死からの生還?アオメヒメバトのお話

写真提供: Samantha Moreno and Daniela Paz

たった3年前にはアオヒメバトは絶滅したものと思われていました。そして確実な観察記録のない75年間の後、12羽が野外で発見されました。しかし、このような小さな個体群で本種を救うことができるのでしょうか?

 

2015年6月、鳥類学者Rafael Bessaがブラジルのミナスゲライス州のセラード(サバンナ状の生態系)で環境評価を行っていた際、識別できない鳥の声を聞きました。当惑した彼はその声を録音し、その不思議な鳥が姿を現さないかと思い音を再生しました。

作戦は成功でした。録音を再生するとすぐにBessaが見たことのないハトのような鳥が飛んできました。何枚かの写真を撮ったその鳥は小型のハトで赤みを帯びた黄褐色の体で、翼の上にサファイア・ブルーの斑点が集まっていました。写真からその鳥の種がわかったBessaは驚きました。それは間違いなく1941年を最後に観察されたことがなく、絶滅したと考えられていたアオヒメバトだったのです。

この発見は鳥類学会を揺り動かし、世界中のバーダーが祝福しました。ただし、この祝福の背後には大きな疑問がありました。その後、およそ1年の調査により科学者はわずか12羽のアオヒメバトしか見つけることが出来ませんでした。これは本種が深刻な絶滅の危機にあることを意味します。このような小さな個体群でアオヒメバトを救うことが出来るのでしょうか?絶滅の淵から取り戻すことが出来るのでしょうか?

アオヒメバトにとっての最大の脅威は生息地の消失です。大規模な調査の後、保護活動家は本種がセラードの極めて限られた場所に生息していたと断定しました。残念ながらセラードは、ブラジルで最も危惧される生物群系の一つです。産業化した農業が極めて速い速度で土地を侵食しているため、植生の消失と森林伐採により影響を受けている大西洋岸熱帯雨林に次ぐ二番目のケースだと調査結果は示唆しています。

それに加えてアオヒメバトが発見されたセラード地域は、個人所有の土地で、オーナーはここで鉄鉱石の探査を希望していたのです。1999年以後、SAVE Brasil(ブラジルのパートナー)は周辺エリアを保護区にするべく活動をしていました。ここにはおよそ10,000種の植物、75種類の鳥類、ジャガー、タテガミオオカミ、オオアリクイなどの哺乳類が生息しています。

米国の環境NGOのRainforest Trustと共にSAVE Brasilはアオヒメバトが見つかった土地を買い上げるための資金調達キャンペーンを始めました。彼らはまた地元コミュニティや州の環境当局とも話をして、この鳥とセラードの特別な生態系を守るために保護区を作る必要性を強調しました。

同時に自然保護活動家と研究者はアオヒメバトの調査を続けました。数が少ないために捕獲することは出来ませんでしたが、その習性を観察することにより本種の生息地と配偶形式を特定し、その保護に役立てることを期待しました。

2018年1月、Rainforest Trustの支援を得てSAVE Brasilはこのハトが見つかった元々の場所と周辺のセラードの多くを購入することが出来ました。7月6日、ミナスジェライス州政府は、89,000エーカーの地域の保全を公式に認め、Botumirim州立公園を作りました。アオヒメバトの観察例が増えたことにより研究者は15~20羽の野生個体が生息しているものと信ずるに至りました。

Botumirim州立公園は現在一般公開されています。ビジターは少人数のグループにガイドが付いていれば、公園に入りアオヒメバトを見ることが出来ます。約一世紀ぶりに一般の人たちがこの珍鳥を見ることが出来るようになったのです。

地元のコミュニティと能力構築とエコツーリズムで活動を共にしているSAVE Brasilは、これらのコミュニティが自分たちだけで公園での観光を管理できる日が来ることを期待しています。

「地元コミュニティが、周辺の生物多様性を失うことなくそこから利益を得られることが非常に重要です。近い将来、コミュニティが観光活動を管理できるようになることを期待しています。バードウォッチングは、公園での大きなアトラクションになると信じています。」とSAVE Brasilのプロジェクト・コーディネーターのAlbert Aguiarは言いました。

5月に公園のレンジャーが大変興味深いものを見つけました。5個のヒメアオバトの巣が卵と一緒に記録されたのです。まだこれだけでは本種の復活を保証するには不十分ですが、わずか3年前には絶滅したと思われていた種にとってこれは大きな希望の印です。

 

報告者:Samantha Moreno and Daniela Paz

 

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