EUがようやく外来種の脅威に取り組む

外来種の浮草ペニーワート(和名: チドメグサ)
写真提供:GBNNSS

外来種と取り組むEUの法律はEU本部のあるブリュッセルでの政策アジェンダでも高い位置を占めています。幾多の浮き沈みがあったのち、EUの3つの制度が、ヨーロッパに持ち込まれた外来動植物による環境、経済および健康への被害を食い止める共通ルールに関する妥協点を見出したようです。

2013年9月、欧州委員会は外来種に関する欧州全域での共同活動のための規制文案を提案しました。これまではEU加盟国は個々別々に行動を行っており、しばしばある国での努力が、外来種が認識されていない国境での活動の不足により台無しになって来ました。委員会の原文の中心には広範囲でバイオ・セキュリティ規則(輸送、所持、リリースなどの禁止)が適応される最も危険な種の‘ブラック・リスト’がありました。しかし、このリストは50種という低い種数に限られており、その一方で、実際にはアジアのヒトスジシマカから北米原産のブタクサに至る欧州に根を下ろした12,000種の外来種が居り、そのうちの少なくとも1,500種が有害であることが分かっています。このようなリアリズムの欠落に危機感を募らせ、科学・環境コミュニティは欧州の政策決定者たちに規制の草案段階でより科学的な基盤を持つアプローチを採択するよう要求しました。

草案はその後欧州議会と欧州理事会に送られました。特にデンマークで有力なミンク毛皮業界の圧力により、数カ国の加盟国が危険な種の繁殖と売買を認めさせるために規制からの逸脱を求めました。毛皮業界や他の商業的利益により持ち出された理由は‘経済的利益’でしたが、これは欧州で年間120億ユーロを越えていると推定される急速に増加している外来種の対策コストを完全に無視したものです。それに加えて、ある国での外来種の拡散を許すことは他の国での抑制活動を台無しにするので、このような方法は逆効果で費用も掛かるでしょう。もう一つのちぐはぐな提案はEUの一部の国のみで問題を起こしている種は除外しようというものです。ホテイアオイがそのケースで、ホテイアオイは地中海の河川では生物を窒息死させますが、寒冷地では繁茂しません。しかしながら、人々の移動が自由なEU内では共通ルールがなければ、例えば英国人がホテイアオイを英国で買い、これをスペインにある別荘に植えることを阻止できません。

3月5日に欧州議会、欧州委員会および議長国ギリシャの間で決まった最終決定は完全なものとは程遠い規制になってしまいました。しかし、それは少なくとも外来種問題への取り組みのスタートとなる枠組みではあります。EUが懸念する種のリストから50種という上限は削除され、リストと活動は政治的圧力によってのみ決まるのではく、健全な科学に基づいて決められることを確かなものにするための独立した‘科学的フォーラム’が創設される予定です。また広域の離脱も最終的に止めになりました。けれども、文言は繁殖施設(毛皮農場や鉢植え植物の苗床など)のライセンスは認めているので、このようなライセンスの乱用がどの程度まで起こるのかは未解決です。

欧州議会と理事会は文言の取り決めが有効になるように今これを公式に承認しなければなりません。合意された文言の多くの部分には詳細が欠けており、規制が効力を持つかどうかは実行段階での欧州委員会と加盟国による決定次第なのです。バードライフ・ヨーロッパは効果的な活動が実際に現場で確実に行われるよう支援を行います。

(報告者:レベッカ・ランガー)

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