「コドモ画報」に寄せて

フクロウ © HIH Princess Takamado

「レンズを通して」婦人画報誌2022年10月号

写真・文=高円宮妃久子殿下
協力[画像編集]=藤原幸一(NATURE’S PLANET)

出産や育児は大変ですが、小さな「奇跡」の連続でもあります。乳幼児から成長していく過程には多くの不思議と発見があり、親子ともに山あり谷あり。鳥を観察していると、それぞれに個性や性格の違いがあり、特に抱卵中、また子育て中の親鳥を見ると、ついつい感情移入してしまいます。今回はいろいろな鳥のヒナや子育ての写真を選び、キャプションにて、その時々の状況などを書かせていただきました。表記してあるサイズはヒナではなく、成鳥の全長です。あどけないヒナから独り立ちしていく姿まで、お楽しみくださいませ。

 

フクロウ 50cm フクロウ科
「何しているの?」と言わんばかりにこちらを見るヒナ。
孵化して30日目くらいで、巣立ちしたばかり。白くふわふわな羽毛とつぶらな黒い瞳が何とも愛らしい。
巣立ち後 しばらくの間は、カラスなどの天敵に襲われないよう昼間は近くから親鳥がヒナを見守っている。
3カ月もすれば、親から独立し、 親の縄張りから離れてゆく。
写真提供:© HIH Princess Takamado

コサギ 61cm サギ科
左が親鳥。頭の後ろに繁殖期の長い飾り羽が見える。
右のヒナたちに「もっと餌が欲しい」と声高にせがまれ、再び餌を獲りに飛び立つところ。
サギ類のヒナの餌ねだりは激しく、ヒナたちは親の頭を食べてしまいそうな勢いで迫る。
「やれやれ……」というため息が聞こえそう。
写真提供:© HIH Princess Takamado

ゴイサギ 58cm サギ科
そろそろ独り立ちの時期!
少し離れたところから幼鳥を穏やかに見守っていた親鳥だが、幼鳥が餌をねだる声を発した途端に警戒。
それでも幼鳥は「餌をください」と翼を震わせ、親との間を詰めていった。
写真は親鳥に叱られて慌てて飛び退く幼鳥。
「……われ関せず」の白いコサギも幼い個体。
写真提供:© HIH Princess Takamado

ツミ オス27cm メス30cm タカ科
ツミは日本最小のタカ。写真のヒナは孵化して週間ほど。
あどけないが、まさしく猛禽の顔をしている。
同じ巣にあと2羽、もう少し大きなヒナがおり、盛んに羽ばたきの練習をしていた。
ヒナが小さい段階では、餌として小型の鳥などをオスが巣に運び、メスがちぎってヒナに与える。
写真提供:© HIH Princess Takamado

カオジロガン 65cm カモ科
フィンランドにて撮影。
早朝、市街地に近い公園に上陸した群は、散らばって草を食べていた。
写真は、孵化して3〜4週のヒナを連れた集団が海へと戻っていくところ。
グリーンランドではキツネなどの天敵を避けるため、海沿いに聳える高さ100メートルもの断崖に巣を作る。
孵化して間もないまだ飛べないヒナが、親鳥に促され命がけのジャンプをすることで知られる。
写真提供:© HIH Princess Takamado

カイツブリ 26cm カイツブリ科
赤坂御用地内でも毎年繁殖。水面に浮き巣を作って産卵し、雌雄で抱卵。
ヒナは孵化後まもなく、親と一緒に巣を離れ、以後巣には戻らない。写真は孵化後7日目。
上手に泳げるが、親の背中に乗ることも多い。
親が小魚や水生昆虫など運んできて給餌を行うが、ヒナは日を追うごとに潜水も上達。
数日後、1羽が虫を捕った時には、思わず拍手しそうになった。
写真提供:© HIH Princess Takamado

オオフラミンゴ 130cm フラミンゴ科
フランス、カマルグ地方の夕焼けに照らされたオオフラミンゴ。
体が小さくグレーの羽毛に覆われているのがヒナ。
まだ巣にいる間は両親の体で作られたフラミンゴ・ミルクを口移しに飲んで育つ。
孵化後10週ほどで親から独立し、1カ月間ほどはクレッシュと呼ばれる写真のような集団で過ごす。
撮影中、次々に親鳥が戻ってきた。我が子、我が親を声で識別するといわれる。
写真提供:© HIH Princess Takamado

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