今世紀の森林喪失が多くの種を絶滅に追いやっている: 最新研究からの警告
最近公表された科学研究によれば、21世紀になって以降の森林破壊により、哺乳類、鳥類、両生類うち少なくとも500種が絶滅が危惧される状態に追いやられました。バードライフ、RSPB(英国のパートナー)およびブロツワフ(ポーランド)、ローマ、グルノーブル、クイーンズランド(オーストラリア)の各大学の科学者たちはGoogle社‘Earth Engine’のクラウド・コンピューティングを利用して、高解像度かつオープン・アクセスの衛星地図を解析しました。
「私たちは、森林に依存する11,000種以上の鳥類、哺乳類、両生類の分布域内における2000年から2012年の間の森林の変化を調べました。」と主筆者のブロツワフ大学のŁukasz Tracewskiは言いました。「次に私たちはこの測定結果をIUCNレッドリストのランクと照らしあわせて、これらの種の潜在的な絶滅リスクを評価しました。同レッドリストは種の絶滅危惧を査定するために最も広く利用されている客観性のある指標です。
研究の結果、ほとんどの場合で、絶滅の危険が増加した種は、生息域の森林がほとんどなくなったことにより、生息地域が非常に制限されている種であることが分かりました。
論文の共著者のバードライフのサイエンス部門責任者でIUCNレッドリスト運営委員会メンバーのStuart Butchart博士は次のように指摘しました。
「研究結果は非常にショッキングなもので、保護しなければならないと懸念される種の割合は、おそらく鳥類で15%、哺乳類で25%、両生類で33%に増加しているというものでした。影響を受けている種の総数は分布状況が不確かな‘データ不足’の種を含めれば、両生類198~490種、鳥類251~253種、哺乳類51~135種にも上ります。」
絶滅危惧のランクが引き上げられた種の例:
- オナガダルマインコは2000年~2012年の間に分布域内(主としてインドネシアとマレーシア)の森林の17%を失い、準絶滅危惧種から絶滅危惧Ⅱ類への引き上げに該当する。
- Cayenne Stubfoot Toad(ヒキガエルの一種)は、フランス領ギアナとして知られる地域に400平方キロの生息可能な森林が残されているだけで、絶滅危惧Ⅱ類から絶滅危惧ⅠB類への引き上げに該当する。
- Hagen’s Flying Squirrel(モモンガの一種)は2000年~2012年の間にインドネシアのスマトラ島に広がるの森林のうち73%を失い、絶滅危惧ⅠB類に該当する。
影響を受けている種が最も多いホットスポットは中央アメリカ、北部アンデス、マダガスカル、アフリカの東アークの森林および東南アジアの島嶼が含まれています。
「これは正に私たちがGoogle Earth Engineを作った時、支援したいと考えていた地球規模の環境調査です。」とGoogle社のEarth Engineのdeveloper relationsマネジャーであるDave Thauは言いました。
「私たちは‘Earth Engine’が大量のデータと、解析ツールが研究者の手に届くようベストを尽くしました。バードライフと協働者はこのツールを大いに利用して、データを知識に転換し、私たちが直面している環境問題を人々がより良く理解する手助けをしています。」
「私たちの研究は、Googleのクラウドコンピューティング技術が高解像度の人工衛星画像のデータと統合された時に生まれる価値と、そのような技術が自然保護活動に有力だということを示すものです。」と論文の共著者のRSPBのGraeme Buchananは言いました。
研究結果は熱帯林に生息する多くの種の絶滅の危険性がこれまでに考えていたよりもさらに高いことを示しています。「この研究は森林破壊を進める要因に緊急に取り組むことと、残された重要な森林、特に生物多様性重要地域(KBA)などを効果的に保全すべきことを明らかにしています。KBAには多くの絶滅危惧種が依存しています。」とBuchartは付言しました。
報告者: Adrian Long
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