アオコンゴウインコの悲劇を防ぐ5つの方法
この10年間のバードライフ・パートナーの希少種保護と、これ以上の絶滅を防ぐために行っている活動事例をご紹介します。
9月上旬、この10年間で最初の鳥の絶滅を確認した時に、バードライフはこれを大きく取り上げて報道しました。アニメ映画「リオ」の主役で象徴的なアオコンゴウインコを含む8種が野生ではもう見られなくなりました。気掛かりなことに、これら8種のうちの5種の絶滅が南米大陸で起きており、その主な原因はこの地域における大規模な森林伐採です。これは同地域の鳥の将来に対する懸念を招きました。幸いにアメリカ大陸全土のバードライフ・パートナーが鳥の保護を助ける活動を行っています。以下はアオコンゴウインコの悲劇が起きないように彼らが行っている活動です。
1.ムナグロワタアシハチドリ
野生下では、300羽ほどしか生息していないと推定されるムナグロワタアシハチドリは世界で最も絶滅が懸念される絶滅危惧ⅠA類のハチドリの一種です。その生息地はエクアドルのピチンチャ火山の尾根の上部に限られています。残念ながらこの生息地は薪炭を作ったり、家畜の放牧のための道を作ったりするための森林伐採により極めて危惧される状態です。
Aves y Conservación(エクアドルのパートナー)は、本種を絶滅の縁から引き戻すために懸命に活動を行っています。彼らは家畜の放牧地の効率を改良するために灌漑システムを設けました。それにより森林が放牧地に転換されなくなるでしょう。同時に村民と共同でバードウォッチングやムナグロワタアシハチドリの重要性を普及させ、山火事や薪炭製造のための伐採を防ぐための活動を行っています。並行してAves y Conservaciónは地元の能力を強化し、地域におけるコミュニティーの生産性とエコツーリズムを支援することを目的とする地域の社会・環境状態の明確な理解を得るための活動を行っています。
2.ミミグロボウシインコ
ハイチとドミニカ共和国では、ミミグロボウシインコが絶滅危惧Ⅱ類になりました。主な理由はペットとしての売買を目的とした雛の密猟と森林伐採による生息地の破壊です。密猟の際に巣も壊されることが多いため、その結果、樹洞の不足も本種の回復を制限します。
Grupo Jaragua(ドミニカのパートナー)が、国全体でのペットのオウムへの姿勢を変える活動を行っており、また、薪炭の売買のために影響を受けたオウムが住む亜熱帯乾燥林の復元を行っています。彼らは在来植物を植え、オウムや他の固有種、在来種および渡り鳥の生息地を作っています。
彼らはドミニカ共和国におけるオウムの個体数規模を推測するため、国全体でアセスメントを行っており、将来保護活動の成果を測定することが出来ます。加えてGrupo Jaraguaはオウムの巣を守る活動を行っており、その方法は、地元の巣の盗掘者に巣を見つけて守れば報酬を与え、またコミュニティメンバーを訓練しモニタリングと巣の探索ができるようにします。将来的には、Grupo Jaraguaはこの象徴的な種の監視を増やし、売買を減らすために主要な営巣地におけるコミュニティーによるモニタリングとパトロール・プログラムの拡大を目指します。
3.ヒメアリサザイ属の一種
最後のヒメアリサザイ属の一種は、現在ブラジル北東部(ムリシ)に生息しています。この絶滅危惧ⅠA類の種の個体数は野生では30羽以下です。本種の生息地は非常に限られており、ここが今伐採により危惧されているのです。
本種を救うためにアラゴアス州のムリシ(地名)はバードライフの「大西洋岸森林行動計画」により優先地域とされ、SAVE Brasil(ブラジルのパートナー)は「ムルシ・エコステーション」を実行するために、連邦政府と共同で活動を続けます。これはSAVE Brasilが民間保護区を有しているムルシとSerra do Urubuをつなぐ回廊を復元し、保全することを目的とするものです。
4.パタゴニアカイツブリ
パタゴニア地方で10年以上続けられているプロジェクトの一つに、野生個体が800羽以下の固有種で絶滅危惧ⅠA類のパタゴニアカイツブリの保護があります。Aves Argentinas(アルゼンチンのパートナー)は、本種にGPS装置と人工衛星発信器を装着し、そのライフサイクルをより完全に理解しようとしています。
2018年5月、最近の作業サイクルが成功裏に終わり、統計解析の結果本種の個体数が安定し始め、実際に僅かながら増加している可能性を示しました。これはプロジェクトにとっても地球にとっても素晴らしいニュースです。
5.カワカマドドリ属の一種
ペルー南東部とボリビアのラパスの在来種カワカマドドリの一種は、アンデス山中の湿度の高い森林や雑木林の小区画に生息しています。残念ながら制御できない火災と過剰な放牧により、カワカマドドリの一種が生息する森林が破壊され、本種は絶滅危惧ⅠA類に指定され、野生下では50~250羽が生存するのみと考えられています。
Asociación Armonía(ボリビアのパートナー)が、この小型の鳥を救うために懸命な活動を行っています。地元のQuechuaコミュニティーと共同で本種の生息地の再建プロジェクトを実施しており、マディディ国立公園内に26,000本のポリピレスの苗を植えました。また、森林復元のための新しい木を育てるために苗床も作りました。教育とアウトリーチ・プログラムを合わせたこれらの活動が、森林の復元につながることが期待されています。この「ポリピレス森林プロジェクト」はクリティカル・エコシステム・パートナーシップ基金による財政支援が行われています。
報告者:Daniela Paz & Samantha Moreno