ミャンマーのシギ・チドリ類が4倍の保護区を獲得

世界のヘラシギ(絶滅危惧ⅠA類)の半数はここで越冬する。 写真提供:© Yann Muzika

アジアで最も重要なシギ・チドリ類のサンクチュアリの一つが、長年にわたるミャンマーのパートナー団体の努力により、広さが4倍になりました。ここでは、危機に瀕した鳥とそこで生活する人々を助けるために、彼らがどのように洞察と行動を結び付けたか、ご紹介します。

20年前、モッタマ湾とその複雑な海岸線に隠された秘密を知る自然保護活動家は、ほとんどいませんでした。ミャンマー南部のその場所は、同国内の多くの他の場所同様、岩だらけで険しく、アクセスが困難でした。しかし2010年代の初めにBANCA(ミャンマーのパートナー:ミャンマー生物多様性保全協会)ヘラシギ・タスクフォースの国際専門家チームが、200羽以上のヘラシギがここで越冬していることを明らかにして以来、全てが変わりました。なぜなら、その数は世界のヘラシギ個体数の半分を占めているからです。これにより、モッタマ湾は地域で唯一ヘラシギの重要なサイトになりました。

ヘラシギの英名が” Spoon-Billed Sandpipers “であることから、「スプーニー」の愛称と共に、モッタマ湾は東南アジア最大のシギ・チドリ類の集合地となり、毎年9万羽以上がここで越冬しています。それらの中には、ダイシャクシギオオソリハシシギ(共に準絶滅危惧種)やオバシギ(絶滅危惧ⅠB類)などの絶滅危惧種が多数含まれています。

これらの種がここで越冬するのは不思議ではありません。モッタマ湾は多様性の高い、広大な湿地だからです。モッタマ湾はミャンマーの二つの最も重要な河川の出口付近に位置しています。丘陵地から北へ流れるシッタン川と、モーラミャインの町の東から湾に注ぐ大河川サルウィン川です。東側の縁のThein Ngu村の付近はKelatha森林の丘陵地です。ミャンマー最大の都市ヤンゴンとモーラミャインの間の海岸線には、東南アジア最大の最も自然のまま残された沿岸干潟と塩性湿地があります。

アンダマン海から押し寄せる潮の干満によって毎日急冷されたモッタマ湾の湿地は、極めて変化に富み、わずか1ヶ月で泥の島が出来たり消えたりします。干潮時には数キロメートルにわたって干潟が海に突き出し、そこにはチュウシャクシギやオグロシギなどの大きな群れを含む数千羽のシギ・チドリ類が点在します。

この知識を武器に、BANCAと協力者は、この貴重な景観の保全を確実にするために直ちに取り組みを始めました。BANCAのスタッフは、相当数のシギ・チドリ類の捕獲や、へラシギや他の減少傾向にある種を危険にさらしたりしている地元住民と密接に連携しました。家畜、建設資材、漁船などの資産の原資を提供することにより、BANCAは地元住民が野鳥を捕獲しなくても良いようにし、代わりとなる生計手段を探す道を後押ししました。また地元自治体や村のリーダーとの連携を強化し、彼らをサイトの保全に参加させ、熱心なコミュニティーメンバーによる地元自然保護グループを結成しました。

持続可能な漁業は地元住民に代替収入を提供する。
写真提供:© BANCA

BANCA及び行動を共にしている他のNGOの熱心な支援活動により、2017年にミャンマー政府はモッタマ湾東側の4万ヘクタールを、ラムサール条約による「国際的に重要な湿地」の宣言を行いました。これにより、同地域でより多くの保護活動が推進されるようになりました。

モッタマ湾東岸をラムサール条約登録湿地に指定したことは、単に大きな前進だっただけでなく、調査があまり行われていない湾の西側も保全の対象と考えるべきとの機運を与えました。さらに2年間に渡る利害関係者との協議の後、ミャンマー政府は今年の初めにモッタマ湾のラムサール条約登録湿地を4倍の161,300ヘクタールに広げ、バゴー及びヤンゴン地区にまで拡大することを決めました。

モッタマ湾のラムサール条約登録湿地の拡大は、ミャンマー及び東南アジア全域での湿地保全における大きな前進です。それは広大な海岸線エリアを有害な開発から守り、同時により強力な保全活動と地元住民の関与の枠組みを提供します。モッタマ湾は今では、東南アジアにおける最大のラムサール条約登録湿地の一つであり、湿地保全に関して未だに大きく遅れている地域でもあります。湾の西岸はまだ調査がほとんど行われていない地域の一つなので、今回の決定は保護活動家にシギ・チドリ類の分布状況や、町の住民に可能な限り効率的に関与してもらう方法について、理解を深めるための時間を与えてくれました。

ヘラシギを保護するというBANCAの活動は、湿地全般については言うまでもなく、ヘラシギ以外の種にも利益をもたらしています。現在地元の漁業は適切に管理されていて、絶滅の恐れのある他のシギ・チドリ類も「スプーニー」を守る活動の恩恵を受けており、その結果、東南アジア全域で最も素晴らしい渡り性水鳥のための沿岸景観の一つを保全しています。何よりも、モッタマ湾の保全に取り組むことで、きれいな水、気候調整、洪水からの防御などにより、ミャンマーの沿岸コミュニティが今後何世代も恩恵を受ける重要な生態系サービスを確保するでしょう。

報告者:Ding Li Yong

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