絶滅危惧種の最後の生息場所:その半分は未保全のまま

ブラジル:アラリペマイコドリの最後の避難場所は国により保全されている 写真提供: © Ciro Alban

Alliance for Zero Extinction(絶滅ゼロ同盟)が、たった1ヶ所でしか見られない極めて絶滅危惧度の高い1,483種の生息地地図を作りました。今回の発表は、これらのかけがえのない場所のより良い保全が緊急に必要であることを示しています。

ある種の個体数が非常に少なくなり、一ヶ所でしか見られなくなることがあります。あるいは、ある地域のみにしか生息していなかった種が、以前にはなかった脅威に直面していることもあります。いずれにせよ、種の絶滅を防ぐためにはこのような場所を保全することが不可欠です。

そうした場面に登場するのがAlliance for Zero Extinction (AZE)です。AZEは、種を絶滅の縁から引き戻すために世界の95団体が共同で活動するパートナーシップです。今回、創立メンバーであるバードライフ、IUCN(国際自然保護連合)米国鳥類保護協会(ABC)は、3年かけて絶滅危惧IA類とIB類の動植物の情報を更新しました。今回、 「AZEの決め手となった種」が1,483種に増え、さらにその生息域が853ヶ所のAZEサイトに限られていることが示されています。この地図は保護活動の労力をどこに集中するかを決め、開発業者に回避すべき場所を伝えるのに役立ちます。

バードライフの世界科学コーディネーターで、新しいAZEサイト評価のコーディネーターを務めたIan Burfield博士は「私たちは今回853ヶ所のAZEサイトを特定しました。以前に知られていたよりもずっと多くの場所が最後の砦となっていたことがわかったのです。絶滅危惧種を救う最善の方法はこれらの生息地を保全することですが、なんとこれらのサイトの43%は公式な保全が何ら行われていないのです。」と述べています。

ブラジルは、世界でAZEサイトの数が3番目に多く、この問題に取り組んでいる最前線となっている国の一つです。7月にブラジルはAZEサイトを法律に組み込んだ世界初の国となり、開発と保全計画のすべてで考慮されることになります。バードライフの最近の発表で野生絶滅の可能性が高いとされたアオコンゴウインコ−アニメーション映画「Rio」のBluでよく知られる−にとっては、この重要な法律が早過ぎたということはありません。

ブラジルではアオコンゴウインコを野生復帰させるために懸命な活動を行っています。
写真提供: © Al Wabra Wildlife Preservation

ブラジル環境省の種の保全・管理局の局長Ugo Eichler VercilloはAZEサイトのより広義の目的を強調します。「保護区を増やし、種の減少に取り組むという愛知目標の達成にはまだ道半ばであり、AZEサイトの保全はこうした目的を達成する最速の方法であり、世界の自然保護の優先事項であるべきです。」

これまでの事例からも、AZEのアプローチが効果的であることが示されています。2種の美しく絶滅が非常に懸念されている毒ガエルが生息するコロンビアのAZEサイトは、Ranita Dorada両生類保護区に指定されました。世界で初めての両生類の保護区です。この保護区によってこれらのカエルの状況は劇的に改善し、AZE対象種ではなくなり、同サイトもAZEリストから除外されました。

アゾレスウソも成功例の一つです。AZE対象種にリストアップされた後、自然保護活動家は本種の生息地、ポルトガル、アゾレス諸島のSão Miguel島でウソの餌となる植物に被害をもたらしていた外来植物の駆除による大規模な環境復元キャンペーンを始めました。その結果、個体数は2005年の40羽から2016年にはおよそ1,000羽に急増し、絶滅危惧IB類から同II類に格下げされ、São Miguel島もAZEサイトのリストから除外されました。

アゾレスウソは復活を遂げ、その生息地はAZEの地図から除外されました。
写真提供: © Ricardo Ceia

「良く管理された保護区が絶滅を防ぐことは証明されています。少なくとも20ヶ国の政府は既にAZEサイトの保全を行っていますが、AZEサイトがある他の109の国と地域も今すぐにこれらの特別な場所を守るための行動を起こすべきです。」とAZEの会長でABC会長のMike Parrは述べています。

バードライフの政策ヘッドで本プロジェクトのコーディネーターのNoëlle Kümpel博士は「アオコンゴウインコの野生絶滅はまさに「警鐘」です。しかし、良い活動があれば事態を逆転させるのに遅すぎるということはありません。AZEサイトは本当に私たちの最後のチャンスです。これらのサイトを失うことは、地球上の他のどこにもいない種をすべて失うことなのです。非持続可能な開発によるこれらのサイトへの脅威は増える一方です。他の政府もブラジルに習い、これらのかけがえのない場所を保全するための強力な対策を導入しなければなりません。」と強調しました。

報告者: Jessica Law

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