バードウォッチャーが危急種への気候変動の影響を明らかに

ベニヒワ
写真提供: © David Dillon / Birdlife International

バードライフが貢献した研究によって、欧州全土の数千人のボランティアのバードウォッチャーにより鳥がどのように気候変動に応答するかの詳細が明らかになってきました。

コペンハーゲン大学主導による報告書に集められた情報によれば、鳥は異なる季節で条件の変化に応答しています。これらの変化から利益を受ける種がいる一方で、寒冷地に適応している種は守勢に立たされています。今回集められた情報は欧州の鳥類群集の未来を予測し、最も脆弱な種への気候変動の影響緩和に取り組む際に焦点を絞るのに役立ちます。

例えば、バードウォッチャーによって得られた知見によれば、温暖な冬はタンシキバシリやシラコバトなどの留鳥に、繁殖率の増加はゴシキヒワやモリヒバリなど渡りの距離が短い種に有利に働いています。温暖な気候、または、繁殖率の増加は、繁殖期の早期化や短期集中化の影響を補っています。

この成果は18カ国のボランティアが集めた信じられないほど巨大なデータセットに基づいており、バードライフおよび‘欧州野鳥センサス審議会’と共同でコペンハーゲン大学のマクロ生態学・進化・気候センターが主導して得られたもので、学術誌「Global Change Biology出版されました。

「私たちは留鳥、短距離の渡り鳥、長距離の渡り鳥のそれぞれに気候変動の下で観察された条件において利点があるものの、その時期は全く異なっていることを明らかにしました。ですから、欧州における鳥類群衆の将来がどのようなものになるかを予測するためには、繁殖期における条件がどのように変わるかを理解する必要があります。」とこの調査を行ったマクロ生態学・進化・気候センターのポスドク研究者Peter Søgaard Jørgensenは言っています。

気候変動が寒冷地の鳥を追いやっている

けれども上に述べた正な影響はイエスズメやハシボソガラスなどの留鳥、マキバタヒバリやベニヒワなどの短距離の渡り鳥といった欧州の寒冷地に適応した種には及びません。彼らは一様に数が少なくなって来ています。

はるか遠くからヨーロッパにやって来る鳥(従って遅い季節に来る種)、例えばハシグロヒタキやシロビタイジョウビタキなどの長距離の渡り鳥は一般的には欧州のより暖かい夏の利益を受けます。けれども集団で見た時には、彼らは越冬地のアフリカでも気候変動の影響を受けるため非常に複雑な応答を示しました。

ボランティアが研究を可能にした

今回の調査結果は1990年から2008年にかけて欧州18カ国の5万人のボランティアにより集められた51種の鳥に関する毎年のデータによるものです。

「今回の研究は高度に熟達したボランティアが貴重なデータを集め、新たな発見への道を開いた市民科学の力を示したものです。」とRSPB(英国のパートナー)の種のモニタリング・調査部長のRichard Gregoryは言っています。

バードライフの地球科学コーディネーターのIan Burfieldは「もちろん気候変動は種によって良い影響をもたらすこともありますが、研究では勝者よりも敗者の方が多い可能性を示唆しています。だからこそ私たちバードライフ・パートナーシップは積極的に気候変動の影響の緩和とそれへの適応という解決策を示しているのです。」と言っています。

農業の集約化が野鳥の減少が続く原因

残念ながら今回の研究は農耕地の鳥の減少が続くヨーロッパでの農業の集約化による広範囲で長期に亘る影響も示しています。この研究では長距離の渡り鳥が農業の集約化と気候変動の複合的影響に対して特に脆弱な可能性が高いことが分かりました。

「長距離の渡り鳥は二つの大陸に伸びる渡りのルートの複数の場所で影響を受けるので、特に気候変動に対して弱いと考えられています。特に長距離の渡り鳥が高い穀物収穫を示す集約的農業がおこなわれている国で減少していることが分かりました。私たちの研究結果は、最も農業の集約化が進んでいる国で長距離の渡り鳥を守るための行動を起こすべきであることを示唆しています。」とPeter Søgaard Jørgensenは言っています。

詳しくは、コペンハーゲン大学のマクロ生態学・進化・気候センターまで(こちら

 

報告者: Finlay Duncan

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