中国でヘラシギの越冬数が新記録

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写真提供: © Chaiwat Chinuparawat/theworldsrarest.com

記録的な数のヘラシギ(絶滅危惧ⅠA類)が中国で越冬していることが発見された、と香港観鳥会(HKBWS: 香港のパートナー)の自然保護活動家が言っています。

2015年12月30日にHKBWSのボランティアJonathan MartinezとJohn Allcockが広東省南西部の福成河口付近で少なくとも30羽のヘラシギを見つけました。この土地の一部は湛江マングローブ国立自然保護区内にあります。これはこれまでに冬季に中国で発見されたヘラシギの最大数でしたが、この記録は1ヶ月と続きませんでした。

1月末に湛江バードウォッチング協会のメンバーや湛江マングローブ国立自然保護区管理局のスタッフが共同で再調査を行いました。彼らは4ヶ所で少なくとも合計45羽を数えたのです(福成河口が最も多く38羽をカウント)。

「これらの数は2012年に福成での第1回厳冬期調査でカウントされた僅か3羽に比べると大幅な増加です。2012年の時には私たちはシギ・チドリ類の塒の横に並ぶカスミ網の長い列を見つけ、数百羽の死んだ鳥と1,000張のカスミ網をカウントしました。」と Jonathan Martinezは言いました。

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その時以後、湛江バードウォッチング協会と湛江森林局の政府職員は違法なカスミ網を一掃するための持続的な対策を講じて来ました。それに加えて、香港観鳥会と湛江バードウォッチング協会は地元コミュニティの認識向上のために教育活動を行いました。

「私たちの活動により福成干潟はヘラシギや他の水鳥にとって魅力的な場所になったのです。福成河口は明らかにヘラシギにとって世界的に重要な場所です。」とJonathan Martinezは言っています。

広東省で発見されたヘラシギのうち7羽には足に色付きの旗または環で印が付けられていました。そのうちの1羽にはMAと刻まれた白い旗が足に装着されていましたが、この鳥は去年の冬も同じ場所で記録されていた個体でした。このような独特のマーキングにより、彼らが東アジア・オーストラリア・フライウェイ沿いに渡りをする際に個々の鳥を追跡することが可能になるのです。

「この場所で発見された個体のほとんどはロシアで標識が付けられたものですので、中国とロシアの両政府が締結した渡り鳥に関する2国間協定の方針に沿った共同の保護活動の発展にとって非常に重要なものになって来ています。この協定ではヘラシギは主要なモデル種なのです。」とヘラシギ・タスクフォースの会長Evgeny Syroechkovskiy博士は言いました。

ヘラシギの世界全体の個体数は400羽(成鳥)以下です。その大部分が繁殖地のロシアと主要な越冬地のバングラデシュ、ミャンマーの間の通過地として中国沿岸の湿地を利用することが既に分かっています。

「他の既知のサイトも更に調査されることと合わせて、広東省や中国南部で今以上のヘラシギの越冬個体が発見されることを期待しています。」とJonathanは言っています。

「今回新たに発見された越冬地は世界で3番目に大きな越冬地です。これは改めてこの絶滅危惧ⅠA類のヘラシギの生き残りのために中国が特別に重要であることを証明するものです。」とEvgenyはコメントしました。

今回の調査は2016年1月26日~2月6日にEAAFP(東アジア-オーストラリア・フライウェイ・パートナーシップ)のヘラシギ・タスクフォースによる国際ヘラシギ・タスクフォース冬季調査の一部でした。

なお、密猟を阻止する活動は国連のCEPF(クリティカル・エコシステム・パートナーシップ基金)の助成金の支援を受けています。

 

報告者: エイドリアン・ロング

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