10年続いている中国の水鳥カウント市民科学プロジェクト

世界の推定個体数32,000羽のホウロクシギのうち5,000羽超がセンサス中にカウントされました。
写真提供: Li Zai

2005年以降、150人以上のボランティアが‘中国沿岸水鳥センサス’に参加し、2015年11月には同国の沿岸性水鳥の第3回状況報告書を発表しました。

中国の沿岸湿地は東アジア・オーストラリア・フライウェイの最も重要な渡り、通過、越冬サイトの一部を成しています。不幸なことにこのエリアは世界で最も深刻な保全問題にも直面しています。このフライウェイに沿った重要エリアを保全し管理するためには信頼に値するデータが不可欠で、ボランティアによって行われた‘中国沿岸水鳥センサス’が非常に重要なものとなりました。

「私たちは鳥にとって世界的に重要なサイトを少なくとも10ヶ所特定しましたが、まだ適切な保全は行われていません。」と‘中国沿岸水鳥センサス’チームのコーディネーターの一人Bai Qingquanは言いました。

2010年から2011年をカバーする今回の報告書は中国の沿岸性鳥類に関する膨大な情報を提供してくれます。調査期間中合計161種が記録され、その中には21種の世界的な絶滅危惧種が含まれています。

カウント数のピークは4月の渡りの北上の時期で、111種の合計約266,000羽が記録されました。直近のセンサスでは以下の世界的な絶滅危惧種の全個体数の約20%が記録されました: ヘラシギ(絶滅危惧ⅠA類: 103羽)、ズグロカモメ(絶滅危惧Ⅱ類: 5,451羽)、ゴビズキンカモメ(絶滅危惧Ⅱ類: 6,005羽)、クロツラヘラサギ(絶滅危惧ⅠB類: 561羽)、ソデグロヅル(絶滅危惧ⅠA類: 700羽)

「ボランティア・バードウォッチャーだけで組織、運営されている‘中国沿岸水鳥カウント’は10年に亘り続けられている市民科学の偉大な例です。」と香港バードウォッチング協会/バードライフ中国プログラムのアシスタント・マネジャーのVivian Fuは言いました。「このセンサスで得られた知見は科学的に重要な価値があるだけでなく、国際的に重要な種と生息地の保護にも貢献しているのです。今後もっと多くの人たちが加わってくれることを望んでいます。」

 

報告者: Ed Parnell

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