アジア・アフリカの新領域への挑戦

インドネシアの採石場にて
写真提供: (c) Boris Barov

最近になって工業化した国は短時日の間に‘西側’(=先進国)の消費者主義に追いつきつつあります。そこではより大きな資金、より多くの車、より多くのあらゆる物が溢れ、近年の最も壮観な建造物計画につながっています。それによるセメントその他の建築資材への需要も巨大になっています。これがバードライフとハイデルベルグ・セメント社のパートナーシップがアジア・アフリカの新しい領域に挑戦する理由です。

建設と開発ブームの到来と共に、新たに工業化した開発途上国においてもこれまで以上に環境に対する透明性、企業の責任、関心への期待が高まっています。これが積極的な役割モデルとしてハイデルベルグ・セメント社とバードライフのパートナーシップがこの時期に生じた理由です。彼らの戦略の中心が地元のニーズに応えながら世界的な持続可能性の優先事項に取り組むことだからです。同パートナーシップは環境、社会および文化的センシティビティ(感度)が混じり合っているインドネシア、インド、ガーナでその第一歩を始めます。

インドネシアは地球の陸地面積の僅か1%を占めるだけですが、その生物多様性は信じられないほどです。熱帯雨林は生命に満ち溢れています。世界で知られている植物種の10%、絶滅危惧ⅠB類のオランウータン、同ⅠA類のスマトラトラとスマトラサイを含む世界の哺乳動物の12%、そして既知の鳥類の17%が生息しています。インドセメント社(ハイデルベルグ社のインドネシアのパートナー)のプラントについて言えば、Tarjun工場はその注目すべき例です。同工場の周辺にはインドネシアの南カリマンタン(ボルネオ島)に最後に残された熱帯雨林とマングローブ林が保全されています。彼らはこのような微妙な生態系の中で採掘を行いつつ、最も価値のある土地を保全し、再生するのには長期的ビジョンと厳しい計画の順守が必要だと信じています。新しいパートナーシップはインドセメント社のCSR(社会貢献活動)による豊富な経験と、また、Burung(インドネシアのバードライフ・パートナー)がもたらす強みの一つである生態系再生に関する技術的理解からの利益を受けます。

ガーナにおいては、生物多様性とも相互に関係している土地の管理と自然資源が地元コミュニティの生活で重要な役目を果たします。Ghacem(ガーナにおけるハイデルベルグ社のパートナー)の経験が示すように、採掘と採石場復元計画は特定の企業に対する地元の利害関係者の態度により大きな影響をうけます。ガーナ野生生物協会との新しいパートナーシップはGhacem社が地元コミュニティの幅広い利益を確実に引き受ける助けとなるでしょう。同時に彼らはGhacem社が健全な管理とサイトの再生の必要条件である質の高い生物多様性の基礎研究を達成する助けになるでしょう。私たちはこれをYongwa採石場で見ましたが、ここでは採掘場エリアの再生が地元の自給自足農家の生計と天然林および希少樹木種の復元に貢献することが目標でした。

インドではHeidelbergCement India Ltd.が最近マディア・プラデーシュ州にある同社のNarsingarh採掘場の再生を行いました。地元農家の利益としてこの再生は耕作地を拡大しました。採掘坑の埋め戻しにより幾つかの貯水池が出来、農家はこれを灌漑に利用し、毎年の収穫回数を一回増やすことが出来るようになりました。しかし生物多様性の問題は残されています。その原因の一つが家庭での燃料を薪に頼っていることで、それにより残された僅かな森林(自然林および同社による植林)への深刻な圧力となっています。料理のためにより持続可能なエネルギー源が必要で、パートナーシップはボンベイ自然史協会(インドのバードライフ・パートナー)の助けを得て解決策を模索します。これはより幅の広い視点からの生物多様性の長期的保全につながるものと期待されています。

バードライフとハイデルベルグ・セメント社にとって、アジア・アフリカで新しい領域に挑戦するに当たって、今はワクワクしている時です。彼らの究極的目標は環境と社会的視点からの持続可能な基盤に基づく経済発展を確保することです。最初の複数のプロジェクトが夏の終わりまでに開始されると期待されています。

(報告者: Boris Barov)

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