どのようにして漁業部門と環境NGOが共同で活動しているか
20年前に私が海洋政策に関する活動を始めた時には漁民とNGOの間の雰囲気は敵意があり対立的でした。
それは当時のヨーロッパの魚資源と海洋環境の状況が今より劣悪だったからだけではなく、漁民との対話はほとんど無く、彼らは外からの支援なしに自分たちだけで方法を変えるべきだと考えていたからです。漁民は犠牲者だと感じていました。メディアを含むあらゆる方面からの圧力を受け、漁民は規則を破ることで対抗し、その結果、更なる過剰漁獲を生み、収入減少の悪循環に陥りました。
今それがどのように変わったかを見る時、私たちがどれほどの長い道のりを辿って来たかを実感できます。具体的にはバードライフ・パートナーが地中海からバルチック海やアイスランドに至る海上で漁民と共にデッキの上で海鳥の混獲を減らすために活動しているのです。
今日、私たちには欧州委員会が2004年に設立した諮問委員会(AC)があり、新しい共通漁業政策(2013年)の下での‘地域化’の導入によって強化されています。その結果、より多くの漁業に関する意思決定者を北海などの海域に派遣しました(私はバードライフを代表して2005年に初めて開催された北海諮問委員会(AC)の時以来のメンバーです)。ACの席の60%は漁業関係者、40%がNGOやその他の利害関係者で構成されています。
ACの効率はいろいろで、北海ACなどの幾つかはその助言が必ずしも加盟国や委員会により受けられるとは限りませんが非常に建設的です。重要なのはACが漁民とNGOの間の信頼と敬意を作り上げることに役立っていることです。
時には全く意見が合わない時もありますが、私たちは相手の視点を学び、席についている相手を‘顔の見えない漁民’としてではなく、個人として知り合うようになり、会議後には盃を交わすようになります。これが対話を助長し、同様に、コンセンサスが得られるようにするのです。
ここまで来るのには長い時間が掛かり思い切った方法も必要でした。変化が訪れたのは1990年代中ごろでした。北海閣僚会議が漁業管理に生態系アプローチという新しい考え方を導入し(社会と保護活動の必要性を水生生物に限らず全海洋環境でバランスの取れたものにする)、これがNGO、漁民、閣僚が声明を徹底的に討議するようにしたのです。
1999年に先見性のある漁業コミッショナーEmma BoninoはEUの漁業支援委員会(現在は廃絶)の改革を行い、思い切ってNGOを初めて利害関係者と認めました。RSPB(英国のバードライフパートナー)などのNGOが‘持続可能な漁業’という至高の目標を求めて漁民と共に会議に加わるようになりました。最終的にACの成立により地域レベルでの公式な利害関係者の参加が初めて可能になったのです。
報告者: Euan Dunn
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