100羽のハゲワシを毒殺から救出

ミミヒダハゲワシ(写真:絶滅危惧ⅠB類)も犠牲に 写真提供:© Andre Botha

ある日曜日の朝、毒殺されたハイエナの周りでハゲワシ20羽が死んでおり、さらに6羽が瀕死の状態にあるのをナイロビ(ケニア)の野生生物レンジャーが発見しました。このような悲劇があったものの、バードライフの緊急対応によって多くの命を救うことができました。

1月27日の朝、Eric Ole Resonはケニアのマサイマラ北部を定期巡回中に、弱々しく飛ぶハゲワシの群を見つけました。心配になって駆け付けた彼は、悲劇的なシーンを目の当たりにしました。20羽のハゲワシの死骸がハイエナの死体の周りに横たわっており、その全てが絶滅危惧種のミミヒダハゲワシ(絶滅危惧IB類)とマダラハゲワシ(絶滅危惧IA類)でした。さらに6羽はまだ生きていましたが危険な状態にありました。

この悲惨な光景にもかかわらず、Resonはパニックに陥ることなく直ちに行動を起こしました。ケニアの「毒薬緊急対応マニュアル」のお蔭で、何をすべきか知っていたのです。このマニュアルは、ハゲワシの毒殺の脅威が増大している問題に取り組むために、バードライフのパートナーやケニアの他の自然保護団体が昨年策定したものです。

Resonはハヤブサ基金とマサイマラ野生生物保護協会に所属しています。これらの団体は、今回のような事件を見張るためにこのエリアを定期的にパトロールしています。マニュアルに従い、Resonは共同メンバーのケニア野生生物サービスとケニア猛禽類基金に連絡し、生き残ったハゲワシを救出し、法医学的サンプルを収集することができました。マニュアルの講習を受けていた近隣住民も協力しました。

 

4羽のハゲワシを治療し、無事に放鳥しました。

ハイエナの死骸はまだ食べ残しがあったので、もし適切な対応がされなければもっと多くの腐食者、特にハゲワシが犠牲になるところでした。ハイエナと毒殺されたハゲワシは焼却処分し、現場は消毒されました。まだ生きていたハゲワシのうち4羽は手当てを受けた後に放鳥され、2羽は経過観察のためケニア野生生物サービスに保護されました。また法医学用サンプルは今回の違法行為を追求するための証拠として保管されました。

「チームの対応が間に合わなければ100羽以上のハゲワシが死んでいたでしょう。」と病気や怪我をした猛禽の手当てとリハビリを行うKenya Bird of Prey Trustの理事Simon Thomsettは述べています。

Eric Ole Resonは「今回の事件は不幸かつ望んでいない事でしたが、同時に野生生物毒殺対応訓練の価値を証明しました。」とコメントしています。

 

ところでそもそもハゲワシは何故毒殺されるのでしょうか?ハゲワシは人や他の動物を傷つけることはありません。それどころか、彼らは動物の死骸を掃除することで病気の蔓延を防いでくれ、計り知れないほど人々の暮らしを支えてくれているのです。「もし腐食性動物や捕食動物がいなくなったら、生態系のバランスが崩れ、人や家畜に予想できないほどの健康問題が発生するでしょう。」とバードライフ・アフリカのハゲワシ保護マネジャーRebecca Garbettは断言しています。

実態は、ハゲワシは家畜農家とライオン、ハイエナ、ヒョウなどの捕食動物の間におこっている衝突の犠牲者になっているということなのです。適切な補償が無ければ、家畜農家は肉食動物を殺すために入手が簡単な農薬を死んだ家畜に注入する方法を取るのです。けれどもこれが意図していたよりもはるかに多くの犠牲をもたらすのです。

ケニア野生生物サービスの会長Charles Musyokiは、法律がハゲワシにとって良い方向に変わりつつあると述べています。「先月私たちは、野生生物を毒殺することを犯罪と定めた2013年のケニア野生生物法の改正案に署名しました。現代の技術と法体系の強化、法医学的能力によって、私たちは間もなく野生生物を見境のなく毒殺している人たちに追いつけるでしょう。」

 

過去2年でマサイマラでのハゲワシの毒殺は半減しました。

しかし、犯罪者を処罰するだけでは事足りません。地元のコミュニティの理解と参加が重要なのです。そのため啓発キャンペーンを継続的に実施しており、意欲的な住民には「毒殺緊急対応マニュアル」を使った訓練を行っています。実際、毒殺の被害が避けられたのは今回が初めてではありません。この2年の間、ライオンの2つの群を狙った毒殺計画が事前に差し止められたほか、マサイマラにおけるハゲワシの毒殺は50%以上も減ったのです。

ケニアのハゲワシは依然として危険な状況にありますが、人々が協力すれば変化を生み出せること、ハゲワシのように危機に直面している種に希望を与えられることを今回の出来事が示してくれました。

ネーチャー・ケニア(ケニアのパートナー)のPaul Matiku博士は「ケニア南部では、レンジャー、保安員、ツアーガイド、科学者、保護活動家、保全管理者および政府職員が参加する毒殺防止ネットワークが設立されました。彼らの取り組みによって、野生生物毒殺がすべて撲滅されることを期待しています。」と表明しました。

報告者:Jessica Law

 

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