アフリカ最大の湖の守り人

ハシビロコウ 写真提供: © David Thomas

ビクトリア湖周辺地域の人々が貴重な湿地と生物を守る活動を共同で進めています。世界最大の熱帯湖である同湖は3つの国にまたがっており、その周辺の豊かな野生生物と貧しいコミュニティを支えています。けれども同時にハシビロコウなどの象徴的な鳥を狙う密売人などの望ましくない人たち集まってくるのです。

東アフリカのビクトリア湖北西岸のマバンバ湾湿地に日が昇り、カヌーがゆっくりとパピルスとヨシが続く曲がりくねった水路を進みます。薄い霧が水にまとわりつき、3人の旅行者は聞こえて来る小さな音や翼の羽ばたきの音を聞くたびに興奮して飛びあがります。彼らをガイドする地元Kasanje村の漁師Julius Musendaはこの湿地を手の平のように知り尽くしており、鋭い目で彼らが求めている鳥を探します。

マバンバ湾はウガンダでハシビロコウを見るのに最適な場所として有名ですが、見られるかどうかは運次第です。旅行者たちは飛行機に乗るために間もなく帰らねばなりません。居た!ついにMusendaが1羽の鳥を示しました。巨大な嘴と小さな白い目を持つ間違いようのない青灰色の鳥が、次の食事となる魚が泳いでくるのを石のようにジッと待っています。彼らは息を呑み、双眼鏡の焦点を合わせ、カメラのシャッターを切るとMusendaはやっとホッとして微笑みました。旅行者たちは満足してウガンダを離れることができます。良い仕事ができました。

マバンバ湾を訪れる観光客
写真提供: © David Thomas

Musendaはマバンバ野鳥ガイド・保護協会のメンバーで、同協会は他の二つの地域保全グループ(LCG)と共にマバンバ湿地エコツーリズム協会(MWETA)を構成しています。これらのコミュニティ・グループは湿地の自然資源を保全し、持続可能な方法で管理することを目指すボランティアにより運営されており、また世界中のバードライフのIBA(鳥を指標とする重要生息環境)で活動する2,000を超す同様の団体とネットワークを組んでいます。

ハシビロコウ、クロハリオツバメ、アカハラセグロヤブモズやシタツンガ(ウシ科の哺乳動物)などを見にやってくる観光客は増え続けており、地元住民に重要な収入源となっています。ですから2013年と14年に野生生物の密売人が動物園や個人コレクターへの販売のためにハシビロコウを狙い始めた時、地域の人々は直ちに密売根絶のために直接行動を開始しました。

地元の人たちは湿地の管理者としてよく組織化され、自身のやるべきことを十分に知っており、直ちに自信を持って対応することが出来ました。マバンバ湿地は湿地とその資源の保全および持続可能な利用の枠組みを提供する国際条約であるラムサール条約により保全されているIBAなのです。彼らは地元の法の執行機関や政府機関とも緊密な関係を築いており、必要に応じて支援を得ることができます。

マバンバ湾は同地域内の他の湿地と同様、ウガンダの正式な保護区に含まれていません。ですからその管理はMWETAなどの地元住民と市民社会団体の手に委ねられています。彼らは密猟、公害、外来種、農業の浸食などの深刻な脅威に対して湿地を守ろうとしているのです。こうした問題は、ビクトリア湖盆地全域に影響を及ぼしています。

この有名な湖はアフリカ最大の内陸漁業を支え、その資源と生態系サービスは数千万人の人々の生計の礎となっています。しかしそれが同時に、シクリッドの驚くべき多様性、ハシビロコウやハシボソキイロムシクイなどの絶滅危惧種といった、ビクトリア湖の多様で繊細な生態系の脅威となっているのです。少なくとも17のIBAが同湖の水系と直接繋がっており、流域で見ればその数はさらに多く見られます。

多くの農村コミュニティは地元の環境についての深い知識を持っています。植物にはそれぞれ名前があり、その利用方法(食物、燃料、医薬品、建築材料)が世代を超えて伝承されています。季節の移り変わりや動物のライフサイクルなどは日常生活の単なる背景ではなく、生活そのものです。このような「自然のデータベース」は地元の自然資源を守ろうというコミュニティの意欲と一体となれば、自然保護のための価値ある財産になりえます。

地元のガイドJulius Musendaはこう述べています。「マバンバ湾湿地は私の唯一の収入源です。獲れた魚を売ったり、観光局がハシビロコウを見に行く際のガイド量をう受け取ったりということです。MWETAは私たちに湿地の重要性を教えてくれます。現在では私は漁師、野鳥保護、観光とコミュニティ開発がどう関連しているのかよく理解しています。私はマバンバをコミュニティ共有の湿地と考えるようになりました。」

 

報告者: Louise Jasper

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