2021年のレッドリストから7種を紹介

©cuatrok77 / Flickr

2021年末、バードライフはIUCNのレッドリストに掲載する絶滅の危機に瀕した鳥類データを発表しました。これは、バードライフの科学者チームが何ヶ月にもわたって最新の研究を集約し、種の絶滅リスクを評価した結果です。

毎年、高い脅威のカテゴリーに「格上げ」されたり、低い脅威のカテゴリーに「格下げ」されたり、各種が危機度のカテゴリーを行ったり来たりしています。絶滅への危機度の位置づけを知ることで、最も必要とされる行動に注力でき、またどの保護対策が機能しているかを知ることができます。

今回の更新では、狩猟と生息地の喪失により絶滅の危機に瀕しているアジアの大型森林性鳥類が大きな見出しを飾りました。ここではそのいくつかをご紹介します。

緊急の課題:より脅威が高まった種

©Ondrej Prosicky / Shutterstock

キエリボウシインコ(Yellow-naped Amazon):Endangered(危機)から Critically Endangered(深刻な危機)へ

メキシコ南部と中央アメリカの太平洋岸に生息するこの美しいオウムは、今年、Endangered(危機)から Critically Endangered(深刻な危機)に危機度が高まりました。近年、生息地の破壊やペット売買のための過剰な捕獲により、個体数の減少が加速しています。本種は声色を真似ることができることから珍重され、ヒナが巣から盗まれることも多発しています。

 

©Monkey Boy / Flickr

アフリカオタテガモ(Maccoa Duck): Vulnerable(危急)からEndangered(危機)へ

アフリカ大陸の東部と南部に生息する光沢のある潜水ガモで、今年、Vulnerable(危急)からEndangered(危機)に変更されました。川や湖の底にいる無脊椎動物を餌にしているため、食物連鎖で蓄積され有毒レベルにまで達した水質汚染の影響を受けやすい種です。また、漁網に絡まったり、農業用地として湿地が開発されたりすることも脅威となります。

 

©Andy Morffew

アカアシチョウゲンボウ(Red-footed Falcon):Near Threatened (準絶滅危惧)からVulnerable(危急)へ

近年、この雄大な猛禽類の繁殖地であるヨーロッパや中央アジアは、集約的な農業によって徐々に破壊されています。自然の農地化、農薬による汚染、草原の不適切な管理などにより、餌場や繁殖地の減少が見られます。

 

©cuatrok77 / Flickr

オウギワシ(Harpy EagleNear Threatened (準絶滅危惧)からVulnerable(危急)へ

巨大な体格と特徴的な冠羽で有名なこの猛禽類は、現在、絶滅の危機に瀕しています。家畜を襲うことは滅多にないにも関わらず、誤解により中南米全域で狩猟の犠牲になっています。また、森林開発等により、巣作りに必要な大木が伐採されています。

 

保全の成果:脅威が低下した種

©Brian Gratwick

サウスジョージアタヒバリ(South Gorgia Pipit):Near Threatened (準絶滅危惧)からLeast Concern(低懸念)へ

南大西洋のサウスジョージア群島にのみ生息するスズメ程度の大きさのサウスジョージアタヒバリは、外来種のネズミを島から駆除できたことから復活しつつあります。ネズミを避けて以前は繁殖していなかった場所にも繁殖し始めています。

 

©Xelgen

アルメニアセグロカモメ(Armenian Gull):Near Threatened (準絶滅危惧)からLeast Concern(低懸念)へ

アルメニアセグロカモメは、大型の海鳥で、ジョージア、アルメニア、トルコ、イラン西部の山間部の湖畔で毎年営巣し、2018年にはアゼルバイジャンで初めて繁殖コロニーが発見されました。長年に渡り重要な繁殖地での採水、汚染、採卵、撹乱によって、絶えず減少を続けていました。しかし幸いなことに、汚染制御と水域保護により、2007年から2018年では、個体数が2倍以上に増えています。アルメニアでは、国内最大のコロニーを保全するためにアルピ湖国立公園が制定され、政府がもう一つの主要な繁殖地であるセバン湖の水位上昇を開始してから、この種は回復し始めました。

 

©Eric Gropp

ゴマフジツグミ(Spotted Ground-thrush):Endangered(危機)からVulnerable(危急)へ

情報を更新しレッドリストのカテゴリーを変更することは、その種の運命の変更を報告するのと同じくらい重要なことです。今年、ゴマフジツグミは、従来考えられていたよりも生息数が多いことが判明し、 Endangered(危機)からVulnerable(危急)に変更になりました。しかし、本種は依然としてアフリカ全域で森林破壊に悩まされており、バードライフのパートナー団体は本種を保護するための行動計画を策定しました。このような再分類により、私たちは、活動の優先順位を決め、各々の種の正確なニーズを把握することができるのです。

原文はこちら

レッドリストの分類についてはこちら

  1. TOP
  2. 世界のニュース
  3. 2021年のレッドリストから7種を紹介