西ティエン・シャンが世界遺産に
地方自治体と環境問題専門家やNGOによる数年に亘る共同活動の結果、西ティエン・シャン(天山)がユネスコの世界遺産リストに登録されたことをカザフスタン生物多様性保護協会(ACBK: 同国のバードライフ・パートナー)が誇らしげに発表しました。
西ティエン・シャンは世界最大の山岳地域の一つである天山山系に位置しており、カザフスタン、キルギスタン、ウズベキスタンの3カ国にまたがっています。
トルコのイスタンブールで開催された第40回世界遺産会議の期間中の7月17日、西ティエン・シャンはその生物多様性保全のためにユネスコの世界遺産リストに登録されました。キルギスタンとウズベキスタンでは初めてのことですが、これはカザフスタンにとっては世界遺産サイトに登録される2番目の自然サイトです。
西ティエン・シャンは標高700~4,503メートルに広がる467,550ヘクタールの地域です。ここにはAksu-Dzhabagly州自然保護区、Kenshektau山脈およびチャクタル山脈ビオスファー保護区のBashkyzylsayユニットの3ヶ所のIBA(重要生息環境)があります。今回推薦されたのはAksu-Dzhabagly、Karatay保護区とSairam-Ugam国立公園(すべてカザフスタン内)、Padisha-Ata, Besh-Aral, Sary-Chelek保護区(すべてキルギスタン内)およびチャトカル・ビオスファー保護区(ウズベキスタン内)です。
西ティエン・シャンは非常に生物多様性が豊かな場所で、実に様々な景観、生態系、動植物を有しています。数多くの固有種や希少種、絶滅危惧種の生息地にもなっています。生息する種の半分近くが中央アジアの固有種です。この地域に生息する脊椎動物のうち61種が哺乳類、316種が鳥類、17種が爬虫類、3種が両生類そして20種が魚類です。これらの種のほぼ全てが西ティエン・シャンに生息していることが報告されています。今回の世界遺産サイトにはIUCNにより世界的な絶滅危惧種に指定されている14種の植物と18種の動物が生息しています。希少種及び固有種の完全リストは推薦書(nomination dossier)をご参照ください。
この地域の全てを保全するための次のステップは、西ティエン・シャンの共同管理のためにカザフスタン、キルギスタン、ウズベキスタンの3者の間で合意文書を取り交わし、国際運営委員会の設立と共通管理計画の綿密化を行うことです。世界遺産委員会は世界遺産サイトの境界線の確定を求める決議を発行しました。ACBKはIUCNの専門家や他のバードライフ・パートナーと共同で活動に参加し、新しい世界遺産サイトの振興を計画しています。
世界遺産への推薦作業はACBK(カザフスタン生物多様性保全協会)とカザフスタン共和国農業省の林業・野生生物委員会が共同で行いました。カザフスタン政府が推薦書の編集や、最終編さん、翻訳を担当しました。RSPB(王立鳥類保護協会: 英国のパートナー)もこの作業をサポートしました。たとえば、Chris Magin と Geoff Welchが技術的なアドバイスを行い、推薦書の英訳のための財政支援を行いました。合計で20人を超える政府およびNGOの専門家が、世界遺産の専門家であるAlexey Butorinの貴重な支援も受けながら、推薦書の綿密化を行いました。この作業はカザフスタン政府のユネスコ委員会と地元のユネスコ事務所が積極的に支援しました。
カザフスタン、キルギスタン、ウズベキスタン3国の政府は2006年以来世界遺産の推薦に向けて活動をしてきました。推薦書の作成にはWWFとキルギスの環境団体であるBiomとAleineも支援しました。またUNDP/GEFの西ティエン・シャン・プロジェクトの結果の一部も推薦書に盛り込まれました。カザフスタン外務省のAssel Utegenova とSatybaldy Burshakovも世界遺産推薦の最終段階で重要な役割を果たしました。
報告者: Sergey Sklyarenko
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