世界で最も希少な鳥の新しい繁殖地を発見

南アフリカMiddlepunt湿地での発見に大喜び 写真提供:© Niall Perrins

アフリカシマクイナ(絶滅危惧ⅠA類)の繁殖地がこれまで考えられていたエチオピアだけでなく、南アフリカ共和国でも確認されました。これはバードライフ・南アフリカの隠しカメラによる発見のおかげで、本種の保護に新しい光を投げかけるものです。

これまでアフリカシマクイナについて私たちが知っていると思っていたことが、最近の隠しカメラで撮られた映像で一新されました。今までは非繁殖のアフリカシマクイナが訪れるだけだと考えられていた南アフリカのMiddlepunt湿地で、不思議な写真が記録されました。そこには雄と雌の両方が翼の白い羽を見せて、興味深い羽ばたき行動を行っている映像が映っていました。餌を食べていること以上の何かが起きていたのではないでしょうか?本来なら出来過ぎた話です。しかしその後、最終的な証拠が出てきました。まるまると太ったまだら模様の幼鳥が、下草の間を走り回っている映像です。この新しい知見は全てを変えました。

絶滅危惧種アフリカシマクイナをアフリカ本土で最初の絶滅種にしないためには、得られうるすべての知識が必要です。最近の推定で、成鳥の個体数が250羽以下とされるこの美しく見つけにくい種は、急速に数が減っています。標高の高い所にある彼らの湿地の生息地は、人間活動により劣化しています。家畜の過放牧、野焼き、農地への転換、汚染の増大などが原因です。これがバードライフ・南アフリカエチオピア野生生物自然史協会(同国のパートナー)および国内外のイニシアティブが、絶滅の瀬戸際にある本種を守る「種の活動計画」策定のために力を合わせた理由です。

今までエチオピアだけが唯一の繁殖地だと考えられていたアフリカシマクイナ
写真提供:© Sergey Dereliev

これまでは次のように考えられていました:アフリカシマクイナは、エチオピアと南アフリカだけで定期的に観察される種です。両国で採取された羽から得られたDNAサンプルは、遺伝的な類似性を示しており、そこから彼らは同一個体群のもので、2国間の4,000㎞の距離を渡ることを暗示します。アフリカシマクイナは先ず、7月から8月にエチオピアのBerga湿地で繁殖し、そこから南アフリカの東部の標高の高い湿地に渡り11月から3月までそこで過ごします。

しかし、この謎の多い種に関する情報を集めるのは困難です。大きな問題の一つは本種の声が分からない事です。声を録音するためにはまず姿を見つけなければならないのです。そこで過去2年間、バードライフ・南アフリカのRobin Colynと生態学者のAlastair Cambellが、「バードライフ・南アフリカ・クイナ類調査方法」と呼ぶ謎の多いアフリカシマクイナを調査するための革新的な隠しカメラ方法を開発しました。

アフリカシマクイナを記録するための先駆的な隠しカメラを設置するRobin Colyn と Alastair Campbell
写真提供:© Carina Coetzer

カメラは南アフリカのベルファスト近くのMiddlepunt湿地に設置されました。およそ40万枚のトガリネズミやその他の小動物の動きによりによりシャッターが切られてしまった写真を、選り分けることにチームは驚きました。まずこれまで見られたことのないアフリカシマクイナの翼を羽ばたく行動が撮影されていました。これに元気付けられたRobinとAlistairは技術を高め、カメラの台数も20台に増やしました。これにより遂に確実な繁殖の証拠を見つけたのです。

アフリカシマクイナは早成性の種で、雛は孵化後すぐに巣を離れ周囲を歩き回ります。この独立した行動のお蔭でカメラは孵化後わずか2日の雛からおよそ4週間の幼鳥までの姿を捕えました。実際に125,000枚の映像から少なくとも3腹分の雛と、2回の交尾行動が見られました。

アフリカシマクイナの幼鳥は非常に早い段階から単独で採食を始めます。
写真提供:© BirdLife South Africa

「鳥の本は書き直しが必要になるでしょう。Middlepunt湿地でのアフリカシマクイナの繁殖が、100%確認されたのです。」とバードライフ・南アフリカのCEOのマーク・アンダーソンは興奮気味に言いました。

「これはアフリカシマクイナが、南アフリカへの「非繁殖のビジター」ではないことを確認するものです。」とバードライフ・南アフリカのRobin Colynも言っています。

ただし、新繁殖地の発見は必ずしも個体数が多くなったことを意味するわけではありません。「私たちの発見がアフリカシマクイナの保護にとって、何を意味するかまだ定かではありません。私たちの調査は、少数の個体を確認したにすぎません。ですから、知見が増えるまでは、本種は極めて数が少なく、絶滅の縁にあるという想定をしておきます。」とバードライフ・南アフリカの陸生鳥類保護プログラムのマネジャーHanneline Smit-Robinson博士は言っています。

本種が野生で生きているようにする競争において、知識は力です。Smit-Robinson博士は付言します。「バードライフ・南アフリカは新開発の「クイナ類調査方法」を少なくともあと3ヶ所の湿地に使用を拡大し、そこにアフリカシマクイナが生息し、願わくは繁殖していることを確認したいと思っています。」

翼の白い羽を見せている姿がカメラで捕えられたアフリカシマクイナの雌の成鳥
写真提供:© BirdLife South Africa

アフリカシマクイナの英名White-winged Flufftailの一部になっているFlufftail(「フワフワの尾」の意味)は、鳥の名前としては魅力的で、本種が見事な、ホタテガイのような扇形に短い尾羽を広げているのをご覧になればうなずけます。Middlepunt湿地は、個人の所有者がバードライフ・南アフリカと共同で運営している保全された環境ですが、アフリカシマクイナはまだ私たちが知らないもっと危険な場所でも繁殖しているかも知れません。私たちはこの鳥に関して、より多くのことを知る方法を考え出したのですから、それをフルに活用しなければなりません。

「ついに私たちは、世界で最も稀な鳥の「渡り」の謎の解明に一歩近づいたのですが、まだ学ぶべきことは山ほどあります。私たちはバードライフ・南アフリカが、この非常に危惧される種が絶対に必要とする保護を確実に得られるようにするために、より多くのデータを集められるよう人々に支援するように働きかけています。」とバードライフ・インターナショナルのレッドリスト・チームのAndy Symesは言っています。

 

報告者:Jessica Law

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