教育による住民の意識改革

エコ・クラブが地元住民にアカアシチョウゲンボウの新しい楽しみ方を教えました。 写真提供: © Thangam Velusamy / Shutterstock

5年前、インド北東部では毎年数十万羽の渡り途上のアカアシチョウゲンボウが虐殺されていました。今では彼らは祝福されています。

アカアシチョウゲンボウは、驚くほどの長距離を飛行する渡り鳥です。渡りの期間中、繁殖地の北東アジアから数十万羽が、インド亜大陸とインド洋を越えて越冬地のアフリカ南部に渡ります。しかし、2012年11月に推定10万羽がインド北東部のナガランド州を越えることはありませんでした。彼らは罠にかかり殺されたり、生きたままで地元の市場に運ばれて生鮮食品として販売されたりしていたのです。

このショッキングなニュースはキャンペーン団体コンサベーション・インディアのビデオと共にすぐに世界中に広がりました。ビデオでは地元のハンターが巨大なナイロンの網をアカアシチョウゲンボウの塒の森に張り巡らし、ものすごい数の鳥を見境なく捕らえるところが映っていました。この凄まじい規模の殺戮により、ボンベイ自然史協会(BNHS:インドのパートナー)は、直ちにインドの環境・森林大臣とナガランド州の首相に連絡しました。

 

アカアシチョウゲンボウがこのように罠にかけられることはもうありません。
写真提供:© Conservation India

同時にバードライフは、虐殺を止めさせるためのBNHSによる一連の活動を支援するための緊急資金を設けました。バードライフ南アフリカやRSPB(英国のパートナー)など多くのバードライフ・パートナーも、このキャンペーンに支援の声を上げ、国際的な支援を受けました。当時の環境大臣Jayanthi Natarajanは、個人的にもこの問題に介入し、それは網の破壊と生け捕りされたチョウゲンボウの放鳥につながりました。

その年は悲劇が止められましたが、BNHSは将来の危険も確実に防ぐような段階に進むことが必要でした。緊急要請に支援されてBNHSは「ナガランド野生生物・生物多様性保全基金」と共同で広範囲の行動計画を立てました。塒にいるアカアシチョウゲンボウをモニターするためと、あのような残虐行為の再発防止に直接介入するためのフィールド・チームが編成されました。チョウゲンボウの最大の塒の一つ、ドヤン貯水池をパトロールするために地元住民が雇用されました。政府の森林局もパトロール・チームに加わり、地元コミュニティ内での自然保護大使の役を務めました。

協議が行われた後、BNHSは支援活動の方針として博物学教育に力を入れることを決定しました。独特のモデルを利用したエコ・クラブが立ちあげられました。Doyang、Pangti、 Asha、 Sungroなどの地元の成人が訓練を受け、先生として雇用され、8歳から17歳までの若い生徒には無料で環境教育が行われました。その目的は、子供たちに渡り鳥の驚異と一定個体数の野鳥を保つことの重要性を教えることでした。これまでにBNHSはナガランド州のJalukie、 Lilien、 Bongkolong、Ahthibungの村々で独立したエコ・クラブを運営し、500人以上の生徒に教育を施しました。

BNHSはマニプル州でも、インド野鳥保護ネットワーク(IBCN)を通して博物学の普及啓発と擁護を行っています。同州で行われたアカアシチョウゲンボウ・ダンスフェスティバルはそのような活動の最初のものです。その結果、毎年鳥の大群が集まる同州のタメングロンでは、村議会でアカアシチョウゲンボウの狩猟を止めるという決議が通りました。

 

アカアシチョウゲンボウの苦境についての関心を高めるために行われたダンス・フェスティバルの光景
写真提供:© Neha Sinha

コミュニティにおける密猟の根本的な原因に取り組むのは、容易なことではありません。それでもその翌年は、地元や政府やNGOの共同活動のおかげでアカアシチョウゲンボウはインド北東部を安全に通過することが出来ました。たった一年で住民の意識が変わったので、2013年の冬の渡りの間に罠にかかったアカアシチョウゲンボウは1羽もおらず、その年にドヤン貯水池を訪れた数十万羽のチョウゲンボウは幸せに過ごすことができました。

「私たちは保護活動の歴史が全くない州での初めての活動から、地元住民の感情を害さずに慎重な方法で野生生物を守る試みを行うところまで、非常に長い道のりを辿って来ました。」とBNHSの保護と政策オフィサーでアカアシチョウゲンボウ・プロジェクトの主任研究員のNeha Sinhaは言っています。「私たちが博物学教育を行うことに決めた理由の一つは、教育そのものに力があるからです。私たちは地元住民に何をするべきかを言ったわけではありません。私たちは彼らにアカアシチョウゲンボウの渡りの地図、生態、物語を示し、それがコミュニティの教育と技能の開発への絶対的な尽力を奮い立たせたのです。そして彼ら自身が狩猟を止めることに決めたのです。このコミュニティの決断に感謝しています。

この地域で最大の狩猟の村Pangtiでは、最近になって空気銃の使用の全面禁止を宣言しました。空気銃は最も一般的な狩猟方法なので、これは大きな進展です。それに加えて、同村の委員会は全ての野鳥の狩猟を季節的に禁止し、この地域におけるBNHSのプロジェクトのもう一つの目標を満たしました。

地元住民は狩猟を止めるという他への規範になりました。今ではドヤン貯水池は、毎年百万羽のアカアシチョウゲンボウの滞在地として知られ、これは政府の役人からかつてのハンターまですべての地元住民が共に楽しむことのできるものになっています。

 

報告者:Alex Dale

原文はこちら

  1. TOP
  2. 世界のニュース
  3. 教育による住民の意識改革