パラオのシギ・チドリ類が危ない
原始の沿岸性湿地ペリリュ-は何世紀にも渡って地域の芸術と文化を大切にしており、ホウロクシギなど絶滅危惧のシギ・チドリ類の避難場所でもあります。しかし、人と自然の永年にわたる結びつきが近隣でのリゾート開発により脅かされています。
熱帯の島嶼国パラオの内側に位置するペリリューは、数百年も無傷だった原始の砂の平地で形成された干潟と島々から成る場所です。ペリリューは、繁殖地である東アジア、シベリア、アラスカの極地方、亜寒帯地方からオーストラリア、ニュージーランド等の南の海岸環境を渡るシギ・チドリ類の中継地を担って来たことから、このエリアは永年に亘り多くのシギ・チドリ類のサンクチュアリでした。マリアナツカツクリ、ホウロクシギ、オバシギなどの世界的な絶滅危惧種がペリリューに依存しています。望ましい干潟の条件が豊富な採食の機会を与え、島々は完璧な休息場所を提供します。このため、バードライフはこのサイトを世界的に重要なIBAのリストに加えたのです。
歴史を通してシギ・チドリ類とパラオ人の間には、永年にわたる結びつきが生まれました。その様子は地元の価値観、信仰、口述歴史資料、文学、芸術、歌などに見ることが出来ます。この結びつきはパラオ人とホウロクシギの関係、「Delerrok」に表されています。文化、誇り、繁栄を表す古代の偶像Delerrokは、パラオ語で「バイ」と呼ばれる首長の集会所にも描かれています。口述歴史資料には、ホウロクシギはパラオに初めてお金を持ち込んだので地元で通称「マネーバード」という名を得たと伝えられています。残念なことに、現在ホウロクシギは危険な状態です。近隣の小島が、海外の開発業者に30万米ドルでリゾート開発を目的として賃貸されたのです。島でのリゾート施設の運営はサンゴ礁原へ進出することになり、絶滅の恐れのあるシギ・チドリ類や他の野生生物の生息地の劣化につながります。
パラオ自然保護協会(パラオのパートナー)は、このエリアの保全活動を実施してきました。私たちは地域住民と鳥の両方に対して、ペリリューが果たす重要な役割を強調し、大衆や政治家にこのエリアが保全の必要があることを納得させるロビー活動を行っています。地元と国際的な圧力によりこの場所が保護区の国内ネットワークに含まれるようになれば良いと願っています。
報告者:Lolita Gibbons-Decherong, Palau Conservation Society
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