アルバトロス・タスクフォースのインストラクターとしての生活 : 海上での最初の1週間

データを記録するATFインストラクター、Ndamona

Ndamona Mateusは、ナミビアで活動している熱意あるアルバトロス・タスクフォースのインストラクターの一人です。彼女は先月、アルバトロス・タスクフォース(ATF)のインストラクターとして初めて漁船に乗り込み、1週間余りを過ごしました。ATFのインストラクターは、漁師が海鳥の命を守る混獲回避策を適切に実施しているかどうかを海上で数週間かけて確認し、漁師のコミュニティとかけがえのない関係を築いています。今回インストラクターとして初めて漁船に乗ったNdamonaに、その体験について語ってもらいました。

海に出ることは特別な体験です。海には多くの物語がありますが、実際に体験してみないとわからないものです。私は調査船で何度か海に出たことがありますが、商業用漁船で働くのは初めてでした。ここでは、仕事をこなすことがすべてで、漁をするのは「男の仕事」です。女性は私一人だけ。乗組員は26名で、そのうち1人はATFインストラクターとして私に要領を教えてくれた同僚のTitus Shaanikaです。乗船したのは2021年7月11日の日曜日の夜でしたが、船内に乗ると乗組員の方々が歓迎してくれました。同僚のTitusは、私を船長やその他の船員に紹介してくれました。彼はこの漁船でのインストラクターの仕事でよく知られており、このハーベスト・ニコラ号に乗るのは3回目だといいます。船長は私に船酔いの薬と免疫増強剤をくれました。船が出航すると、船上の避難場所で乗務員全員に緊急時訓練が呼びかけられました。2週間前に海上安全訓練を終えた私は、訓練の重要性を理解していました。

漁船に乗り込んだNdamonaの後ろには何百羽もの海鳥が

翌日漁師たちが漁具を仕掛ける際、同僚のTitusは海鳥の混獲と混獲回避データ、そして安全策の記録をどのように行うべきか説明してくれました。Titusは「鳥を識別しよう」と言いました。でも鳥はたくさんいるのです!以前、沿岸の鳥のカウント調査に参加したことがあり、鳥の特徴をある程度知っていましたが、ここにいたのはその時とは別の種類でした。船の周りには白と黒の鳥がたくさんいました。ガイドブックを持っていたとはいえ、鳥の識別は私にとっては難しいことでしたが、Titusが一羽ずつ鳥の特徴や生態を説明してくれたので、とても助かりました。その中で私が気に入った鳥は、ハジロアホウドリです。その鳥は、まるで採餌に出かける前に見た目に気を遣っているかのように、とても気品があるんです。1回目の漁具の引き揚げが始まった時は、何をすべきかを理解していたにもかかわらず大変でした。その日の4回目の漁具引き揚げ時は、小さい鳥がたくさん現れました。Titusが「ああ、もうすぐ悪天候になるんじゃないかな。あの鳥はアシナガウミツバメといって、天気が荒れそうなときによく現れるんだよ」と教えてくれました。その後、海の荒れを感じ始めたので食堂でデータ入力を行い、21時頃には就寝しました。

漁船の周りに集まるハジロアホウドリ

その後3日連続で悪天候に見舞われました(7月12日‐14日)。Titusが言っていたことは正しかったのです。悪天候での作業はあまりにも危険なため、限られたことしかできませんでした。どの船でも、安全が第一なのです。船の揺れがひどかったため、立って仕事をすることすら困難でした。食事は美味しかったのですが、気分がよくなく、食欲が出ませんでした。免疫増強剤や船酔いの薬は欠かせず、家が恋しくなりました。悪天候はやがて終わり、私たちはATFの仕事を再開することができました。

5日目(7月15日)、船の航跡の水しぶきの上に小さな虹ができていて、とても美しい光景でした。Titusが鳥の撮影のコツを教えてくれた際、虹の写真も撮ってみました。記録や報告に役立つため、質の高い写真を撮ることの重要性も強調して教えてくれました。6日目(7月16日)は、通常の作業を行い、スムーズに仕事を進めることができました。天気が良かったので船尾にいる時間が長くなり、鳥の様子を観察したり、日向ぼっこをしたり、新鮮な空気を楽しむことができました。比較的小さな漁船で特に感じたのは、甲板下の廊下に魚やキッチンからの蒸気で強烈な匂いが充満しており、その匂いになれるまで時間がかかることです。

漁具を仕掛ける合間に、乗組員たちは甲板の前方で自由な時間を楽しむことが多いようです。私たちはその時間を使って、彼らとトリライン(混獲回避策の一つ)やATFの仕事について話をしました。彼らとの会話はいつも楽しくそして有益で、海鳥の混獲以外にも多くのことを彼らから学びました。7月19日(月)の朝、私たちは家路に着くことを楽しみにしながら過ごしました。ウォルビス湾のすぐ西にある漁場から8時間の航海を経て、21時に湾に到着しました。

このような充実した経験をしたことで、海鳥混獲を減らすための仕事をこれから一人でも数多くこなしていく準備ができたことを嬉しく思います。

データを記録するNdamonaとTitus

ATFの活動(英語版)は、#AlbatrossTaskForce (FacebookTwitter)と#AlbatrossStories(Instagram)でご紹介しています。日本語版は#南半球アホウドリ物語(Twitter、Instagram、Facebook)です。皆さんのフォローをお待ちしております。ATFの活動支援をご希望の方は、friends of the albatross(英語サイト)を通して寄付をすることにより、アホウドリたちを釣り針の危険から守るためのトリラインの重要性を漁師に伝えるなどのプロジェクトを、サポートしていただけます。

 

執筆者:Samuel Wrobel
原文はこちら

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