新しい鳥種が1,000種増える事の意味

近年、以前は一種として分類されていた多くの鳥が実際には別種であることが報告されています。この1,000種を超える新種は、鳥の保護にとってどのような意味があるのでしょうか?バードライフのAshley Simkinsが彼の新しい研究について説明します。

 

1. 鳥の新種は、どのように1,000種も増えたのでしょうか?

2014年と2016年にバードライフは、鳥類の分類で二つの大きな見直しを行いました。その際、種として認められるかを決めるために、新しい情報と技術が利用されました。以前別種とされていた幾つかの種は、1種にまとめられましたが、多くの種は別種に分けられました。

2. なぜこのことが、鳥の保護にとって問題になりうるのでしょうか?

このような大きな分類上の見直しは、絶滅危惧種を増やすだけだという批判がありました。それぞれの新種は必然的に個体数や生息範囲が小さく、絶滅の危険が増える結果になるからです。加えてこのような新しい種の生息地は、保護区やIBA(鳥を指標とする重要生息環境)に入らない可能性があります。種は、保護に当たって最も普通に使用される単位なので、種の定義が常に変わるようでは効率的な保護は困難だという人もいます。

3. 評価のために何を始めましたか?

私は上記の批評が正しいかどうか確認したかったのです。イーストアングリア大学の修士の学生だった時、Paul Donald(バードライフ)、Graeme Buchanan (RSPB)、Richard Davies(イーストアングリア大学)らと共同で、新たに分離された種は、より絶滅の恐れが高いかどうかを調べるため、IUCNのレッドリストで分離されずに残された種と比較しました。また私たちはこれらの新種の生息地がどの程度保護区やIBAでカバーされているかを評価し、それらが分離された「元の種」と比較しました。私たちはどの種が保護区やIBAで保護されていないかを確認し、これらのネットワークにあるギャップを特定しました。

4. その結果はどうでしたか?

必然的に、より絶滅が危惧される種も確かにありました。しかし予想に反し、分離された種は平均すると分離されなかった種よりも絶滅危惧の度合いが低かったのです。これは「元の種」が、生息地が広く個体数も多く、多くの種がIUCNのレッドリストで「軽度懸念」に分類されていた場合が多かったことによります。同様に、平均すると新種は、IBAや保護区で保護される程度が「元の種」と比べて同等、または驚くことに、より良いことが分かりました。これは種を保護するのに比べてサイトを保全することがいかに効果的かを示すものです。

5. この研究の保護活動への予想される影響は?

私たちは、東部アマゾン地区、ジャワ、フィリピンのIBAと保護区のギャップに入ってしまう新たに分離された種を含めて、保護活動の優先事項をピンポイントで調べました。しかし全体的には、この研究は大きな分類の見直しが必ずしも保護活動に予測可能な影響を与えるものではなく、保護活動と分類は対立する必要がないことを証明する助けになりました。新しく、より正確な方法が現れた時には、私たちは出来る限り効率的に種を同定し、保護するためにそれらを利用する方向へ向かうべきです。

 

報告者:Jessica Law

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