移動性野生動物の保全に関する条約(CMS)会議:鉛の禁止の決定が待たれます
RSPB(英国のバードライフ・パートナー)の農業政策オフィサーEllie Craneが、重大な決定が行われるプロセスにあるエクアドルの首都キトで開催されている‘移動性野生動物の保全に関する条約(CMS)’の締結国会議に参加し、ある参加者のブログを送ってくれました。
鉛は厄介なものです。もし人体に取り込まれれば数々の有毒作用を起こします。例えば子供の場合は脳の発育を阻害し、IQ(知能指数)や行動に長期的な影響を与えます。私たちは鉛が起こす問題を何年も前から知っており、それが顔料やガソリンから鉛を排除してきた理由です。
けれども私たちはハンターが使う銃弾の形で依然として環境内に鉛を放出しています。鉛の銃弾で撃たれた獲物の肉を食べてリスクを負うのは人間だけではありません。鳥にも脅威なのです。
毎年多数の鳥が鉛害で病気になったり死んでいます。鳥は地面に落ちている鉛弾を食物と間違えて食べてしまうことがあります。銃撃されても回収されなかった動物と共に、鉛弾はハクトウワシなどの捕食性、腐肉食性の鳥により食べられ、その結果銃弾片が彼らの体内に取り込まれます。
今週、エクアドルの首都キトで開催される国際的な‘移動性野生動物の保全に関する条約(CMS)’会議では鉛の脅威をなくす歴史的な機会があります。すべての鉛弾の使用を廃止し、今すぐに入手が可能な毒性のない、代りの銃弾に置き換えるという提案が提出されているのです。今、英国、欧州および世界中の政府代表がこの提案を支持するかどうかを決めるために会議室に籠っています。
人と野生動物のためにこの鉛の禁止が決定される必要があることは疑いもありません。先月30人の欧州の著名な科学者のグループが鉛害に関する多量の証拠をまとめ、鉛弾の使用停止を求める声明を発表しました。同様の声明は米国の科学者からも続いています。
幾つかの国では既に鉛の問題と取り組む部分的な行動を取っていますが、そのほとんどは効果が上がっていません。例えば英国では狩猟鳥を撃つのに鉛弾を使用することは1999年に禁止されたのですが、モニタリングの結果では多くの狩猟鳥が依然として違法な鉛弾で撃たれており、鳥が鉛害で死ぬことが続いている状態です。一方、幾つかの国では成功を収めています。例えばデンマークでは1996年以来全ての射撃に鉛弾の使用が禁止されました。デンマークのハンターは無害な銃弾への転換を受け入れており、射撃というスポーツに否定的な影響はありません。
ですから世界中で鉛の銃弾の使用を止めるかどうか決めるのに頭を使う必要はありません。世界中の眼がキトに向けられています。
(報告者: マーチン・フォーリー)
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