マユグロアホウドリの個体数が増加を示した

Black-browed Albatross (Don R Faulkner; flickr.com)

フォークランドのマユグロアホウドリの個体数が増加しているようです。
写真提供:Save the Albatross

フォークランド諸島(英国の海外領:スペイン語名: ラス・マルビナス)で繁殖するマユグロアホウドリの数が順調に増加していることが新しい報告書で示されました。フォークランド諸島政府環境委員会に提出されたこの報告書は最近および過去の調査の結果がこの絶滅危惧種が増加していることを示しています。

マユグロアホウドリは現在IUCN(国際自然保護連合)レッド・リストの委託によりバードライフが行っている評価で絶滅危惧ⅠB類に分類されています。世界中の個体数の3分の2以上がフォークランド諸島で繁殖しており、従って、フォークランドの個体群の状況は本種の世界的な保護の状態に対して重要な意味を持っています。

フォークランド諸島ではマユグロアホウドリの個体数の調査が別々な方法で独立して行われて来ました。イアン・ストレンジは、最近はジョージア・ストレンジも加わり、1964年以来フォークランド諸島のコロニーを空中写真を撮る方法で調査を行い、1986年、2005年、2010年には列島全域での調査も行いました。一方、フォークランド自然保護協会のメンバーは2000年、2005年、2010年に地上と船からの調査を行いました。2005年までの調査結果では(同年を含む)、これらのイニシアティブは個体数の傾向について対照的でした。空からの調査では1980年代中期と2005年の間で個体数の増加が示されていたのに対して、地上での調査は1995年と2005年の比較で減少を示したのです。

しかし、2010年の調査では、どちらの方法でも2005年と2010年の間に少なくとも年率5%の増加が明らかになりました。二つの調査による前向きの傾向は、ニューアイランド(フォークランド諸島の12の繁殖地の一つ)で科学者が行っている繁殖および生存データや2010年の繁殖シーズンに行われた追加の空中撮影調査によっても支持されています。2010年の地上での調査で得られた繁殖個体群推計は2000年の数値より増えていました。さらに、2010年にフォークランド諸島の中の二つの最大コロニー(スティープル島とボシェーヌ島)における地上での推定値は1980年代に行われた調査結果と同様な数でした。

RSPBおよびバードライフの世界海鳥プログラムのクレオ・スモール博士は「22種中17種が絶滅危惧種とされているアホウドリ類で、フォークランド諸島のマユグロアホウドリが増加しているのはとても心強いことです。もちろん、英国の海外領で個体数の多いサウスジョージア島では減り続けているという別のデータもあります。しかし、今回の結果は他のアホウドリ類の運命を逆転させることへの大きな希望をもたらしました。漁業での混獲が大きな脅威ですが、海鳥を殺す数を減らすための活動が世界中の延縄とトロール船団で行われています。もしこれを続けられるなら、マユグロアホウドリが未来の傾向を作ることが期待できます。」と言いました。

英国南大西洋海外領土のACAP(アホウドリ類保護条約)オフィサーで報告書の著者のAnton Wolfaardt博士は言いました。「マユグロアホウドリ増加の正確な理由は完全に明らかになったわけではありませんが、海鳥の混獲を減らすための努力と、それによる餌事情の好転が寄与している可能性はあります。」報告結果とフォークランド諸島の個体数は世界全体の個体数のおよそ70%に相当することから、報告書はマユグロアホウドリを絶滅危惧ⅠB類から下げることも考慮すべきであると言っています。この報告はレッド・リストの評価プロセスに利用するためにバードライフ・インターナショナルに提出されました。報告書では又将来起こりうる変化に対して地域個体群への衝撃を緩和し、その他の個体群や種の保護の状態を改善するための両方の目的で、海鳥の混獲の緩和の一層改善する努力は続けるべきであると提言しています。

 

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