欧州の鳥のレッド・リスト最新版が出来ました
あの有名なドードーがなぜ1700年までにモーリシャス島で絶滅したかについては幾つかの仮説があります。捕食、生息地の喪失、外来種の侵入などはこの人懐こい飛べない鳥にとって正に手におえないものでした。間違いなく言えるのは、私たちが今行動を起こさなければ、他の多くの鳥もドードーの悲しい旅路を辿って博物館の棚に行く可能性があるのです。けれども私たちには特定の鳥の個体群の状況や、彼らがどのような脅威に直面しているかに関する知識があるので、このような事態が起きるのを止めることが出来ます。欧州の鳥類に対しては、バードライフがそのすべてをやってくれるツールを提供してくれます。それが欧州版鳥類レッドリストです。
世界で知られているおよそ1万種の鳥のうち、約530種が欧州で営巣、越冬し、そこを住処にしています。種によっては人の活動(直接、間接を問わず)に適応し、あるいはそれを利用さえしています。しかし他の多くは絶え間なく変わる世界で生き残るのに本当に苦労をしているのです。欧州版鳥類レッドリストはIUCN(国際自然保護連合)の基準を使って種の絶滅のリスクを測定し、世界基準を微調整し、個々の種のニーズを深掘りしてこれを地域レベルに適用します。
今日私たちが示すのは科学者、自然保護活動家、政治家および愛鳥家による何年にも亘る努力の結果です。それは、最初に私たちに出来るのは、欧州に今日居る鳥は確実に明日も居るようにするためのツールです。このリストは欧州に通常生息している野鳥の個体群と分布の規模と傾向に関する最新で入手可能な最善の情報を提供してくれます。同リストは欧州大陸全域に生息する種だけでなく、主要な自然保護法である野鳥および生息地指令が適用されるEU(欧州連合)27ヵ国についても保護の状況を明らかにします。これらの指令はこの数十年欧州の自然と野生生物を守って来た法律なのです。
それでは、欧州版鳥類レッドリストは何を言っているのでしょうか?
それは欧州の鳥533種のうちの約13%、67種が欧州レベルで危惧があることを伝えています。67種のうちバレアレスミズナギドリ、シロハラチュウシャクシギ、シマアオジなどの10種が絶滅危惧ⅠA類、18種が絶滅危惧ⅠB類、39種が絶滅危惧Ⅱ類です。EU27ヵ国で見ると451種のうちの約18%、82種が危惧されており、カリガネやカラフトワシなどの絶滅危惧ⅠA類が11種、同ⅠB類が16種、同Ⅱ類が55種です。私たちはこのような状況を招いた主な原因が何であるかを知っており、中でも二つの要因が突出しています。密猟と土地利用、特に、農地の変更です。その他にも気候変動、公害汚染、外来種なども深刻な脅威です。
良い面では2004年に地域的なアセスメントを行って以来、種によっては大きな改善がありました。ハイイロペリカン、コチョウゲンボウ、オオハムなどの象徴的な鳥が保護活動と法的な保護により大幅な復活をしています。その他の25種についても絶滅の危機が10年前よりも低くなっているというニュースもあり、これはこれらの種の保護状況が改善されていることを意味するので、絶滅危惧度を格下げすることが可能になったのです。マデイラミズナギドリとアゾレスウソはまだ困難な状況にあるでしょうが、彼らが絶滅危惧ⅠA類から同ⅠB類に格下げされたのは良い兆候です。
悪い面では、2004年以来私たちは29種の絶滅危惧度を格上げしなければなりませんでした。現在困難な状態にある種にはかつては普通種だったコキジバト、ミヤコドリ、ニシツノメドリ、カラフトライチョウなどが含まれます。また残念ながらエジプトハゲワシ、タゲリ、ヒメノガンなどは全く状況が好転していません。このような状況はEU野鳥指令と生息地指令がこれらの鳥に生存の機会を与える強力な法律と厳格な保護に対する必要性があることを明確に示しています。
欧州の人々は幾度となく彼らが直面する緊急で、困難で、複雑な保護活動の優先的課題に取り組むことが出来ることを証明して来ました。今、欧州版鳥類レッドリストにより、私たちは効果的な保護活動に集中し、実行する準備が出来ています。ところが欧州委員会は欧州の鳥と自然を守る正にそのための法律である野鳥指令と生息地指令の廃棄を計画しています。このように重要な自然保護のためのツールを失うことは環境的な大惨事を招く恐れがあります。是非私たちの陳情書に署名して、私たちの自然法を今のまま守るように欧州委員会に告げてください。
(報告者: リサ・ベネデッティ)
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