違法に殺される鳥は今も数百万羽規模に – 対策の約束を守れている国はわずか8か国

Watter Albahry

~2030年までに違法な鳥の捕殺を半減させるという目標、多くの国が達成困難な状況~
バードライフ・インターナショナルとEuroNaturが発表した最新の報告書『The Killing 3.0: Progress on Eradicating Illegal Killing of Birds in the Mediterranean and Europe』によると、地中海沿岸のほとんどの国が、違法な鳥の殺傷・捕獲・取引(IKB)を2030年までに半減させるという国際的な約束を守れていないことが明らかになりました。

違法な捕殺が鳥類の絶滅を加速
鳥類はここ数十年で急速に減少しており、IKB(Illegal Killing and Taking of Birds)は生息地破壊に次ぐ、絶滅の大きな要因とされています。毎年、数百万羽の鳥がヨーロッパや地中海地域で違法に銃撃されたり、罠にかけられたり、毒殺されたりしており、これは渡り鳥のルート上で行われる保護活動を根本から脅かしています。

危機ににある鳥たち
以下は、特に影響を受けている代表的な種です:
• コキジバト (Streptopelia turtur):IUCNレッドリストで「危急種(Vulnerable)」に指定されており、ギリシャ西部のイオニア諸島では毎春、数万羽が違法に撃たれています。
• エジプトハゲワシ (Neophron percnopterus):「絶滅危惧種(Endangered)」とされ、バルカン半島の繁殖個体群は、他の野生動物を狙った毒餌によって深刻な脅威にさらされています。
• ゴシキヒワ (Carduelis carduelis):現在は「軽度懸念種(Least Concern)」とされていますが、多くの地域で減少が見られ、北アフリカや地中海地域では違法なペット用取引のために広く捕獲されています。

多くの国で進展なし、一部では悪化も
報告書では46か国を対象に進捗状況を評価し、特に22か国の地中海沿岸国に焦点を当てています。その結果、約90%の違法捕殺が発生している主要国では、ほとんど改善が見られず、一部では状況がさらに悪化していることが分かりました。

それでも希望はあります
一方で、スペインやキプロスの一部では、政治的な意志と計画的な取り組みによって実際に成果が出ている事例もあります。

バードライフ・インターナショナルのグローバル・フライウェイ・コーディネーターであるDr. Barend van Gemerdenは、「違法な鳥の殺傷は単なる犯罪ではなく、渡り鳥のルート全体に影響を与える深刻な悲劇です。一国での高い違法捕殺率が、他国での保全の努力を台無しにしてしまう可能性があります。そのため、渡りの全ルートにわたる、より強力で協調的な国際的対応が急務です。2030年の目標達成は不可能ではありません。」と呼びかけています。

EuroNaturのプロジェクトマネージャーであるDr. Justine Vansynghelも、「移動の途中で命を落とす鳥が多く、毎年の違法殺傷数は依然として容認できない水準です。今こそ、これまでに整備されたツールや指針を活用し、被害の拡大を食い止める行動を取るべきです」と述べています。

今、必要なのは「行動」
この報告書は、各国政府が対策を見直すタイミングに合わせて発表されました。「今こそ約束から行動へ移すべき時。手遅れになる前に」と、報告書は強く訴えています。

 

原文 “New report: Millions of birds still illegally killed – and most countries failing to stop it – BirdLife International”
(本文を一部編集しました)

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