁殖地が失われます。これは生態系の崩壊だけでなく、食料や水、収入を湿地に依存する人々の生活基盤の喪失にもつながります。さらには、湿地とともに育まれてきた文化的慣習や言語、アイデンティティも損失する可能性があり、湿地を守るためには、科学と伝統、両方の視点が欠かせません。

~ パートナー団体による取り組み~

私たちのパートナー団体は、国境や文化、渡りのルート(フライウェイ)を越えて連携し、科学的根拠と伝統的知識を結び付けながら湿地保全を進めています。鳥は私たちの羅針盤です。鳥は、自然の異変と保全すべき湿地の優先順位を示してくれます。鳥と人の両方に耳を傾けることで、地域の知識を世界的なインパクトへ繋ぐことが可能となるのです。

・クック諸島では、Te Ipukarea Society が若者と先住民の知識を結び付けることで、湿地や沿岸生態系を守り、絶滅寸前だったカケロリ(Rarotonga Monarchの個体数回復を支えています。

・レバノンでは、Society for the Protection of Nature in Lebanon が伝統的な地域主導型資源管理制度「ヒマ」を復活させ、リタニ川 を守ることで、アフリカ–ユーラシアフライウェイの重要な回廊を作り出し、地域住民の手で維持しています。

・マラウイでは、Wildlife and Environmental Society of Malawi が地域社会と協働し、湿地への深い知識を持つ元ハンターたちが保全の担い手となることで、チアラグーン生態系を回復させ、水鳥の減少を食い止めると同時に、地域の生計向上にも繋げています。

Great Knot © rock ptarmiganShutterstock

~ともに歩む未来へ~

湿地は、自然も人も互いに繋がっていることを教えてくれます。伝統的知識を尊重することは、生態系だけでなく、世代や地域との絆を守ることに繋がります。湿地を、命を育む基盤として称え、文化と保全がともに発展する未来を目指していきましょう。

BirdLife International CEO Martin Harperによるコメント

原文 

(本文を一部編集しました)

Wetlands: a shared heritage for birds and people – BirdLife International

 

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