アルゼンチンの漁船団 アホウドリの混獲による事故死を防止する措置に合意

アルゼンチンのトロール漁業が、世界的な準絶滅危惧種マユグロアホウドリなどの海鳥の混獲(偶発的に釣針や網にかかってしまうことで、多くは命を落とす)を引き起こしている漁具から鳥を脅かして遠ざける効果がある吹き流しつきの縄(通称トリポール)を試しに使うことに合意しました。これは海鳥や、これまでトリポールが漁の現場で実際に海鳥の死を減らすことを証明してきたアホウドリ・タスクフォースにとっての大ニュースです。

アルゼンチンの海で‘トリポール’の準備をするアホウドリ・タスクフォースのインストラクターNahuel Chavez 写真提供:Aves Argentinas(アルゼンチンのバードライフ・パートナー)

アルゼンチンの海で‘トリポール’の準備をするアホウドリ・タスクフォースのインストラクターNahuel Chavez
写真提供:Aves Argentinas(アルゼンチンのバードライフ・パートナー)

年に数千羽のアホウドリの運命に好影響を与えるこの公式な決定は、昨夜ウルグアイで開催された‘アホウドリ類及びミズナギドリ類の保存に関する協定(Agreement of the Conservation of Albatross and Petrels: ACAP)’の国際会議の席上でアルゼンチンの代表団から発表されました。この決議は‘連邦漁業審議会’により全会一致で承認され、今後の6ヶ月間アルゼンチンの商業底引き網漁船団は漁網を船の後ろに流す際、同時に‘トリポール’を投入することになります。漁船員の作業上の不安を最小限に抑えるため、必要な場合には、この方法が漁業で義務化される前に、‘デザインの改良を行う予定です。

世界の海鳥の状況は過去数十年の間に急速に悪化しており、幾つかの種と多くの個体群の絶滅が危惧されています。バードライフの最新の情報とIUCN(国際自然保護連合)のアセスメントでも海鳥は他のどの鳥類のグループよりも危惧されていることが明らかになっています。346種の海鳥のうち97種(28%)が世界的に絶滅の危惧があり、全ての海鳥のほぼ半数が個体数減少に見舞われていると考えられています。特にアホウドリ類は22種のうちの15種が現在絶滅の危惧に晒されています。海鳥減少の主原因の一つが延縄漁と底引き網漁による混獲です。

良いニュースは簡単で実際的な方法があることで、これが日常の漁に使われるようになれば海鳥の混獲による事故死を急速に減らせるのです。トロール漁業で最も広く実証されているのが‘トリポール’で、これは船の両側に配備され、漁網を引っ張るトロール・ケーブルと海鳥の間に物理的なバリアを作ります。ケーブルに海鳥がぶつかるのを防ぐために、‘トリポール’は鳥を遠ざけ水中に引き込まれないようにするのです。南アフリカの‘アホウドリ・タスクフォース’はこのような‘トリポール’の利用により海鳥の事故死を90%も減らしたことで先ごろ賞を獲得しました。

アルゼンチンでは海鳥の混獲を減らすための‘国家行動計画’によりトロール船団が実証済みの混獲軽減措置(ミティゲーション)を利用することを求めています。アルゼンチンの‘アホウドリ・タスクフォース’の主な目的として現在異なる漁船団での海鳥の死を査定しています。海上で漁師と共同で活動することにより、彼らは海鳥の混獲のレベルを下げるための証拠を提供し、軽減方法を開発します。

このニュースは彼らの洋上および政府の政策策定の両面での重要な証です。

(報告者:ショーン・ハレル)

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