集中砲火にさらされるサイチョウ

巣に餌を運んできたサイチョウの親鳥 写真提供: © Arnon Polin

サイチョウは、オナガサイチョウに間違えられ、密猟の犠牲になってきました。

サイチョウ(準絶滅危惧種)の最も特徴的なのは、素晴らしい角、「犀角(さいかく)」です。

犀角は、まるで別世界のものような鳴き声を増幅する役目を持っています。けれども犀角だけがサイチョウの魅力的な点ではありません。この鳥の子育ては、究極の信頼関係の賜物なのです。卵を産むと、親鳥は木の幹に作った巣の穴を、雌と卵を中に残したまま泥や食べ物や糞などで塞いでしまいます。唯一の小さな穴は、雄が持ち帰った餌がやっと通るだけの大きさしかありません。

しかし、このような厳重の安全対策をもってしても、東南アジアの未開の森に侵入してくる人間から守ることは出来ません。サイチョウが営巣するのは巨大な木ばかりなので、伐採の危険が極めて高いのです。また、森林伐採により密猟者にとっては仕事が容易になり、これらの鳥は食べられ、ペットとした売買されます。あるいは先住民コミュニティでは儀式用の衣服として使われます。

しかし、最もショッキングな脅威の一つは、間違いによって起こります。サイチョウはよく、オナガサイチョウと間違われるのです。オナガサイチョウの独特の硬い犀角は闇市で象牙よりも高値で売買されています。密猟者はこの絶滅危惧IA類の獲物を逃すまいと、似ているものは何でも撃ってしまうのです。

こうした脅威のために、サイチョウの個体数は急激に減っていると思われます。レッドリストの変更について議論が交わされるバードライフの「世界絶滅危惧鳥類フォーラム」でもサイチョウは議題の一つとなっており、あらゆる専門家に知見の共有を呼び掛けています。サイチョウに関する最新の議論はこちら。

 

報告者:Jessica Law

 

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