IUCNのレッドリストが新たに更新され、16種のシギ・チドリ類がよりリスクの高いカテゴリーに分類されました。

渡り鳥のシギ・チドリ類の個体数は3分の1以上減少

バードライフ・インターナショナルは、119カ国に及ぶパートナーとともに、コロンビアで開かれたCDP-COP16において各国政府に対し、種の減少を回復し絶滅を食い止めるための緊急行動を強化するよう呼びかけました。

国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種レッドリスト(Red List of Threatened Species™)の最新版では、世界中のシギ・チドリ類の個体数が減少していることが明らかになりました。また、沖縄県の固有種でキツツキの一種ノグチゲラの絶滅リスクがダウングレードしたと判断され、3段階ある絶滅危惧種で一番高リスクの「深刻な危機(CR)」から一つ下の「危機(EN)」に変更されました。種の個体数減少は、生態系全体や食物連鎖に大きな悪影響を及ぼすことを科学的にも示されています。今回のレッドリストの更新は、渡り鳥を絶滅の危機から復活するために、各国政府が遅滞なく協力する必要性を改めて訴えるものとなりました。

CDP-COP16は、各国政府が2年前の公約を支持し、種の個体数の壊滅的な減少を逆転させるための行動を起こすきっかけとならねばなりません。これは、絶滅危惧種を復活させる努力を強化するための行動、より多くの土地、淡水、海を保護・回復するための行動、そして資金提供による食料、エネルギー、産業システムを変革するための行動を意味します。国や大陸を越えて人々をつなぐ渡り鳥の減少は、私たちが現在いかに生態系の保全に失敗しているかを示す象徴なのです。 

 

Martin Harper、バードライフ・インターナショナルCEO

鳥類は、自然の状態を示す重要な指標です。鳥類は、世界中どこにでも生息し、環境の変化に敏感であるため、非常に多くの研究がなされています。鳥類の8種に1種が絶滅の危機に瀕しており、世界全体では鳥類の60%が減少しています。渡り鳥の多くは、フライウェイと呼ばれる特定のルートをたどり、途中でさまざまな場所に立ち寄って休息や餌をとります。そのため、生息地の減少や気候変動などの影響を受けやすいのです。

シギ・チドリ類の多くは、飛翔ルート沿いではよく見かけますが、長期的なモニタリングデータを新たに分析した結果、いくつかの種の個体数はここ数十年で3分の1以上減少していることが明らかになりました。減少のスピードは加速しており、その原因を特定するための調査と、それに対処するための協調的な保全活動が緊急に必要であることを示しています。

 

Dr. Ian Burfield、バードライフ・インターナショナル、グローバル・サイエンス・コーディネーター(種)兼鳥類レッドリスト主席コーディネーター

海岸沿いを飛び回ったり、干潟で餌を食べたりする姿をよく見かける海鳥は、世界中で親しまれています。海鳥の多くが生息する沿岸地域は、食料、暴風雨対策など様々な機能を提供し、何百万もの人々を支えています。海鳥類を保護することは、鳥類のためだけでなく、これらの生息地に依存する沿岸地域社会にとっても不可欠なのです。

ハマシギ(Calidris alpina)は、少なくとも20%減少している小型のシギで、アメリカ大陸の飛翔ルート沿いで最も減少しています。今回の更新で、低懸念(LC)から準絶滅危惧(NT)にアップグレードされました。 

ハマシギ(Calidris alpina©David Fisher.

シベリア北部で繁殖し、西アフリカからニュージーランドまで広く越冬するサルハマシギ(Calidris ferruginea)も、生息地の損失や劣化、撹乱、狩猟、気候変動など、さまざまな脅威が原因で、30%以上減少しており、準絶滅危惧種から絶滅危惧種にアップグレードになりました。

サルハマシギ(Calidris ferruginea © Ayuwat Jearwattanakanok.

渡り鳥の大幅な減少は、フライウェイの状態が悪化していることを示すものです。渡り鳥が長い旅の間に休息し、餌を得るための生息地を失うことは、鳥だけでなく、これらの場所に依存している何百万もの人々にとっても深刻な結果をもたらす可能性があります」。

 

Dr Barend van Gemerden、バードライフ・インターナショナル、グローバル・フライウェイ・コーディネーター

CBD-COP16は、2030年までに自然の損失を食い止め、回復させるための行動を喚起するための重要な会合です。渡り鳥の個体数が激減していることは、自然が危機に瀕していることを示しています。生物種が失われれば、私たちの未来も危うくなります。自然の損失は回復させることができますが、絶滅は回復させることができないのです。 

 

レッドリスト2024年更新の詳細は、こちらからご確認下さい(英語表記のみ)。

https://datazone.birdlife.org/2024-annual-update

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